走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

逃した魚

2016年05月21日 | 仕事
ホームレスの彼女の予定日は9月下旬。

普段からアウトロー的な彼女は口数も少なく、コミュニティーのサービスも受けようとしない。妊娠が判明してからはなおさらだ。

隣町で薬物依存者用の産科に通うから、いえ通っているから、イヤイヤ、、、通うはずだからと彼女の言葉はコロコロ変わる。

診察にはもちろんこない。ホームレスアウトリーチワーカーと居場所を探しての接触だ。

ホームレスから抜け出せとか、薬を止めろとか、そんな事を強制しているのではない。希望するならハウジングも確保できると言いたかっただけだ。

しかし、今は完全に私たちを避けている。

以前もこのようなケースがあった。今思えば前のケースの方が簡単だった。彼女は欲しいものがあったので(化粧品とか食べ物とか)、それにつられて検査だけは出来たのだ。

出血で2度救急室を訪ねている。2回目の時は産前ケアを受けていない事をこっぴどく言われたようで、その後は出血しようが行っていない様子。

あまり接触がない彼女なので、どこで育ったのか、どうしてホームレスになったのか、初めての妊娠なのか、何も知らない。

心配です。もし前置胎盤とかだったら、母子共に生死に関わる事になりかねません。他の可能性はどれも赤ちゃんの命に関わる事なのです。

大人である本人はさておき、赤ちゃんを守るために、、、どういうアプローチをするべきか、、、、頭を悩ませます。



玄関前の庭も青々としてきました。

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