走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

看護師の眼力

2018年01月25日 | 仕事
慢性的な腰痛のせいで薬物依存になった彼。

薬をやめたい。腰が痛い。薬がないと腰が痛い。もういい加減薬をやめたい。でも腰が痛い。

自問自答のように彼の意思はぐるぐると巡ります。これはどうかと治療計画を立てますが片っ端から拒否します。

彼のイライラは頂点へ。声を上げ、早口でまくしたてるように喋り続けます。

怖いの?

の私の一言で彼は黙りました。彼は薬物をやめたいのです。でも辞めれない自分に私が嫌気をさして以前の医療者にように門前払いをするのではないかと怖がっていました。

辞める辞めない関係なしで、診察にくる限り、あなたのケアを拒否したりしませんよ,
と伝えました。これで完全に彼は落ち着きました。

このやり取りをそばで見ていた学生は感動したと言います。学生は彼のイライラが悪化してどうなることかとハラハラしたそうです。手でもあげるのではないかと。診断や治療ばかりにフォーカスするだけではなく患者の心理状態を見抜いた(いやー当たっただけですが)私に感動したと。

病院や診療所で患者さんはどうしても弱者の立場になってしまいます。悲しいかな、特にホームレスだとか薬物依存だからと非人間的に扱われたりする事が多々あります。しかし私は薬物依存があっても、ホームレスでも同じ人間として接します。患者がここ(この人)は安全だと思えなければ治療の場は回復の場にはなりません。それにバスを運転するのは患者。私の仕事はバスのナビゲーションをするだけですから、偉そうにするものではありません。

こう言うところは看護経験が活かされていると思う。だからナースプラクティショナーって言うんですよ。



先週の外回り。小屋を建ててバーベキューで暖を取っていたらそこから火事。丸焼けの跡地。7〜8人住んでいた場所。

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