走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

EBPを見極める力

2019年07月27日 | 仕事
シンポジウムのパネル時にガイドラインについて発言した内容に補足。

ガイドラインを鵜呑みのするのは危険です。ガイドラインが何を元に誰が作ったのかバイアスがないか見極める能力はAPN (高度実践看護師)として重要になります。バイアスがなく、EBPに沿って作られたものであるか確認して使用する。そして時が経てばそれを見直すことも起こります。常にアップデートしたものに敏感になることが必要です。

これが言いたかったのに、言っている途中で横道へ行ってしまった。反省。

バイアスと書きました。典型的な例は製薬会社と癒着している医療者はアウトです。製薬会社や医療機器会社は自社製品を販売することが目的なので、統計を販売に使えるように解釈することを知っています。

例えば、腎機能障害の人の有効な高血圧治療薬。何千の治験者の結果をグラフなどで教えてくれますが、治験者の年齢、性別、治験の期間などポイントを抑えて聞くことが大切です。若年層に有効なデータでも、あえて年齢層を言わず、聞き手が全ての年齢層に有効だと勘違いすることを狙ってくる時もあります。nが大きくてもどれぐらいがドロップアウトしたのかなど、統計や研究自体の信憑性を見極める力はとても大切です。

他の医師が数人働く診療所で働らいているので、製薬会社の人が出入りし、新薬について熱く語ってくれます。私が統計を重箱の隅を突くように質問するので、嫌われるようになったほど。昔はゴルフや旅行費を出して、気に入ってもらい、新薬を処方してもらうことが主流でしたが、そんなことはタブーになりました。BC州では製薬会社主催の勉強会や学会では免許の更新に必要なクレジットがもらえないようになりました。それほど医療を歪めてきた癒着。EBPはそんな一面もあるんですよ。


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