走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

権威とエゴと

2020年09月24日 | 仕事
同じ診療所で働く医師の彼は医師になって3年目。ストレートで医師になったのでかなりの若手(医学部にストレートに入れる人はカナダでは少ないので30代で医師になる人が大半)。そしてこの医師は思いっきりベイビーフェイス。

で、この彼が新患者の50代ぐらいの男性と一緒に診察室から出てきた。患者は歩きながら「下の名前はなんと言うのか?」「君は若すぎてドクターとは呼びにくいな。名前で呼んで良いかい?」と言った。

聴き慣れない会話だ。普通患者はドクターOOと呼ぶ。日本で必ず医師の事をOO先生と呼ぶのと同じ。しかしこの患者は若いからドクターと呼びたくない、と言っているのだ。そもそもドクターは博士号を保持している者への敬称。年齢は関係ない。

診療所の仲間内ではドクターとは呼び合わない。皆名前で呼び合っている。それは同じチームで働く仲間として同じ土俵に立っているから。最近は患者も同じくチームの中に入る思考が広がっている。医療者と患者の優劣構造をなくす為だ。その点では先の患者の意見は間違っていない。しかし彼は若いから呼べない、と言う。それは若造はまだまだ医師として未熟だと言っているように聞こえる。

そうかな?若いからこそ最も新しいエビデンスに基づいた医療を行っているし、頭の回転も早くて柔らかい、と私は思うけど。と、いうか良い医療者かどうかを年齢で判断するのはおかしいと思う、年配者の医師には経験と言う確固たるものもあるのだし、いろんな医師がいて当たり前。それこそ優劣をつけるべきではないと思う。

で、当人は「どうぞ名前で」と言っていた。患者が去った後「別に僕は医師ですーってエゴ丸出しなわけじゃないから、どうでも良いけど、なんだか変な気持ちだった」と話していた。


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2 コメント

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Unknown (安のり)
2020-09-25 06:08:48
 この頃は若い先生の方が信頼できると思うようになった。医学も進歩しているので高齢の医者は年に1度は学会に出席しているようだがそれでは最新の治療は学べない。単に長年の経験だけ治療しているようなもんだ。生存率も伸び、人生100年時代、資格の期限も
必要な時期かとも思う。車の運転免許についても同じだと思う。
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Unknown (missy0806)
2020-09-29 07:36:55
安のりさん 高齢者の中に活動的で若々しい人もいればその逆もあるように年齢と言う数字で測れるものはないと私は思っています。経験を積んだ医師の中には積極的に勉強をされている方もいますし、年齢ではなくその人をそれぞれをと言う意味で書きました。日本の医師免許は上げっぱなし免許であるのは難点ですがね。
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