走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

日本の看護教育

2017年10月11日 | 仕事
この方のブログを呼んで、ふむふむと思った。私も賛同する。日本の看護教育はサイエンスという認識が欠けているように思えるから。

以前にも書いたがカナダで驚いたのは看護学生の完成度が非常に高い事。看護をしっかりサイエンスとして取り組んでいる事。

私は日本で3年制の看護学校を卒業し、カナダへ来てからは直で資格試験に合格したので学士課程をカナダで取得したわけではありません。しかし認定をもらうために大学の学士課程の一部単位を取得した経験があります。そしてカナダで修士号を取得しました。看護師時代は実習生も来るのでそれを通しての経験があります。それらの経験での意見だと理解した上で読んでください。

看護学生が使用する病態生理の本は日本のそれより分厚くて中身も濃い。そして学生は内容をしっかり理解している。日本では医師が解剖生理、病態生理を授業していたが、カナダでは看護師の教員が教える。日本でこれが出来る看護教員はどれくらいいるのだろう?と思う。

実習の時に看護計画を立てないといけなかったし、就職してからも遅くまで残って看護診断とやらを練り直していた (ちょうど看護診断がアメリカからやって来て日本中が看護診断に燃えていた頃)。こちらではそんなもの一切ない。カーデックスと言って患者サマリーみたいなものはありますが覚書のようなもので法的な記録ではありません。記録も短く簡潔がモットーだった。

以前にも書いたが、カナダでは看護師のプロ意識が高く、どれが看護でどれが看護ではない事もはっきりしている。

日本は看護でない事も業務に入っていた歴史があるから(指示受け、掃除や、事務仕事、病状の安定している人の世話、調剤など)そこらへんがあやふやな理由はわかるのだけれど、いい加減はっきりさせるのも悪くないと思う。

ちなみにこちらでは大学の教員は実習へ行ったりしません。実習の指導員として雇われた人が学生に付き添います。本業の看護師のサイドビジネスとして就く人が多かった。修士の学生期間の収入源にする人もいたね。

それから、単位は単位。お情け合格はありません。それどころか実習指導員と教員が赤旗を上げれば、不向きと言う理由をつけ退学を迫る事だってあります。看護師になりたかったけどなれなかった人も珍しくありません。

私も学生の時大嫌いだった、看護師は優しく、献身的にみたいな論議をする人はいません。なんてったってサイエンスですから。

さあ日本の看護教育、まだまだ改善の余地があるのではないでしょうか。どうしますか?



夕暮れ時のロブソンスクエア。冬はスケートリンクになる場所。今はダンスを楽しむ人の溜まり場。練習していたりビデオを自撮りしたりする人も。チャチャからブレイクダンスまで。


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