走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

まともな判断

2020年03月31日 | 仕事

とても難しいケースの患者。気難しいとかではなくて、病態と社会的背景が難しい患者。その患者から電話が入り、病院へ入院している間に住処をなくした事を知る。

ええええええええええ!

長くなるので事情は書かないが、なんてこったい。しかし嘆いている暇はない。なんたって病院は病気中の病気の人が入院する場所で社会的入院なんて有り得ない。病院側はじゃあ、ホームレスシェルターへ行けば?と簡単に言う。まずこの方一度もホームレス経験なし。そしてシェルターへ行けば病態が悪化して病院へ逆戻りは目に見えている。

病棟のソーシャルワーカーに説明し、社会的入院に切り替えても退院を延期してもらうように努めて!と伝え、あちこちへ電話を入れる。八方塞がりとはこのこと。誰も同情はしてくれるが具体的に行動をしてくれる人はいない。ヘルスケアシステムは本当にサイロ化していると思う。一つの臓器や機能別に専門化が進み、複数に渡って問題のある人は断られる傾向にあるのだ。

しかし翌日の朝にまともな人と繋がり、一つの解決方法が浮かんだ!そして今日はそこから2つの専門家と繋がり、なんとか安全な急性期病院退院後のプランができそう。

全人的なケアとか唱えているわりにはまだまだ専門プログラムの垣根が高くて患者は弊害を被っている。白と黒にきっぱり分けることができないときに、既存の垣根を越えて例外として認める判断力のある人に出会うまでは、苦労するのだ。カナダのヘルスケアはまだまだ改善の余地あり!と思った日でした。

冒頭写真:外出自粛中なので駐車場に停めた車の中から海を眺めるカーピクニックなり。


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