走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

体の防御システム

2016年10月19日 | 仕事
人間の体って凄いな、と思います。いろいろなメカニズムで体を守っていますから。例えば皮膚は外部から病原菌が入ってこないように体を覆ってくれています。脳は大切に頭蓋骨の中で守ってくれています。脳の血管が詰まって血流が悪くなっても他の血管から血流が来るように血管は網の目のように脳を駆け抜けています。一本頸動脈が詰まってももう一本あります。てな具合に。

で、長年の薬物依存の彼女。覚醒系の薬を静脈注射するのが彼女の嗜好。薬の摂取のやり方は飲み込む、吸い込む (気化させて肺からと粉のまま粘膜を通して)、血管への4つのやり方。
彼女は緊急で診て!とやってきました。この3日間、両足がパンパンで痛いの、と。

彼女が薬に使う血管は左腕。足は使わない。両足むくんでいて赤くなっている。最近手も腫れるし、胸も痛い。最近同じ薬仲間に似たような症状が多いと。

自己注射に使う物品はハームリダクションとして配布される使い捨て用の滅菌されたもの。しかしたまに2度使いをすると。

血管を使うという事は全てのデフェンスシステムをバイパスして薬を注入するということで、もし細菌が混入すれば確実に敗血症や心膜炎になりますよ、とリスクが高い使用方法だと説明する。知らなかった、誰も説明してくれなかった、と言う彼女。全く困ったちゃんです。皮膚も消化器官も特に肝臓も飛び越えて血管に入れるんだもの。危険ですよ!特に違法薬は台所や風呂場で作られたもの。無菌なわけはない。変なものが混ざっていたっておかしくないんですよ!

ハームリダクションの物品配布で減った敗血症や血液感染。でも手洗いをきちんとしていなかったり作業中の環境が不衛生であれば危険ですよ。



この事で学んでねー


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