走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ニュースの影響力

2015年08月20日 | 仕事
毎週毎週、フェンタニルによる死亡のニュースを聞く。あちらこちらから、警告のアナウンスがやってくる。流行病のように市民に警告を出す必要があると。

もうすぐ始まるナロキソン プログラムは発進を待つだけの状態。しかし、一つだけ引っかかるところがある。街で唯一のホームレスシェルターが協力的でない。

以前に話を持ち込んだ時も良い顔をせず、ポスターは張らない、宣伝もしない、クリニックの部屋だけでプロモーションをすることで渋々承諾を得たぐらいだ。

何せこのシェルター、薬物依存があれば泊まることができないとはっきりお墨付き。持ち物、特に慢性病の薬であっても薬は没収。持ち物検査も頻回に行われるところだ。注射器が見つかった時点でアウト。

ナロキソンキットを処方しても、シェルターで没収されたら、、、と考えていた。最近の兆候では、どんなに敷居を高く設定したって、起こり得るオーバードース。シェルターだけではなく、フリーの食事を提供している時に起こるかもしれないのだ。
なので私としてはスタッフやボランティアの人達に正しい知識を持って欲しい。薬物依存の延長線ではなく、命を救う大切なプログラムだということを。

で、シェルターのボスにダメ元でもう一度メールを出してみる。

あっさり了解の返事をもらった。勉強会を主催することになった。あれだけ反対派だった人がだ。ニュースの影響力の大きさに感心した日だった。


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