
日本でのコロナワクチンの接種率の状況。お!30%に近づいている。

で、噂を聞いたのですがワクチンを拒否する人たちが日本の中には多いとか。特に若い女性のグループ。将来妊娠できなくなる、と聞いたから、と。
はあああああ?その情報の根拠は何処から来る????
毎週送られてくるEBPのお知らせメール。今週はコロナワクチンについてでした。
何度も何度も書いていますが、出版されている論文≠ Evidence Based Practice ではありませんから。論文をクリティークしてその信憑性のあるものの蓄積がEBPとなります。世の中には研究として弱いものもたくさん出回っています。それを見つけ出す力がAPNを含むサイエンティストに備わっています。
そうは言っても沢山出てくる論文。それを全部読む時間もクリティークする時間も忙しい臨床の合間にはありません。よってバイアスがない先のような団体のメールは本当にありがたい!と思います。
で、その内容は英語かフランス語で書かれているわけですから、それが理解できない日本人の方へサマリーを。
臨床試験と実際の世界のコーホートとケースコントロールの状況から判明したこと。
2度のmRNAワクチン後でコロナの感染率は90%以上減少。1度だけでのmRNA かアストロゼニカは60%。しかし入院率の減少は70〜80%。このパーセントは変異株でも同等の結果。そして妊婦に対しも安全。との報告でした。
妊娠とワクチンについて。
35,691の妊婦がファイザーかモデルナを接種。そのうち29%は周産期1。43%が周産期2。26%が周産期3。周産期異常はワクチンをしていない人口と変わらない結果。しかし妊娠中にコロナに感染すると通常の2倍の確率で死亡もしくは重度障害の周産期異常(母体、胎児の両方)の発生率。よってカナダとアメリカでは妊婦へのワクチン接種推奨をしている。
で、デマを流した人たちは、「妊娠への影響の調査が不十分だから」と聞きました。先の調査は3万五千人の妊婦の調査結果。妊娠をしようとしている年代の人ではないですよね。これが反対派の思考過程でしょうか?で、以前にも書きましたが今回のコロナはサイエンス イン アクションでした。世界中で発生し、その影響力のため、通常の治験や研究を待っていれば人命が次々と奪われる、経済も破綻すると言う状態だったから、実際にその渦中にいながらベストを模索する。そのようなサイエンスへの切替を課せられたのです。そしてそれを行った国はカナダのように自国でワクチンを生産していなくても安全に規制を緩め経済回復を始めれるようになったのです。
コロナのミューテーションがどれだけ急速に起こるか世界でのこの1年半の現実から明確だと思います。よってコロナはこのまま世界に居座り、撲滅することは不可能と考えます。そして人の行き来が始まると多発国から、いつどんな変異株がやってくるかわからない状態ということも理解しなければなりません。ならばワクチンを受けることでそれを阻むことができる。地域の人間の活動範囲が広がるたびにコロナに罹患する可能性は高くなるのです。
医療は天秤だと、何度も書きました。ワクチンの効果とワクチンから生まれる副作用の天秤はとても大きな差があるのです。これは世界中の科学者たちが共通に認識することです。日本にはEBPというコンセプトがまだ新しく医療者間でも浸透していない、ことは重々わかります。よってこのコンセプトがわかりづらいかもしれません。
完全な医療は存在しない。効果と不利益を天秤にかけて効果が優るならば、それが最も良い策となるのです。完全な治験結果を待つ必要は無いのです。先に述べたようにその天秤の角度はわずかではなく、かなりの差がある事を理解してください。
ネットでのニュースは出元を確かめ、EBPと認められるものでないのなら、例えそれが医師であっても信用しないでください。
今まで大丈夫だったから、きっとこれからも大丈夫?その確信は何を根拠に?どんな確率ですか?
ワクチンで自分を守ることができるのにせずに、感染に怯えて暮らしますか?罹患したら軽症で済まない。急速に悪化し、呼吸句もしくは血栓で死亡した世界の何万人の人と貴方は違うと断言できるのですか?
感染力の強いコロナ。だから世界中で発生し、人の繋がりも経済へも大打撃を与えたのです。患者にコロナのことを散弾銃を撒き散らす人と私は例えます。ワクチンを防弾チョッキと例えます。散弾銃が何人もから発射されている街中に防弾チョッキなしで出かけますか?腕や足は出ているからそこに弾が当たる可能性はありますが、最も大事な臓器は避けられる。だから弾に当たっても死ぬ可能性は少ないのです。
ワクチンは長い間貴方を守ってくれます。12歳以上の接種率は私の働く保健機構の地域で80%を超えました。カナダは世界一ワクチンを接種した国民割合の高い国となりました。これが真のハードイミュニティーと呼ぶのです。コロナ罹患によるイミュニティーはワクチンによるものに比べてかなり短い。そして変異株に対する防御率も低いと出ています。
皆が防弾チョッキを着て散弾銃を使う人を減らす。これが同時に行わなければ、感染者率は下がらないのです。緊急事態宣言は何度でも出されるというわけ。コロナ以前の生活に戻れるかどうかは国民一人一人にかかっているのです。
よって、強く、強くワクチン接種を推奨します。
冒頭写真: 湖には蜻蛉が沢山飛んでいました。こちらは糸蜻蛉。