走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

シンプルな事を忘れる

2022年02月07日 | 仕事
高校でのクリニック。彼女はカウンセリングに行きたくない、と言う。理由を尋ね、その一つ一つの勘違いを解消していく。

仕事を終えて帰宅するとちょうど末娘も帰宅した。末娘は初めてのカウンセリングから帰宅したところ。晴れ晴れとした笑顔で、これからのカウンセリングセッションが楽しみだ、と言う。

そしてハッと気づく。私はカウンセリングに行きたくない、と言うクリニックで出会った彼女の気持ちを本当に聴いていたのだろうか?と。

末娘はカウンセリングへ行くのを躊躇っていた。知らない人に会うのは緊張する、と言っていた。でも会ってみたら良い感じのカウンセラーだったし、怖さも無くなった、と言う。末娘は成績も良く、友達にも教師にも恵まれている。真面目な性格からか完璧に物事をこなさなければならない、完璧主義に囚われている印象を私は感じていた。2週間前舞台での録画の後に階段から落ちて酷い捻挫をした。6〜8週間は踊ってはならない、と言われている。ならばこの機会(スケジュールに空きができる)を利用してカウンセリングへ行ってみる?となったのだ。

おそらく高校のクリニックの彼女よりコーピングスキルの高い娘でさえ、「緊張する」と言っていた。家庭医から鬱があると診断された彼女は?もしかしたら「知らない人に会わなければならない」ことへの怖さを隠すためにあれこれ言い訳をつけていただけかもしれない。

あーあ、私はまだまだ未熟ものですね。表面的な言葉に注目してそれにしか対応しなかった。心の声を聞く事を忘れていたように思えた夕方でした。とてもシンプルな事を忘れていた自分に気づかせてくれた娘よ、ありがとう。

冒頭写真: 本日快晴。冬晴れの空の青さ。久しぶりにバスでダウンタウンへ。


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