走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

裏方のチマチマ

2020年12月08日 | 仕事
何年働いていても自信が持てない事がある。それは自分を信じる事。やらなければならない事をそつなくできているかどうか?私がしているプライマリーケアはその人の一生の健康に関わる事。毎回の診療もさることながら、小さい事の積み上げで作られている。

例えば子宮頚部癌検診は毎年から3年ごとに変わった。50歳を過ぎれば乳がん検診は2年ごと。大腸がん検診は3年毎。患者自身へがんセンターから再検査の知らせが行くが3年の間に住所が変わっていればそのお知らせは住所不明となってしまう。だからがんセンターや本人に頼らずプライマリーである私はそれを念頭に置いて長期の計画としておかなければならない。その上、肝がんの発生率の可能性が高い患者は1年毎の腹部エコー、専門医への定期的紹介なども年単位でマークしておかなければならない。新生児であれば学童期までのシリーズの予防接種。妊婦であれば周産期のガイドラインにそったた検査諸々。全てがタイミングを要する。患者が全てを理解してくれていて自主的に来てくれれば簡単だ。しかしそうはいかないところがプライマリーの難しいところ。

先日新しい精神科医から紹介状の返事をもらった。入院していた彼女は入院中の医師から新しい精神科医への紹介でその返事がプライマリーに来ると言う図式。で、心電図をとったらRBBB(詳しいことは省略)だった。そのフォローは美加の方でして欲しいと。この精神科医にとってこれは新しい発見だが私にとっては知っている事。この患者の心電図はこの2年変わっていないし無症状。2年前は胸痛があり心電図、ストレステスト、心エコーもしているし心臓内科にも紹介した。経過観察が指示だった。

それを記録上確認して胸を撫で下ろす。ちゃんとできていた、と。なんてったって私は自分を信じていないので。きちんと調べて、紹介して、記録しておいて良かった、と安堵する。これがそうでなかった時の事を考えてゾッとする。

その精神科医に過去の記録をファックスで送り返答を書く。対患者の診察だけではなくて裏でチマチマした事をするのもプライマリーの仕事なんですよ。

冒頭写真: 先週末に飾りつけしたクリスマスバージョン


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