走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

テンプル グランディン 自閉症と共に

2021年06月13日 | 映画
久しぶりの映画レビュー。と言ってもかなり古いもの。

2010年製作の テンプル グランディン 自閉症と共に

日本語版はDVDで購入、レンタルできるようです。北米ではCraveと契約が有ればいつでも視聴できます。
実存する自閉症の主人公の物語。本人はコロラド大学の教授。自伝書、TED Talkもあります。テレビ会社製作の映画のためアカデミーなどには選ばれなかったけれど、テレビ界の賞は総なめにした傑作。主演女優のクレア デインズはまるで別人。目線の使い方、発声の仕方、とても勉強されて挑んだのではないかと思います。

自閉症は昔、統合失調症だとか母親の愛情不足とか、まさにエビデンスのない医学で説明されていました。今は研究が進み軽症から重症と分類され、様々な角度からの治療も開発されています。BC州では診断されると補助金が出て、治療を継続できるようになっていますが、年齢により異なり、大人になるとそれは打ち切られます。詳しくはこちらから

自閉症を知らない方は、この映画で理解が深まると思います。
自閉症だけではなく、差別の中で生きていく主人公を通して、いかに人間の差別的な言動が醜いことなのかも理解して欲しいと思います。接し方や喋り方が違うことで笑い者にしたり、ここは男の職場だから女は来てはダメだと性別で差別される。そこも乗り越えていく主人公の牛に対する情熱も心を動かされます。

人間、自分と異なる人は理解しがたく敬遠する方に行ってしまいがちですが、違うことを知ろうとする心。自分と異なっていても尊敬する態度を持てる人間を育てる。差別をなくすというのはそういうことだと私は思います。

困難を困難として捉えない。つまり既成概念に縛られない、テンプルの人生は人を動かすと思います。是非ご覧くださいませ。


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