やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

札幌発トワイライトエクスプレスの展望スイートに乗る(1)~トワイライトに乗らない!?

2013-08-21 | 旅行
さて、北海道からの帰りですが、
乗ってしまいました!!トワイライトエクスプレスの展望スイート。
(今回はとにかく字が多いので、閲覧注意!!)



「トワイライトエクスプレス」(以下「トワイライト」)は、
1989年に運行を開始した、大阪~札幌間を走る寝台特急です。
客室は、さまざまなクラスのA個室、B個室、Bコンパート寝台を備えています。
また、食堂車「ダイナープレヤデス」のディナーは
フランス料理のフルコース(12000円)が予約制となっています。
パブリックスペースとして、
窓が屋根まで回り込んだラウンジカー「サロン・デュ・ノール
(フランス語で「北のサロン」の意)」が用意され、
日本海に沈む夕日や昇る朝日を愉しむことができます。

登場時、ブログ主は中学生。憧れを持って雑誌などの車両案内を眺めていました。
従来の寝台車は「ブルートレイン」つまり青でしたが、
その常識を覆すモスグリーンに細い黄色の帯というシックな出で立ち。
こんな豪華列車、いつかは乗ってみたい、と。
当時は、当然、働いていませんでしたので、高嶺の花です。

時を経ると、今度は乗るだけの経済力ができてきて、意欲が湧いてきました。
しかし、働いている中で休暇を取って、
北海道への旅行日程に合わせて取ろうとすると、
チケット争奪戦に勝てません。
下のクラスでしたら、キャンセル待ちなどで取ることができ、何度か利用しました。

特に、大阪発でこの列車の最後尾となる1号車1番個室の「スイート」(展望タイプ)は、
豪華さと流れ行く後方の展望を両方手に入れられるということで、一日1室ですが、
知名度も高く、いわゆる「プラチナチケット」と化しています。

今回の休暇での滞在は、かなり余裕があるので、毎日トライしてみました。
下手な鉄砲、数打ちゃ当たる!?
それに、2014年度に北陸新幹線が金沢まで、
2015年度に北海道新幹線が函館まで開業します。
並行する在来線はJRから切り離され各県の第三セクターに移譲、
青函トンネル内の旅客列車も新幹線に乗せかえられるでしょう。
そうしたら、数社にまたがる営業や運行の煩雑さや、トワイライトの車両自体の老朽化
(改造やリニューアルを重ねているとはいえ、
車歴40年を超えているものもある)もあり、真っ先に廃止されてしまう可能性があります。
乗るのは、今。乗れるのは、今。


~チケットが取れるまで~

通常のJRの指定席は、1ヶ月前朝10時ちょうどに発売開始となります。
この手の人気のある列車のチケット
(「トワイライト」だけでなく、
上野~札幌間の「北斗星」や「カシオペア」の個室寝台も同様)は、
1ヶ月前の10時ぴったり、電話の時報に合わせて、
全国のみどりの窓口や旅行会社のコンピュータ(マルス)から予約を発信してもらいます。
10時に予約発信キーを押すことから「10時打ち」と呼ばれる技(?)になっています。
10時打ちを受け付けてくれる駅を事前に探し、複数の駅で頼んでおくことで、
命中率を高めることもできます。

なお、座席指定券の多くは「えきねっと」などの
インターネットサイトで予約できるようになりましたが、
寝台券は不可です。直接窓口へ。

ブログ主はフランス在住です。まず、その時点で不利です。
みどりの窓口に直接行くことができないため、
駅に頼むことができないのです。
残念ながら、旅行会社の知り合いでマルスを打ってくれるような人もいません。
そこで、唯一の頼みの綱が、JR西日本の電話予約サービス
「5489(ごよやく)サービス」です。
日本時間の10時ちょっと前に合わせて電話をし、
オペレーターさんに全てを託します。
日本から見ると、フランスとの時差は夏時間でマイナス7時間。
毎朝、午前3時直前に起きて電話をする、という修行を繰り返しました。
電話代は、IP電話のため、固定電話に対しては国際通話もタダなので、
これだけは喜ばしかったことでしょうか。

大阪発札幌行きのトワイライトエクスプレス、1号車1番スイート・・・
半月間毎日やっても、取れない。

取れなかった日のチケットが、ネットオークションにも出品されていることがあります。
大阪発の展望スイートが20万円以上で取引されることもしばしば。
その売買に関する道義的是非はともかく、非常にリスクが高いものです。
(今回も、もしオークションで買っていたら、とんでもないことになっていました。
お金をどぶに捨てることのできる余裕のある方以外は、やめておくのが無難です)
「自分で」苦労して取って「定価で」買う、というこだわりをもって臨みました。

ところで、展望スイートは1ヶ月前の時点で予約システムには入れておらず、
旅行会社のパック旅行用に抜き取られているので、一般人は買えない、
という真しやかな噂もありました。
スイートに乗車できるパックは、100万円前後の豪華な旅行です。
しかし、ここ数年、ネット上に「取れた」「乗った」という人の乗車記が出てきているので、
パックの予約が入らないときなどは、一般発売がなされているのでしょう。

ある日、大手旅行会社「日本旅行」に電話して聞いてみました。
パック旅行の売れ行きを確かめるためです。
すると、すでに夏休み中の数日分は、パックで売れているようです。
つまり、予約システムには収容されていないことになります。

7月17日、ちょっとシフトチェンジしてみました。
つまり、大阪発でパックが売れてしまっている日は、
札幌発で申し込んでみようかと。
7月17日のフランス時間午前3時ちょっと前、いつもと違って、
「札幌発」のトワイライト、1号車1番をお願いしました。

3時、つまり日本時間の10時をちょっと過ぎ、
電話に戻ってきたオペレーターさんの反応がいつもと違います。
「ご用意できました」


取れてしまった…
実感がわきません。

それからは、さまざまな方のブログでの乗車記を読んだりしながら、
夢見心地の毎日です。
二人用個室なので、気の合う誰かを誘いたい。
誰がその日に空いているだろうか。

札幌発の場合、大阪発と異なり、
大半の区間で機関車が前に付いてしまうので、
展望は望めません。
そのため、札幌発は比較的取りやすそうです。
とはいえ、あの部屋で旅ができる。もうそれだけでわくわくです。
25年ぶりの夢がかないます。



~一旦キャンセルする~

日本に帰ってきて、自宅に届けられたチケットを見ると、
俄然実感が沸いてきます。


数週間を過ごした後、個人的に心に引っかかることができてしまいました。
熟慮の結果、これはトワイライトに乗って浮かれている場合ではない、
と思い、当ブログでも記した北海道への鈍行に乗る前に、
トワイライトのチケットをキャンセルすることにしました。
足掛け25年の夢、簡単に取れないチケット、惜しかったですが、
その時はもっと大事なことがありました。

すっぱり諦め、地元の駅で320円のキャンセル料を引かれ、
チケットとはさよならしました。

そして、今回の一連の北海道旅行の冒頭につながります。

長くなってきたので、次回に続く。

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