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南英世の 「くろねこ日記」

徒然なるままに、思いついたことを投稿します。

金価格 1g=1万6000円

2025年03月31日 | 日常の風景

金価格の値上がりが止まらない。ついに1円玉一個が1万6000円を超えた。500gで800万円である。

原因は一言でいえばドル離れである。中国、インド、ロシア、トルコ、ポーランドなどの中央銀行が金を購入しているらしい。量的には中国の影響が大きい。中国の外貨準備における金の保有量は約2284トン。中国はドルを売却し、価値が安定している金の保有を増やすことで、外貨準備の価値の安定を図っている。2024年に入ってさらに保有量を積み増しており、それが金価格の上昇につながっている。ちなみに、2284トンをドルに換算すると約2400億ドル(約36兆円)になる。

 1999年ごろ、世界の外貨準備に占めるドルの割合は75%程度だった。ところが、現在、そのシェアは57%程度にまで低下している。現在のアメリカの政策を見ていると、今後も世界的なドル離れが続くと思われる。今持っている金は当面ホールドである。


三酔人経綸問答

2025年03月30日 | 日常の風景

朝日新聞(2025年3月30日)に中江兆民の『三酔人経綸問答』(1887年)を取り上げた記事があった。非常によくまとまっていたのでメモ代わりに掲載した。『三酔人経綸問答』は以前京都大学の論文入試の題材となったことがあり、懐かしくこの記事を読んだ。


障害者囲碁 世界に広まる一歩

2025年03月24日 | 日常の風景

先日、韓国のソウルで開かれた障害者による国際囲碁大会について、朝日新聞に投稿したら採用された。記念にブログにアップした。

来年、台湾で開催されることが決まったが、そうなると中国の参加が危ぶまれるという。ビザが下りない可能性が大きいらしい。草の根の交流と政治問題は別に考えてほしいものだ。


ボンド杯争奪 第28回 全日本こども囲碁チャンピオン戦

2025年03月24日 | 日常の風景

第28回全日本こども囲碁チャンピオン戦の全国大会が2025年3月22日(土)、23日(日)、京都で行われた。全国20の地区予選を勝ち抜いた小学生28名、中学生28名が京都市左京区の聖護院御殿荘に集まり、2日間にわたって白熱した戦いを繰り広げた。

この大会には全国の強豪が集まった。福田さん(写真左 中学3年生)は去年の全国少年少女囲碁大会の優勝者、一方の角さん(写真右 中学三年生)も同4位の成績を収めた。二人とも碁会所やネット碁では8段で打つ。両者3戦全勝で迎えた第4戦。勝ったが決勝に進出する。

今回は、タイからの参加もあった。

タイから小学生部門で参加したウィル・ビライチョンさんとお父さん(外科医)。

 

表彰式であいさつをするコニシ株式会社代表取締役会長横田隆氏

中学生の部で優勝した桑原多喜さんとお母さんの桑原陽子さん(日本棋院6段プロ)

 

今回の参加者は全員招待という形で、コニシ株式会社から旅費及び宿泊費が全額支給されている。日本にはいろいろな大会があるが、全額支給というのはこの大会だけである。囲碁という伝統文化を子どもたちに広めるための援助を惜しまないコニシ株式会社様にこの場を借りて改めてお礼を申し上げたい。

なお、この大会の詳細は月刊『碁楽室』5月号に掲載される。これから原稿執筆で忙しくなりそう。乞う、ご期待。

 


政治の大衆化

2025年03月19日 | 日常の風景

連日この問題が論じられている。テレビも国会も。言っちゃ悪いけど、高々10万円くらいでそんなに大騒ぎすることなのか?もっと他に議論・報道すべき重要な案件が山ほどあるのではないか。まあ、日本が平和な証拠と言えばそれまでなのだが。

難しい問題を避けて、国民がわかりやすいテーマを取り上げる。これも政治が大衆化した結果であり、民主主義の一面なのだろう。内閣の支持率を急落させて、頭を取り換えないと今度の参議院選で自分が落選するのではないか。そうした政局ガラミなのだろうが、どうにもレベルが低すぎる。

民主主義はいいことばかりではない。独裁よりはましという程度の代物でしかない。

 

以前読んだオルテガを思い出した。

https://blog.goo.ne.jp/minami-h_1951/e/6d0307f429beebbaba3678263a4c905e

 

 

 


ホンモノかニセモノか?

2025年03月17日 | 日常の風景

1996年に高知県立美術館が1800万円で購入した絵が実はニセモノだったと判明した。また、1999年に徳島県立近代美術館が6720万円で購入した絵も、実は贋作だったという。これらはいずれもパリやロンドンの画商を通じて日本に持ち込まれたものらしい。天才贋作師の手にかかれば、プロの画商もニセモノを見抜くのは容易ではないという。

古いキャンバスを使い、絵具も当時のものを使う。作品を劣化させるためにサウナを改造して作った「熟成」装置も使う。贋作師からすれば、金儲けもさることながら「どうだ、俺の技術を見破られるか」という自慢したい気持ちもあるらしい。

長年、絵を買うことができるのは金持ちの特権であり、われわれ庶民にとって絵を買うことなど高根の花でしかなかった。そこで一般庶民も手に入手できるようにと工夫されたのが複製である。リトグラフやシルクスクリーンといった技法が編み出され、300枚とか1000枚とかに限定して版画を作る。これにより、たとえ金持ちではなくても芸術の香りを自宅で楽しむことができるようになった。

しかし、ここで問題が起きる。美術界に一般の素人がコレクターとして参加したことにより、悪意ある業者がニセモノを作って金儲けしやすい環境が生まれたのである。とくに、インターネットを通じたオークションでは、そうしたニセモノを素人に売りつけることが容易にできるようになった。

私はもともと絵に興味はなかった。しかし、数年前に日本画を習ったことがきっかけで、なぜか絵に興味をつようになった。最初は、平山郁夫や東山魁夷のリトグラフを買い漁っていた。こうした著名作家のリトグラフには、たとえば300枚製作したうちの何番目かを示すエディションナンバーが必ずついている。だから、買う方も複製であることを承知の上で買う(それでも高いものだと数十万円はする)。

問題は複製ではなく、原画・直筆の「一点もの」を謳う作品である。それがホンモノかどうかをパソコンの画面だけで見分けることはほとんど不可能に近い。だからオークションのサイトでは必ず「鑑定の結果もし本物でないと判明した場合は返金に応じます」という文言を必ず入れるルールになっている。

先日ヤフオクを眺めていたら、すごく素敵な絵があった。角島直樹画伯の「新雪渡月橋」という作品である。美術年鑑で調べてみると角島直樹は院展の「特待」となっている。特待というのは審査員資格のある同人に次ぐポストである。特待になるまでには入選を重ねるなど非常に高いハードルがある。だから角島画伯が一流であることは間違いない。

この作品がもし本当に一点ものであったらいくらくらいするのだろうか。出品業者の説明には「真作」と書いてあり、どこにも「模写」あるいは「複製」という記述はない。入札する前にホンモノかどうかいろいろ調べてみた。すると意外なことが判明した。

第一に、過去に2015年と2023年の少なくとも2回ヤフオクに同じ絵が出品されていて、しかも「一点もの」とは程遠い安値で落札されていた。現在私が所有するいわゆる「一点もの」は、作家さんがデパートで開いた個展会場で直接購入したものである。だから、一点ものがけた違いに値段が高いことを知っている。そうしたことから考えて、有名作家の一点ものがこんな安い値段で入手できるはずがない。しかもホンモノが何回もオークションに出品されるということ自体が不自然である。

(2015年に出品された「新雪渡月橋」)

 

(2023年に出品された「新雪渡月橋」)

 

第二に、ホンモノかどうかを出品者(業者)に質問した結果が次のようなものだった。

回答には「原画」とも「直筆」とも書いてない。単に「1点物の日本画」とある。なるほど、1点物の日本画には違いない。問題は誰が描いたかである。上手にごまかしているのではないか。そんな気がした。

第三に、今回の出品には2002年の「松坂屋取扱」作品であることが明記され、松坂屋美術部のシールも貼られている。しかし、2002年の松坂屋の院展・個展を調べてみたが、角島直樹が出品した記録を見つけることができなかった。それどころか2015年、2023年に落札された2点には、松坂屋取扱シールが貼られてなかった。もし本当に松坂屋が取り扱ったのであれば、出品する際にそのことを「ウリ」にしないはずはない。ますます怪しい。

 

ということで、今回は購入を見合わせることにした。最終的にこの作品は前回出品された2点より安い価格で落札した。落札者はおそらく松坂屋美術部のシールを信じ、「ホンモノ」をすごく安い値段で買えたと喜んだに違いない。

まあ、この絵がたとえホンモノでなくても10万円くらいの値打ちはあるような気もするが・・・。ちなみに、ほかの出品絵画について「真作ではない疑いがある」とヤフーに連絡したら、すぐ出品停止の措置が取られた。

ホンモノとニセモノの区別は難しい。あるプロの画商は商品を仕入れる場合、絶対にヤフオクは使わないと言っていたが、なるほどと思った。

 

 


大いなる誤解

2025年03月12日 | 日常の風景

 
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ホワイトハウス報道官:「関税は外国への増税であり、アメリカ国民への減税です」
 
記者:「関税を支払ったことはありますか?私はあります。外国には請求されません」
 
報道官:「私の経済学の知識を試すようで不愉快だ」
 
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これを伝えたのはFox News。結構多くの国民がこの報道官と同じような誤解をしているのではないだろうか。正しくは、アメリカが関税をかければ、関税を払うのはアメリカの輸入企業であり、外国に関税は請求されない。
 
関税を払うのはあくまで購入者である。日本人が海外でお土産をたくさん買った場合、日本に入国する際に購入者本人が関税の申告をしなければならない。それと同じである。輸入企業が関税を支払い、その分を国内価格に転嫁する。だからアメリカの物価が上昇する。ちなみに購入者が払った関税は自国の税収となる。
 
もしかしてトランプ大統領も関税は外国企業が払うものと誤解しているのかも。まさか??? 日本のコメの関税率は700%だと古いデータを引用したり、ホワイトハウスに経済の専門家はいないのか。
 
アメリカが同盟国に関税という仕打ちをすれば、やがてその影響はブーメランのように自国に返ってくる。自分さえよければよいというのは長続きしない。この調子じゃトランプ政権は4年もたないかもしれない。報道官の発言を聞いて何となくそんな気がしてきた。
 
この件を見ていて改めて思う。人間だれしも間違いを犯す。その時大切なのは「間違いを間違いと素直に認める」ことである。頭ではわかっていてもこれがなかなかできない。ホワイトハウスの報道官のことを他人ごととは思わず、自分への戒めとしたい。

原因と結果の経済学

2025年03月11日 | 日常の風景

 

 

相関関係は因果関係を意味しない。見かけ上の相関は第3の変数が介在することも多い。また、原因と結果の方向が逆であることも疑うことが重要など、因果関係にまつわるポイントを具体例で解説する。

個人的には、病院では70歳を超えて自己負担率が下がると、患者数がとたんに10%ほど跳ね上がるというデータが面白かった。


幸せな人生は人間関係で決まる

2025年03月11日 | 日常の風景

 

私は人間関係を築くのが下手である。だからいまだにこんな本を読む。もっと若いころこの本と出合っていればよかった。30分で読める。

◆初対面の人には目を合わせた瞬間に微笑みかけよう。人間は自分がされたことと同じことを相手にもする。

◆人間の最大の関心事は自分のことであり、自分の利益を優先する。この心理は太古から変わっていない。

◆すべての人は「大切にされたい」「重要人物として扱われたい」という願望を持っている。そのためにはどうするか。

 ① 相手の話に耳を傾け、じっくり聞く

 ② 相手を褒める。1日に少なくとも3人にやさしい言葉をかけよう。

 ③ 相手の名前を頻繁に呼ぶ。

 ④ 「私」を話題の中心にするのではなく、相手を会話の主役にする。話し上手より聞き上手のほうがずっと得をする。

 ⑤ 相手に反論しない。口論しない。愚か者ほど反論したがる。

 ⑥ 自分の間違いに気づいたら素直に認める。

◆他人を中傷しない。ブーメランのように自分に返ってくる。

◆注意されるのが好きな人は世の中に一人もいない。どうしても注意しなければならないときは

 ① 人がいないところでする。

 ② 注意だけで終わらせるのではなく「どうすればいいか」もあわせて教える。

 ③ これからも一緒に頑張ろうと励ます。

◆感謝の気持ちを伝える。感謝を習慣にすれば人生が好転する。

 

 

わー、耳が痛いことばかりだ(笑)。

今の時代、家庭も学校も誰もこういうことをきちんと教えてくれない。教えるだけの力量がなかった我が身をこの年になって反省。

 


天下の愚策 私立高校無償化

2025年03月11日 | 日常の風景

(大阪府教育庁)

 

 大阪府の府立高校で異変が起きている。公立の全日制145校のうち、半数近い70校が定員割れとなったという。背景にあるのはもちろん私立高校の授業料無償化である。無償化については以前もブログで書いた。(https://blog.goo.ne.jp/minami-h_1951/e/f74a69f81166811669023e1ec6975b5f)しかし、改めてこの問題について書いてみたい。

そもそも石破政権が無償化を決めたのは予算を通すためである。もし国民民主党の要求する基礎控除、給与所得控除の合計を現在の103万円から178万円に引き上げた場合、国と地方の税収は7.6兆円減少する。これに対して、私立高校無償化に必要なお金はたったの5500億円である。「5500億円で予算を通すことができるなら、こんなおいしい話はない」と石破総理が思ったとしても無理はない。

しかし、それが間違いだった。そもそも国家百年の計たる教育を、政局絡みで決定するとは何事か。これだったら国民民主党と組んだ方がまだましだったのではないか。私立高校無償化の代償はじつに計り知れない。その影響はこれからじわじわとあらわれてくるだろう。

そもそも義務教育である小学校や中学校は私立だと授業料を支払わなければならないのに、義務教育でもない私立高校がなぜ無償化されるのか。また、公立と私立を競争させ、教育の質を上げるというならば、競争条件も同じにすべきである。現在のように私立高校の入試日程が先にあり、公立高校がそのあとというのでは、公立が不利になるのは眼に見えている。どう考えても制度設計がおかしい。

大阪府が私立高校の無償化を打ち出した背景には、定員割れした公立高校を統廃合したいという思惑がある。大阪府は1980年代の第二次ベビーブームのときに、教育の機会均等を担保するために府立高校を急増させた。その多くは立地条件が悪く、駅から遠いところにあった。その後、人口が減少し始めると、これらの新設校は当然に定員割れを起こすこととなった。維新の会は「3年続けて定員割れを起こしたら統廃合の対象にする」という条例まで作った。

確かに競争原理にはいい面もある。しかし、すべてに競争原理を持ち込むのは間違いである。少なくとも医療と教育は競争原理にはなじまないと考えるべきであろう。競争原理だけで学校を淘汰しようとするのは天下の愚策である。

 


韓国における障害者の社会的地位

2025年03月08日 | 日常の風景

今回の韓国訪問で一番印象に残ったのは、障害者の社会的地位が日本よりはるかに高いということだった。日本では障害者はまだまだ「保護」される存在だという意識が強い。しかし、韓国では保護ではなく、健常者と同じように暮らせることが当たり前だと考えられている(ように感じられた)。この差はいったいどこから来るのか。明知(ミョンジ)大学のナム先生によると、障害者の現在の社会的地位はすべて「勝ち取ってきたものである」とのことであった。

(ヒョン・ミョンドク大韓障害者囲碁連盟会長)

 

ここで簡単に韓国の政治制度を紹介しておく。大統領の任期は1期限りの5年で、再選は禁止されている。国会は一院制で、議員の任期は4年、議員定数は300議席である。民主化がなされた1988年以降、小選挙区比例代表制が採用されており、300議席のうち全国区である比例代表は47議席を占める。

韓国では2000年に政党法が改正されて、比例代表の議席の30%を女性に充てるクォータ制度が明記されている。しかし、障害者枠のクォータ制度はない。とはいえ、各政党は女性のクォータ制度を利用して、障害を持つ人を比例代表名簿の上位に載せる形で障害者の議会進出を図ってきた。

2020年4月に行われた国会議員選挙では3名の障害者議員が誕生している。国政の影響は当然地方選挙にも反映される。2022年の全国同時地方選挙では、37名の障害者議員が当選している。韓国の障害者の総数は264万人、人口の5.1%とされる。ただし、偏見への恐れなどを理由に登録しない人もいるため、実数はさらに多いとも言われる。

1988年ソウル・パラリンピックの開催は、韓国障害者福祉政策に大きな影響を与えた。障害者団体が連合して韓国障害者総連盟を構成し障害者運動が体系化された。そして、2000年代に入り国民一人当たりのGDPが2万ドルを超え,所得水準が向上するとともに福祉政策も整備された。

障害者問題は他人事ではない。今は健康でも「いつ」「どんな理由で」自分が障害者になるか分からない。人間として一番大切なことは、他人の痛みを自分のこととして受け止めるイマジネーション力である。国家の品格は社会的弱者をどのように扱うかに現れると言われる。日本が韓国に追い越されたのは賃金だけではなさそうである。

 

 


3月の予定

2025年03月03日 | 日常の風景

1月ですべての授業が終わったあと、2月は韓国の国際障害者囲碁大会の準備に追われ、あっという間に3月になってしまった。とりあえず、大きな仕事が3つ。

① 4月に出版される『よくわかる経済学入門』(角川ソフィア文庫)の再校ゲラのチェック

② 2月の国際障害者囲碁大会の雑誌原稿の執筆

③ 囲碁サロン爛柯の席主(毎木曜日)

  授業がなくなったことから、3月は木曜日以外にも臨時でいくつか引き受けることになった。

このほかに、3月22~23日には京都の聖護院で「全日本こども囲碁大会」が行われ、その取材および原稿執筆の仕事がある。この大会は全国の小中学生にとっては「全国少年少女囲碁大会」(NHKでも放映)と並ぶ2大大会の一つで、地方予選を勝ち抜いた全国の子どもたちが集まる。まあ、忙しいというのはいいことか。感謝・感謝

  


春休み囲碁合宿

2025年03月03日 | 日常の風景
子どもから大人まで、今年も全国から集まって合宿が行われます。
場所は京都の聖護院。
プロの先生の指導碁付きです。
料理がとってもおいしいのもうれしいです。
参加ご希望の方はとりあえずお電話で、まだ申し込み可能かどうかご連絡ください。
 
 
 
 
 

韓国の少子化の理由がわかった

2025年03月01日 | 日常の風景

日本の少子化が止まらない。合計特殊出生率は1.2。この調子で人口減少が進んだら800年後には日本の人口はゼロになるという笑い話を何かで見た。

しかし、韓国の少子化はそれどころではない。合計特殊出生率は0.75である。そのことを知識としては知っていた。だが、少子化が進む原因までは考えたことがなかった。今回ソウルを訪問してその理由がわかったような気がした。

ソウルを空から眺めると、圧倒的にマンションが多いことに気が付く。韓国の人口の半分がソウルとその周辺には住んでいるというから、住宅を確保するためには空に向かって積み上げるしかないのだろう。地元の人に聞くと、平均的なマンションの取引価格は10億ウォンだという。日本円にすると1億円である。少し良い物件になると30億ウォンくらいするらしい。

それに加えて、韓国の教育費はべらぼうに高い。小さい時からいくつも習い事をさせ、1か月の月謝が10万円を超えることもあると聞く。そうでもしないと学歴が重視される韓国社会では落後してしまうリスクが高くなるらしい。

高額な住居費と教育費。これではいくら賃金が日本より高くなったとはいえ、生活は決して楽ではあるまい。少子化が進むのも無理はない。とくにソウルに限っていえば合計特殊出生率は0.55というとんでもない数値である。ソウルの住宅事情が改善されない限り韓国の人口は増えようがない。

一般に一国の長期的な経済発展は次の関数で表すことができる。

  G=F(資本、技術革新、人口、資源)

人口が横ばいで推移するためには合計特殊出生率2.08が必要だとされる。人口減少が続けば、やがて経済の停滞をもたらす。日本も東京一極集中が続けば、やがて韓国のようになる可能性がある。少子化対策が効果を表すには時間がかかる。子育てをしやすい街づくりは待ったなしである。