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南英世の 「くろねこ日記」

れいわの風

参議院選挙が終わった。投票率は戦後2番目に低い48.8パーセントだったという。なぜ、かくも多くの人が選挙に行かなかったのか。

一言で言えば、積極的に応援したい政党がなかったからではないか。
自民党に入れるのは嫌だ。公明党は宗教団体だからもっと嫌だ。さりとて、立憲民主党は「まっとうな政治」としか言わず、与党を批判するしか能がない。国民民主党はよくわからない。維新は自民の補完勢力でしかないからやっぱり入れる気がしない。共産党は言っていることは筋が通っているかもしれないが、いまさら共産主義国家の樹立などというのは時代錯誤だ。結局、与党には入れたくないうえ、野党にも受け皿となる既成政党がない・・・

そんな中でがぜん注目を集めたのが「れいわ新選組」である。結党は2019年4月1日。新撰組ではなく、新しく選ばれるといういみで「新選組」にしたという。なんともけったいな党名だ。

当初は山本太郎に対する理解も全く浸透していなかった。しかし、もともとは合区によって議席を失う自民党の国会議員を救済するために設けられた「特定枠」を逆手に利用し、重度の障害を持つ2人をまず当選させ、自らはそのあとに続くという巧みな選挙戦術。

しかも、政策は国民の関心が一番高い経済政策を前面に打ち出す。「消費税の廃止」「法人税への累進制導入」「新規国債の増発」「最低賃金1500円」「奨学金チャラ」、さらには「辺野古基地の建設反対」「原発の即時禁止」も。

山本太郎の演説をネット配信で見た。「生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか?努力が足りなかったからじゃないか?違いますよ。間違った経済政策のせいですよ。消費税は増税じゃない、腰が引けた野党が言う凍結でもない。減税、ゼロしかないじゃないですか」 「ないところから税金をとるな。金持ちから取れ」。

山本の政策は徹底的な反緊縮と減税である。以前、これと同じことをある立憲民主党の国会議員に進言したことがある(2017年)。左派系の経済学者として有名な松尾匡・立命館大教授の説である。しかし、残念ながら採用には至らなかった。

選挙戦が始まり、日がたつにつれてれいわ新選組を支持する声が高まった。演説会場に集まる聴衆の数が半端ない。ネットの書き込みでれいわを支持する書き込みが相次いだ。結局、れいわ新選組は比例区で228万票(4.55%)を獲得した。テレビのニュースでほとんど報道されなかったにもかかわらず、結党以来3か月半で、これだけの支持を得たのである。

れいわ現象を一過性の現象と見るべきではない。1980年代から始まった新自由主義に対する反動なのである。自己責任の名の下で切り捨てられてきた社会的弱者の怨嗟の声をうまくとらえているのだ。いままで「金持ちの、金持ちによる、金持ちのための政治」が行なわれてきたことに、国民がようやく気付き始めたといってもよい。

国民のニーズをうまくとらえたれいわ新選組は、次の衆議院総選挙で台風の目になるのではないか。少しずつ吹き始めたれいわの風は、次の選挙でトルネードに発達するような予感がする。いっそのこと、立憲民主党も共産党も国民も社民もみんな解党して、れいわに一本化したらどうなんだろう。小沢一郎も含めて。きっと政権をとれると思うよ。
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