山梨の花を探して、楽しんで

山梨の豊かな自然に育まれている植物、特にその季節に咲く花について書いてます。

謎だった大口山

2022-01-29 21:21:00 | 花探し
ご存知の方は読み飛ばしてください。
ただのあまり地元に詳しくないものの話ですから。

発端はこれでした。



野生絶滅とされるトキソウがあった山梨の大口山というのはどんなところなんだろうかと。
トキソウは水のあるところに咲く花です。調べてみると昔はここ以外の湿原にもあったようです。
ただここに書かれているということはここが歴史的に最後の生息地だったのかもと思いました。
そこで山のマップを調べてみるとこんな感じでした。

一番山歩きの方に利用されているYAMAPの地図です。
山だから左のピークあたりかと。
湿原のある方角が書かれていたのでその周りをもっと広く歩いてみたら見つからないかなぁとも考えてました。
山って広いですから。

でも最近昔の文献を見ていてやっとわかりました。もっと下のほうだと。
八代町誌によれば、
奈良原部落から南東に約2km、浅川の谷を登ると緩傾斜の広いところにでる。
そこが大口山開拓地で標高700〜800mの湿原だと。
トキソウだけでなく、昔はモウセンゴケやミミカキグサ、カキラン 、ミズトンボなどもあったそうです。
今はどうなってるのでしょうか?
そう思ってYAMAPのマップを拡大したら、

なんと685mの大口山のピークがはっきりと書かれていました。標高からすればこのあたりです。
実際もっと上かと思っていました。びっくりしました。
この道みたいなルートは今もあるのでしょうか?
その季節になったら一度檜峯神社の西側のトビス峠あたりから沢沿いに歩きながら花探ししてみようかと思います。

一昨年からの謎、大口山ってどこがわかって嬉しかったです。








マネキグサとキレハマネキグサ

2022-01-29 19:33:00 | 似てる花の見分け方



今日のお題はこれです。

山梨にはマネキグサの変種のキレハマネキグサがあるそうです。
ともに山梨県絶滅危惧IB類です。マネキグサは環境省準絶滅危惧種です。
マネキグサはメッシュ1、キレハはメッシュ2ですがいずれも2005年のもので今回の調査で確認されていません。

花が特殊なのでこの写真はマネキグサであることは間違いありません。
葉の縁に大きなギザギザがあります。これがキレハなのでしょうか。

ただ図鑑にも見当たらず、ネットにもほとんど写真がなく、Ylistに書かれている文献にはうまくたどり着けませんでした。
ところが先日ひょんなことからキレハと書かれたこの絵にたどり着きました。

出典や著者の方を明示すべきだと思いますが、生息地も明確になってしまうのでやめました。すいません。
問題があればご連絡ください。掲載をやめます。

この絵と比べるとキレハといっていいのかもしれません。
同じ場所にはこのような葉のものもありました。
これはマネキグサでよいように思えます。ということで両種は混生するのではないでしょうか。

私はこの場所以外ではまだ見たことがありません。今年は是非別の生息地にいって見比べてみようと思います。








山梨のスミレ まとめ編

2022-01-25 17:40:00 | まとめ
見分け方がいくつか行き詰まったので少し違う話題を。
前々から頑張るとしていた「山梨のスミレ」に関するまとめがやっと終わりました。

参考にさせていただいたのは、
◯「山梨スミレの会」の山梨に生息するスミレ
◯山梨県八ヶ岳自然ふれあいセンターが配布されていた「八ヶ岳のスミレ一覧」

◯上記の一覧を作るにあたって参考にされたと書かれていた田中智さんのHP「八ヶ岳周辺のスミレ」に掲載されているもの
◯自分で見かけたスミレ

まず増補改訂版「日本のスミレ」の地域限定の種類を除いてデータベースに入力して
そこに上記の4つに掲載されているものをそれぞれチェックを入れました。
シロバナや色の濃淡の違いなど出来るだけ種類を分けました。
もちろん八ヶ岳のスミレがすべて山梨に咲いているものではないと思いますし、すべてYlistでチェックしてないので認定されてない種も入っているかもしれません。現在、約150種類くらいです。

これからブログやFacebook、インスタなどで山梨で見たと書かれているものを加えていこうと思います。昔の植物誌などに書かれているものの当時の大まかな生息場所なども加えて情報の集約をしていこうと思ってます。
また私が見ていないというか、見分けられないものが多いのでそこも改善していこうと思います。第一優先です。
昔の写真見て考えてもかなり難解なので、よくご存知の方に教えを乞うことも考えてます。
特にタチツボスミレ関連ですね。

時々書いていたのでとりあえずまとめたという結果をご報告まで。





山梨のオウレンの仲間たち

2022-01-24 14:30:00 | 似てる花の見分け方
今回のお題は長年ペンドしていたこれです。


オウレンの仲間です。
この花は早春に山の上でたくさん咲き、その時点では葉がありません。

山梨では「山梨の植物誌@植松春雄1981」 によれば
◯オウレン、キクバオウレン
◯セリバオウレン
◯バイカオウレン、ゴカヨウオウレン
◯ミツバオウレン
の4種類となっています。よく参考にさせていただいてる「山梨県植物誌@山梨県1982」ではオウレンがなく3種類でした。「山梨の植物誌」には栽植の文献が載っていたので昔薬用として栽培されていたのを載せられたのかもしれません。

またネットでは、
◯コセリバオウレン
◯ウスギオウレン
も見かけたと書いてあったのでこれも加えます。
あと2015年に出された森林総研のオウレン属の調査報告ではミツバ、バイカ、ウスギのみ確認されていました。

ミツバやバイカは葉っぱで容易に見分けられるのでのぞいて、残りの4つを調べました。

図鑑などを見ると違いのポイントは
◯花茎及び花色
◯葉のつき方
でした。

◯オウレン    
   花茎   15〜40cmと大きい。白い花。花弁状の萼片5〜7個、花弁5〜6個。
   葉は1回3出複葉
◯セリバオウレン
   花茎  7cm位。白い花。花弁状の萼片5〜7個、花弁8〜10個。
   葉は3出羽状複葉(「山に咲く花」では2回3出複葉)
この写真は以前東京の小峰公園で撮影したものでセリバオウレンとされています。
たしかに葉っぱがセリバの特徴どおり大きく切れ込んでいて、花弁も9〜10個あります。
でも花茎は7cmよりもかなり長かったです。

お題の写真の花は葉っぱはわかりませんが、花弁は8つありオウレンではなさそうです。
ただ小峰公園のものに比べて、花茎も細く短かったです。

コセリバオウレンとウスギオウレンは図鑑に載っていませんでした。
ネット情報をまとめると以下のようでした。
◯コセリバオウレン
  花は白色。花弁8〜10個。
  葉は3回3出複葉。
  太平洋側に分布する
  セリバとの違いは葉の出方だけと多く書かれてました。ただ写真の説明の際に「小さい小さい花」書かれていることも多かったです。命名からすれば実際そうなのかもしれません。また写真を見ると葉っぱがより細かく分裂しているものも多かったです。
◯ウスギオウレン
  花茎 10〜20cm。萼片  淡黄色、花弁は黄色。
  葉は1〜4回3出複葉。コセリバオウレンと同じと書かれていました。
  ウスギは本州中部(東京、神奈川、埼玉、長野、山梨、静岡)にのみ分布

お題の写真は萼片や花弁の色あいから見て、山梨にあるとされているウスギオウレンでよいと考えます。
同じ山で今年11月に見かけた葉っぱも載せておきます。


今回改めて山梨で最初に見かけた別の山の花を確認したのですがそれもウスギオウレンでした。セリバは先日葉っぱだけ見かけたので春に花を確認してきます。なので山梨にはセリバ、ウスギ、ミツバ、バイカの4種類あるのでよいかと思います。
あとは図鑑に日本海側に生息とあったミツバノバイカオウレンを見かけたような気がするので、どこだったか過去の写真で確認してみます。

追伸 2022/03/08     山梨のセリバオウレンが咲いたので見に行ってきました。
花と葉っぱの写真を載せました。



花や葉っぱは以前見た小峰公園とそっくりです。やっぱりお題のものとは大きさがかなり違います。ただ保護されている場所ではなく、登る途中で見かけた葉はそこよりもかなり小さかったので栄養状態や食害などの違いなのかもしれません。ちなみに途中のものは花芽はまだありませんでした。








ウグイスカグラ、ヤマウグイスカグラ、ミヤマウグイスカグラ

2022-01-24 10:37:00 | 似てる花の見分け方
今日のお題はこれウグイスカグラ仲間です。


一昨年の10月に花を確認し、ずっと春先までこの寒い山梨で花をつけている木を見つけました。
今年も頑張って咲いています。近所の公園ものはやっと花芽が膨らんできたくらいであと数週間はかかりそうです。

ウグイスカグラと名前がつくのは山梨には全部で5種類あるそうです。
今回の題名の3つに加え、
亜高山帯〜高山帯に咲く クロミノウグイスカグラ
前にも書いたチチブヒョウタンボクの母種になる コウグイスカグラです。
ともに花が黄色く見分けやすいそうです。
クロミノは山梨県絶滅危惧IA類、コウグイスは山梨県絶滅危惧IB類と稀少な花なので今年会えるといいなと思っています。

さて残る赤い似ているウグイスカグラの見分け方ですが、毛の種類と生えている場所に差があるそうです。

改訂版原色牧野植物大図鑑@牧野富太郎1996北隆館によれば、
◯ミヤマウグイスカグラ
   ミヤマがつきますが特に高いところにあるというものでもなく、山地にあると書かれていました。
   枝や葉に褐色の毛あり。花柄と子房と花冠の筒部に線毛が密生。
◯ウグイスカグラ
   無毛
   なんとわかりやすい表現でしょう。
◯ヤマウグイスカグラ
   枝に毛なし。
   葉の両面や縁に毛があり、裏面は白みを帯びる。
   花柄や花には毛がない。
   これが残り2つの基本種なんだそうです。

お題の写真は枝にも花柄にも花にも毛があります。
ということでミヤマウグイスカグラですね。線毛かどうかは写真ではわからないので実物を見てみます。