山梨の花を探して、楽しんで

山梨の豊かな自然に育まれている植物、特にその季節に咲く花について書いてます。

レイジンソウたちの見分け方

2021-12-28 14:38:00 | 似てる花の見分け方
山梨にきてはじめて見かけたこの花。昨年までは南アルプスと御坂でみかけていたが
今年に入って八ヶ岳南や南アルプス前衛、また奥秩父でも見かけた。ということは山梨全体にあると
いうことのようだ。

植物誌に載っているのはオオレイジンソウとレイジンソウ、アズマレイジンソウの3つで、
オオレイジンソウは2005年のRDBでは絶滅危惧IA類だったが生息地が開発され、2018年版では
情報不足とされている。オオレイジンソウは花色が黄色いので容易に見分けられる。
残りは2つだが、違いを調べていくうちにこの2つの交配種とされるフジレイジンソウがあることが
わかった。1935年の文献によるそうだ。意外に古い。原文はラテン語だったのでgoogle翻訳でも歯が立たず。
交配種なので両方が存在する近くにあることになる。きっと見分けにくいに違いない。

まず分布を見てみた。
図鑑によればレイジンソウ分布は本州の関東以西、四国、九州。
それに対してアズマレイジンソウはウィキペディアによると本州の東北地方から近畿地方の
おもに太平洋側に分布とされている。ちなみにアズマは福島県の吾妻連峰で最初に発見された
ことによるものだが漢字はいつのまにか「東」とあてられるようになったそうだ。
なので山梨はどちらもある分布地域にあたっていた。

県植物誌ではアズマは南アルプスと富士山。レイジンソウは南アルプス、八ヶ岳、奥秩父、富士山と
なっており場所認識とはいきそうもない。雰囲気的にはアズマが南アルプス前衛だけだと、御坂層に
アズマでもいいようにもみえるが、、

見分け方のポイントは毛の種類と生えている場所のようだ。
ネットや図鑑などの情報を整理してみると、

レイジンソウ
◯茎上部に短毛を蜜生。がく片5枚、粗毛を密生(図鑑)
◯茎上部に密に短毛。花の外側や花柄に開出毛(ウィキペディア)
◯花柄や上萼片に開出毛(三河の植物観察)

アズマレイジンソウ
◯葉柄と葉裏脈上に屈毛、ときに開出毛が混ざる。花柄に屈毛。
   花の外側にまばらに屈毛、ときに開出毛や伏毛が生える。
   側萼片の内側に白い長毛(三河の植物観察)
◯葉表面に細毛、葉裏葉脈に屈毛あるいはなし。上萼片の外側や花柄に屈毛。花弁は無毛(ウィキペディア)

フジレイジンソウ
◯多くの特長はアズマレイジンソウに似る。
   花柄に屈毛。上萼片に屈毛と開出毛が混じる。茎はほぼ無毛(野山の花たち)
◯萼片の外側に直毛(高尾山 花と木の図鑑)
◯花柄に開出毛(野生植物・花追い記)

まずフジレイジンソウだがネット情報が錯綜していてはっきりしない。原文献は先ほど書いた通り。
またネットで閲覧したすべての花は高尾山系の小仏城山周辺で目撃されたもの。場所認識のようだ。
実際に観察した人でも違いがわからないと書いているひとも少なくない。
交雑種だから母種が近くにあると思うのだがそうでもないようだ。
また「野山の花たち」にフジレイジンソウは交雑種ではなく、関東や中部で
レイジンソウと呼んでいるものはすべてフジレイジンソウとする説があるそうだ。
個人的にはこのほうが納得できる。

なのでとりあえず
屈毛があればアズマレイジンソウ、屈毛がない=ほとんど開出毛=レイジンソウ
で見分けようと思います。

そして前回載せたこの写真から判別しようとしましたが毛が密にはえていて判別不能でした。
来年実際にルーぺでみてみようと思います。もちろん小仏城山にもいきます。

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