『英雄』 作詞 松本 隆
しら茶けた光の中に
今君は横たわってる
世界中 啜泣く声が
潮騒のように 聞こえる
青ざめて倒れた夜は
ボロボロの布切れのよう
魂は 時を渡って
若き日々に 唄いかけてる
ひとつの時代が終わる時
ひとつの墓が残るのか
天に舞う男を追いかけて
新しい男たちが名をあげる
色っぽい男がいたよ
僕たちの記憶の中に
栄光の 冠なんて
人の手に わたるもんだね
もう君は白いスカ-フを
ひらめかせポ-ズできない
でも 君のロックンロ-ルは
歴史へと 焼きつくことだろう
ひとつの世代が覚えてる
若さをゆさぶる熱い血を
新聞は日々のことに流されて
君の名は片隅へと消えるけど
今君は解き放たれて
自由へと翼広げる
英雄の名に 縛られずに
閉じこもる 館さえもいらない
君のことをただの男と
ムチを打つ人々もいた
許してよ 人の心は
それほどに 弱いものだよ
ひとつの時代を燃えたたせ
ひとつの夢が今死んだ
天に舞う男を追いかけて
僕たちは青い空に駆けてゆく