原題 THE PUPPET MASTERS
訳・福島正実
ハヤカワ文庫
2005年12月 発行
2014年 4月 2刷
解説・森下一仁
394頁
アイオワ州に未確認飛行物体が着陸
その調査に赴いた調査官6名は行方不明に
そこで秘密捜査官サムとその上司、赤毛の美人捜査官メアリの3人は真相究明のため現地に向かいます
やがて、驚くべき事態が判明
アオイワ州の住民のほとんどが宇宙からやってきたナメクジ状の寄生生物にとりつかれていたのです
人間の神経に吸い付いて精神を乗っ取り次々と自分たちの操り人形へと変えていく恐るべき侵略者と戦うサムたちの活躍を描きます
捜査の段階で、サムは侵略者にとりつかれます
その時のサムは穏やかな精神状態にあり、侵略者=マスターの思いのままに動くことに安らぎを感じるのです
スタートレックシリーズに登場するヴォーグに近いですね
何も宇宙からの侵略者に限らず、地球上には人間をマインドコントロールしようとする輩は多いのですけど…
外見は人間でありながら中味はまったく別物という存在は社会を根底から揺るがします
他人と自分が同じ心を持っていなければ一人一人が孤立してしまい社会そのものが成り立たなくなります
恐ろしいですねぇ
20世紀半ば、フィニィの「盗まれた街」などこの種のSFが多く書かれた理由
いわゆる冷戦時代、共産主義者とホモセクシュアルがアメリカ的な暮らしを覆すため秘かな企みを進めていると信じ込むよう奨励され、見かけは我々と全く変わらない彼らを異星人に置き換えた物語が人気を博した
だそうです
森下さんによれば
ハインラインの描いた「人間の心をもたない人間」の恐怖はイデオロギーの異なる人間を排斥する気持ちを超えた、さらに普遍的かつ根元的なものであり本作における、とのこと
本作が時代遅れにならず名作であり続けられているのもそういう理由なのでしょうね
「未来はきっと素晴らしい」という確信に満ちた時代のSFビッグ3の一人ですね。昔は良く読みました。もっとも私の中ではアシモフ>クラーク>ハインラインの順で、ハインラインはやや苦手(『夏への扉』は別格ですが)にしてました。
とは言え、面白そう。今度読んでみようかな。
ハインラインの一番は「夏への扉」ですよね!
「輪廻の蛇」も好きです。
アシモフもクラークも映画は観ているのですが、原作は昔々読んだような気もするけど…という程度の記憶しかありません。とりあえず代表作を読んでみましょう(^o^)丿