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青山文平「江戸染まぬ」

2023年12月21日 | あ行の作家


文藝春秋
2020年10月第1刷発行
222頁

江戸に生きる人々が織りなす鮮やかな人生
“青山流時代小説”の真骨頂!

「つぎつぎ小袖」
貧乏旗本の妻女が、いつも頼みを引き受けてくれる仏のような人からの借金申込を断った理由
妻女の心のうちがグダグダと書かれているのですが、結末に至るに妻女の身勝手さも応援したくなりました

「町になかったもの」
独学で原文のまま漢籍を読めるようになった男が江戸の書肆でみたものを生まれ育った町で生かします
江戸時代の文化の高さ、日本人の知的レベルの高さが垣間見えます

「剣士」
厄介叔父が身の振り方を考え続けます
最後に武士の誇りを見せるも、それが切なかったです

「いたずら書き」
藩主から目安箱に入れるよう預かった書状
内容を読むと、自分より早く出世する幼馴染に嫉妬し、幼馴染がいかにその役職にふさわしくないか、が書き連ねられていました
主従の揺らぎない信頼関係のおかげで事なきを得ます


「江戸染まぬ」
旗本の手付きとなり、男子を残して里に戻される女と、彼女を故郷まで送り届ける男の話
女の強かさに舌を巻きます


「日和山」
隠居した父の不始末で江戸追放になった武家の次男
武士の生活に嫌気がさし、伊豆・下田の博打うちの用心棒になります
日和山で出入りの助っ人を頼まれますがペリーの黒船から放たれる大砲に肝を冷やして退散します


「台」
色男で遊び歩いている武家の次男が、生真面目な兄が下女に気があるのをみて、自分が彼女を落とそうと学問を理由に実家に帰りますが、一向に相手にされず
それどころか下女のお腹が膨らんできて、赤ん坊の父親が誰なのか判明した時の驚きといったら


幕末が近い頃の話
それぞれに繋がりはありませんが江戸や江戸周辺の人々の暮らしがよく伝わってきます
帯に『青山流時代小説』とあるようにこれまでに読んだ他作家さんの時代小説とはひと味もふた味も違った短編集でした

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (todo23)
2023-12-21 16:07:43
青山さんは大好きなのですが、この作品はなぜかピンときませんでした。この本に収録された短編「江戸染まぬ」を長編化した『底惚れ』は良かったのですが・・・。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/24348861.html
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todo23さん (こに)
2023-12-23 08:39:01
青山さん、まだ読み始めたばかりで良いも悪いも、なところです。
図書館に在庫が少ないので人気なんですよね。
青山さんも、ボチボチ読んでいきます(笑)
返信する

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