講談社文芸文庫
2014年4月 第1刷発行
2020年6月 第5刷発行
解説・谷口幸代
220頁
「かかとを失くして」
夜行列車に乗って異国の街にやってきた主人公
彼女は郷里の町から「遠い国」にそこに住む夫との書類結婚のためにやってきたのです
夫の家に辿り着いたものの夫は姿を現さず朝目が覚めると枕元の小さなテーブルに紅茶とお札が置かれているだけでした
「三人関係」
つかみどころがない三人関係を夢想する会社員の主人公
自分と元カレと元カレの従兄弟
会社にアルバイトにやってきた女子学生と彼女の高校時代の美術部顧問とその妻
登場人物たちは皆何かしら繋がりがあります
錯綜する人間関係はどこまでが現実でどこからが夢想なのでしょう
「文字移植」
翻訳の仕事のためカナリア諸島にやってきた主人公
島の住民に観光客と思われ植民地時代の傷を強く感じ取るのです
三作とも不思議な読後感でした
多和田さんの読点の少ない長文が好きです
簡単にその世界に入ることを許してくれないけれど魅力的な作家さんです
理解したくても理解できない力不足を思い知らされながらもきっとまた多和田さんを手にするのでしょう
読点なしで書いてみましたが短文なので影響無しですネ(#^^#)
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