2010年 アメリカ
原題 Beginners
邦題に「人生~」や「~人生」をつけた映画が多いですね
本作も同様、頭の「人生は」って必要かしら?
日本人が好む言葉なのかしら
さて、映画の感想です
実は観賞直後は、つまらない映画を観た、と思ったのです
それで感想も残さないつもりでいたのですが時間が経ち諸々思い出すうちに、そうでもないかも、と感じ始めました
監督、マイク・ミルズの私小説ならぬ私映画だとか
主人公は38歳、独身のアートディレクター、オリヴァー(ユアン・マクレガー)
父の残した愛犬アーサーと暮らしている
母親が亡くなって数年後、75歳になる父、ハル(クリストファー・プラマー)がカミングアウト
「私はゲイだ。これからは本当の意味で人生を楽しみたいんだ。」
戸惑いを隠せないオリヴァーをよそ目にゲイの集まりに参加したり恋人を作ったり、美術歴史家という肩書きもあるのか堅物で表情に乏しく衣服にも関心が無かったハルに、どんどん変化が現れ、明るく素直に前向きな生き方をするようになる
しかし、ハルは癌を宣告されカミングアウトの後5年で恋人や友人が見守る中、オリヴァーを残し亡くなってしまう
映画は、現在のオリヴァーの暮らしに、ハルのカミングアウト後から亡くなるまで、それと幼い頃の母との思い出、が挿入される形になっています
現在のオリヴァーにはフランス出身の恋人、アナ(メラニー・ロラン)がいるのですが、オリヴァーの父親を失った喪失感や本当の意味で夫婦であったのかどうか分らない両親(母と結婚したときに一度はゲイを捨てた父、そしてユダヤ人であることを捨てた母)から生まれた自分とは何か、という疑問などがあり、どうしてもアナに全身全霊をぶつけていくことが出来ないでいます
アナも人と距離を置いて生きてきた部分があり、愛し合いながらも衝突する二人
ハルの恋人だったアンディ(ゴラン・ヴィシュニック)からは「君が僕と距離を置くのは僕がゲイだからか」と厳しい言葉を浴びせられる
字幕だけですが、犬のアーサーに台詞があるのです
じっとオリヴァーを見つめるだけで声を発するわけではなく、テレパシーのような感じで、哲学的で、その場にぴったりの言葉をオリヴァーに送ります
オリヴァーもアーサーの言葉が理解出来るようです
アーサーの言葉は、オリヴァーの心の奥に隠されたもののようでもあり、父・ハルからの言葉のようでもあります
アナも、初めのうちは存在意味があるのかと思いましたが、徐々に彼女の台詞や表情のひとつひとつに重要な役割があることがわかってきます
オリヴァーは38歳の男性にしては幼いように感じられますが、ハルが75歳を過ぎてから自分の人生を生き直したように、人は何歳であっても人生の初心者であり、自分の殻を破って一歩を踏み出す勇気が必要なのだ、ということを教えてくれる映画だったと思います
アーサーは犬好きたんぽぽさんには『ツボ』だったのでは?
賢者っぽいワンちゃん、良かったです。
(^.^)
表面上特に大きな事件があったわけではありませんが、オリヴァーの内面に大きな変化。こんなところをほろ苦くユーモアを交えて語る素敵な作品だったなあ・・・と思います。
アーサーの字幕セリフがまたよかったですね。大好きです。
軽い内容ではなく、面白さは無かったですが犬のアーサーがホッとさせてくれましたね。
そうそう、じわじわ、ときました。
(^.^)
面白いというよりは なんか素敵な作品で
じわじわといい映画でしたね
「初心者」では、やはりいけませんねぇ。
映画タイトル索引の記事編集をしていたら「人生」で始まる邦題の多いこと!
何か人を惹き付けるものがある単語なんでしょうね。
(^_^)