来たる11月4-5日にかけて、ギリシャのアテネでGlobal Forum on Migration and Development (GFMD-移住と開発に関するグローバルフォーラム)が開催される。
ベルギー(2007)フィリピン(2008)でそれぞれ開催され、今回が3回目となるGFMD。当フォーラムに関する基本情報は以前の投稿こちらとこちらを参考にされたい。
100カ国以上の政府デリゲーションが参加して行われる大規模なフォーラムであるからこそ、3回目となれば、それなりの「結果」を出し、その存在意義を示していくことが求められる。アテネGFMDではそれができるか、というところに注目が集まる。つまるところ、フォーラムで採択された行動指針をどれだけ達成に導いたか、というところだ。
今回のアテネのフォーラムがフィリピンそれに比べ、一歩進化したと感じられるのは、第一回のベルギーフォーラムで採択された指針のうち、いくつかの分野において、成果品が出てきているというところだろうか。たとえば、法外な移住斡旋料にあえぐ労働者の負担をどのように軽減するか、といったプラクティカルな検証をする報告書などは非常に興味深い。
一方で、あくまで個人的な感想だが、フィリピンで開かれた第2回目のGFMDの結果がその後のフィリピンの移住と開発政策に大きな貢献や影響を及ぼしたかというと疑問が残る。GFMD政府フォーラムや市民社会フォーラムで採択された行動指針が十分に現場に届いていないからだ。フィリピン政府は労働者の送り出しには積極的であるが、依然として帰還した労働者への支援、労働者送金を生産的な活動へ向ける取り組みなどに十分な関心を寄せていない。アジア最大の労働者送り出し国であるフィリピンでこの有様であるということは、ほかの国でのインパクトはあまり期待できない。
移住と開発という課題は、非常に政治的にセンシティブな側面を持つ一方で、重要な地球的規模の課題を議論するのであるから、とにかく一歩一歩「結果」を出すことを重視する有意義なフォーラムとなることを期待したい。