世界の移民政策、移住労働と日本

日本型移民政策とは何か?世界の移民政策に関するニュース、エッセイ、本の紹介など

南アフリカの移民問題

2008年06月15日 | その他世界の移民政策
移民に対する暴力、暴動と聞くとヨーロッパのことだとおもってしまいますが違います。南アフリカです。大陸のなかでも突出した経済力を保持する南アメリカは近隣諸国からの移民に安い労働力を頼っています。

人種差別、アパルトヘイトを克服した国で、今度は国民と移民の間でいがみ合っています。南アフリカの雇用者はではなぜ高い失業率にあえぐ自国の国民を労働者として使わず、外国人に頼るのでしょうか。もちろん賃金が安いということがあるでしょう。一般的に雇用者が移民を好んで雇う理由に「従順さ」や「勤勉さ」などがあげられます。アパルトヘイト撤廃後の南アフリカで白人と黒人の労使関係というものが過去も問題ともあいまって難しくなっているのかなあと憶測してしまいます。

隣国のジンバブエはインフレ率が何百パーセント、政治も経済も破綻しきっています。ジンバブエからの労働者はおそらくわらもつかむ思いで南アフリカにもぐりこんできます。かれらのガッツ、労働への意欲はきっと並大抵ではないのでしょう。



http://www.asahi.com/international/update/0602/TKY200806010172.html
【ヨハネスブルク=古谷祐伸】南アフリカの国内各地で、周辺諸国からの移民を排斥する動きが激化している。武器を使った暴力行為が5月から続き、1日までに62人が死亡、約4万2千人が避難生活に追い込まれている。背景には、好調な経済に取り残された黒人貧困層の深刻な失業問題がある。

 襲撃は5月11日夜、ヨハネスブルク中心部に近い旧タウンシップ(非白人居住区)のひとつ、アレクサンドラ地区で始まった。地元民が、なたや石、銃で移民に襲いかかった。ジンバブエやモザンビークからの不法移民と南アの貧困黒人層が入り交じり、「シャック」と呼ばれる粗末な小屋などに住む地区だ。

 5月31日、同地区は一見平穏だ。だが、目に付くのは南ア人ばかり。移民はことごとく家を追われたという。

 道端で集団で座り込み、ビールを飲んでいた無職の男性(30)が「見ろ」と言って、へその辺りに挟んだ拳銃をちらっと見せた。「外国人(移民)は絶対に戻らせない。やつらは泥棒だ」。別の男性(26)は「不法移民のせいで、おれは空き瓶集めしか仕事がない」と不満を吐いた。

 追われた移民の一部は、近くのブラムリ警察署に避難している。約170人のジンバブエ人らが三つの仮設テントで暮らす。同国から95年に出稼ぎで来た不法移民ムサカさん(33)は「攻撃してきた男たちは、言葉遣いやなまりで移民を探していた。まるで人種差別。故郷は経済がひどいから帰れないよ」と話す。

 アパルトヘイト(人種隔離)政策とは91年に決別した南ア。今回、黒人政権が誕生した94年以来初めて、騒乱鎮圧に軍隊が投入された。

■失業に不満

 襲撃は、同地区で直前に開かれた住民集会がきっかけだった。失業への不満が噴出し、移民を追い出す了解がまとまったという。移民は地元民の半分程度の給料で働くため、ただでさえ少ない仕事が「移民に奪われる」という脅威を感じているのだ。

 南アの失業率は23%。だが、近年の経済成長で貧富の差が広がり、貧困層の失業率はさらに高い。犯罪の増加を移民のせいにする主張も目立つ。最近の食糧高騰が、貧困層の不満に拍車をかけた。

■5万人出国

 排斥の動きはダーバンやケープタウンへも広がった。避難者数を南ア政府は3万人としているが、国連側は10万人と発表。国連は、うち半分以上は移民の本国の支援などで既に出国したとみる。南ア政府は2千人規模の臨時キャンプを7カ所に設け、警察署や教会に避難した移民を移す方針だ。

 それでも南アの移民社会は、ジンバブエ人を中心に500万人とも言われるほど大きく、移民対策は緊急の課題だ。2年後に迫った南アでのサッカー・ワールドカップへの懸念も高まっている。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。