2月上旬の平日、東京都新宿区にある「新宿御苑」を散策してきました。地下鉄丸ノ内線の新宿御苑前駅で降り、国道20号線(甲州街道)を四谷方向へ少し歩くと、新宿御苑の「大木戸門(おおきどもん)」が見えてきました。周辺は新宿区内藤地区の閑静な住宅街となっています。
大木戸門の入口にある案内所で200円を払って、公園内に入ります。真冬の今の時期は、全くと言っていいほど人の気配がしませんでした。誰もいなかったので、ほぼ貸し切り状態の新宿御苑の散策を楽しみたいと思います。
大木戸門から敷地内を時計回りに回り込むように散策していきたいと思います。まずは江戸時代に完成した内藤家の庭園「玉川園・玉藻池」へ向かいます。・・・それにしても人が全くいなかったので、少し不安になってきましたよ。
新宿御苑の敷地の北西側に位置している日本庭園「玉藻池」の周囲に整備されている散策道を歩いていきます。池の周辺はかなり起伏に富んだ地形となっており、散策道も坂があったりします。
新宿御苑の敷地は天正18年(1590年)に豊臣秀吉から関八州を与えられた徳川家康が江戸城に入城した際に、譜代の家臣であった信濃高遠藩・内藤清成に授けた江戸屋敷の一部なのです。
玉藻池は、新宿御苑のある高台から流れている「隠田川(おんでんがわ)」の水源池でもあるのです。隠田川は新宿御苑の高台から流れたあと、神宮前、東急渋谷駅の真下を流れ「渋谷川」という名前の都市河川となります。
新宿御苑の広大な緑地帯がある「淀橋台地」という名前の標高が30~40メートル前後の地盤の高い高台となっていて、周囲は閑静な住宅街が広がっています。
新宿と聞くと、多くの人たちはJR新宿駅や周辺の繁華街を思い浮かべますが、本山の手の閑静な住宅街と、住宅街の中に鬱蒼とした原生林や日本庭園が広がるこの新宿御苑こそが本来の意味での新宿地区の中心的な存在です。
西新宿の高層ビル群や、一日の乗降客数が340万人と世界一を誇る新宿駅、東洋一を誇る新宿駅東口の繁華街から、直線距離にして1キロも離れていない場所にひっそりとした雰囲気の庭園が広がっているのです。
玉藻池から今度は「フランス式整形庭園」のプラタナス並木道のエリアへ歩いていきます。
新宿御苑の南側側に位置するフランス式整形庭園は、中央にバラ花壇、左右にプラタナス並木が4列配された庭園であり、先程まで散策していた玉藻池の日本式庭園とは雰囲気が一変します。・・・確かに、日本ではあまり見かけることが(ほぼ)ない木々ですね。
東には四谷見附、西は代々木、南は千駄ヶ谷、北は大久保に及ぶ広大な土地で、のちの甲州街道や青梅街道になる江戸から西に伸びている街道と、鎌倉街道が交差する要所であったことから、この一帯の警護など軍事的な目的で家康が信頼できる家臣に与えたとされています。
フランス式庭園の様式として、平坦で広大な敷地に軸線(ビスタ)を設定しての左右対称性、幾何学的な池の配置や植栽の人工的整形などを特徴とし、17世紀から18世紀にかけて主にフランスで発達した平面幾何学式庭園を指しています。
2月の今の時期では見事なまでの枯れ木の並木道となっていますが、5月から6月にかけての新緑の時期にもう一度訪れてみたいですね。
新宿御苑は、信州高遠藩・内藤家の九万五千坪余と、当時すでに私有地化していたものの、もとは内藤家の屋敷地であった隣接地を合わせた十七万八千坪(58.3ヘクタール)の土地に誕生することとなりました。
地下鉄新宿御苑前駅の東側、四谷区民ホール脇に「大木戸門」が設置されています。その南側に「玉川園・玉藻池」があります。