特 ２/６ 嘘も方便

母は私にはもう過去しかないと言った。

母がこれを言ったころはまだ食事の支度も私の分もやってくれていた。

だから私は母をほぼ「人生の怠け者」みたいに見ていた。

私なら・・・・
私は最後まで挑戦精神を持っていたい。

最後まで・・・っていつの頃だろう。

体が自分の意思に従わなくなったとき、
自分のことが自分でできなくなったとき、
寝たきりで、動くのは口だけになったとき、

頭が体に平行して傷んでいけばいい。
頭はまだ人並みに動き、
なのに体はもう人任せ。

そんな状態で挑戦精神を持ち続けることはできるだろうか？