ちいさいやつら

わが家のセキセイインコとアキクサインコのお話

(5)不安にさせない

2010-11-19 06:00:00 | 獣医の話
獣医の話シリーズ第2弾 (目次はこちらから)

テーマは「共存するために」から、
最終回は「不安にさせない」です。


*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*


本を読むと、
発情するからメスは背中触っちゃいけないだとか
声をかけてはいけないとか、
無視しなさいとかいうのは
それは精神的ストレスで止めてるのと同じ。
相手の身になってみればすぐにわかる。

飼主さんのことが好きで発情してるのに、
飼主さんが突然声もかけてくれなくなった、
触ってもくれなくなった、
そうすると、約束(契約)が出来てる子でも
無駄鳴きはしないんだけど呼び鳴きが始まっちゃう。

でも、出してくれ出してくれの
ワガママな呼び鳴きじゃなくて
飼主さんの愛情を取り戻すための悲痛な叫びになってる。
かなりヒステリックな呼び方になってると思うよ。
気持ちを考えてあげればそれも無理はないよね。
今まで普通に喋ったり触ったりしてくれた人が
突然自分を振り返ってくれなくなるわけでしょ。
そうすると、なぜ私を振り返ってくれないの?って
去っていった恋人を取り戻そうとするような
悲痛な叫びになってくる。

だけど本には、
呼び鳴きが始まっても無視しなさいとか書いてあって
もっとタチが悪いよね。
もう寂しくって悲しくって気持ちがそっちでいっぱいになって
発情がとまるのね。

で、例えばそれで発情が止まりました、
うんちも普通に戻りました、
卵も産まなくなりました、ああよかったってことになっても
どうして発情が止まったかを考えてやらないので、
また元のまったり生活に戻しちゃうのね。

そうすると鳥にしてみれば、ああよかった~、
また元の飼主さんに戻った、やれやれって思うんだけど、
いつものまったり生活に戻ったから、また発情してしまって
もう一度飼主さんの卵を産もうってことになる。

そうすると飼主さんは、
本に書いてあった通りのことをしたら発情が止まったから、
もう一回同じように精神的ストレスをかける。
そうすると、一回目は何かの間違いかと思ったのに、
また同じことが起きて、一気に不安感が増すわけ。
三回目、四回目っていうともっと増してくる。
そうやってコップの端から水がこぼれるように
不安感が溢れてしまったら毛引きを始めるの。

不安は徐々に徐々に溜まってくる。
ふちからこぼれた瞬間っていうのは
何も発情してる最中とは限らない。
体調もベストだし、
全然発情もしてないからOKって思ってる日に、
あなたが仕事から帰ってくると、
全身の毛を抜いちゃってたとかね、
朝起きたら、毛が全部抜けてたとかね、
それで慌てて病院に来るの。
昨日からなんです!突然なんです!って言って。

私の場合は大体3ヵ月前から
さかのぼって考えてくれって言ってるの。
耐え忍んでる時間があるから。

精神的ストレスは、
相手の身(鳥の身)になって考えれば分かることなのね。
2~3歳の幼児を相手にしてると思えば
喋れなくても気持ちは分かってやれるよね。

本にはこんなこと書いてないし、
ブリーダーさんだって飼う前に教えてくれないでしょ?
大体、売る方は買って欲しいわけだし
発情を抑制することなんかしないだろうから
その本当の難しさを知らないだろうし、
もし知ってても、
事前に説明するようなことはしないでしょ。
可愛いですよ、餌代は安いし簡単に飼えるし、
くらいのことを言うんじゃないかな。
それで飼ってみて、初めてその管理の難しさを知って、
そんなの聞いてないよ~~状態になるのよね、みんな。

生殖系の病気で鳥を死なせてしまったり、
同じ過ちを繰り返している人は、
鳥って本来どういう生き物かということを知らないのね。
まったくどこの本にも書いてないし
だから発情って止められないって信じ込んでる人も多くいる。
相変わらず環境ストレスはダメって思ってる人も多い。

卵を産ませた方がいいとか、
スリスリもさせた方がいいとか言われても、
そういう根拠の無い変な迷信に振り回されないで、
そうじゃないんだってことに早く気づいてほしい。
365日発情できる状態にさせておいて
卵を産ませたら止まらないし、
スリスリもやり続けてしまって生殖系の病気になってしまう。

だけど全てを理解して、頭では分かってるんだけど
やっぱり発情を止めることができないっていうと、
鳥をペットとして選ぶことに問題ありってことになるよね。
とにかく可愛がりたいだけだったら
悪いこと言わないから哺乳類のペットにしなさいって言うわ。
哺乳類だったら私たちも哺乳類だから
哺乳類の管理をしましょうってところが欠落してても
なんら問題が無いでしょ?
鳥の管理は人間の意識を変えなくてはいけないから、
それだけ難しいってことなのよ。


*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜゜・*


これで獣医の話シリーズ第2弾は終わりです。

その人、その環境によって
飼い方はさまざまですし、
鳥の方も、性格がさまざまでしょうから、
何かに困ったとしても、
答えはそれぞれに見つけなければなりませんが、
こういった話が何かのヒントになるならと思い
アップしました。

先生の話を実践するのは時に難しく、
理想に近いと思うことがあるのですが、
そうやって棚上げして
片付けてしまえない部分もあり、
耳が痛いなと思うのでした^^;


皆さんは如何でしたでしょうか。


22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (ぴこmama)
2010-11-19 08:34:53
今回のシリーズも毎回うなずきながら拝読しました。
哺乳類と鳥類はやっぱり違うんですよね。
とても分かりやすく、納得できました。
一度失敗した身としては自分の事を言われているようで耳が痛いけど(^^;
ayameさんの先生のようなお医者様は少ないですよね。
本当に鳥の事が好きなんだな~と伝わってきました。
私も同じ鉄を2度踏まないように、ぴことの生活をより良いものにしていきたいと思います。

なんて言ってるそばからまた発情し始めてるし(^^;
また対策を講じなくては!
返信する
すごい…! (カミヤ)
2010-11-19 10:45:37
おはようございます。
はあぁ……!すごくわかりやすいです!よくぞまとめたなあって、感動!

先生は,獣医と言うより動物行動学者?みたいですね。
こんなに鳥の気持ちがわかる人間は、そういないと思いますよ!!!
獣医さんにも、ここまで心を分かっている先生って…いるのかな…

ワタシなら右から左に流れてしまいそうなお話…ayameさん、さすがです…!
何度も読みに来ます!ありがとうです!
返信する
ありがとうございます (ayame)
2010-11-19 12:38:55
ぴこmamaさん

こんにちは。
先生は鳥が大好きですね~~
発情を抑制できない飼い主には厳しいですが、
鳥に対する言葉遣いを聞いてると、
本当に好きなんだな~って思いますよ。
カキカキも凄く上手であっという間にインコ心を掴みます^^;

ぴこちゃんもまた発情を始めてますか^^;
綾子もです。なので私もとっても耳が痛いです(>_<)
環境ストレスはなかなかうまくかけられないですけど、
それでもあきらめちゃいけませんね。はー。。
全編、長いのにお読みくださってありがとうございました。
返信する
ありがとうございます (ayame)
2010-11-19 12:39:30
カミヤさん

こんにちは。
いえいえ、お礼なら先生に^^;
分かりやすかったようでよかったです(*^。^*)

動物行動学者、なるほどな~~と思いました。
そうですね、野鳥の話とか、ほんとによく出てくるので
沢山観察されてるんだろうな~って思います。
それに、鳥の心をよく分かってらっしゃるようで、
先生の飼ってる鳥さんは幸せですね。
病気になってもすぐに見てもらえるし。
って病気にならないか(爆)
とにかく長い文章を毎日お読みくださったようで、
ありがとうございました。
返信する
とても深い (WOODSTOCK)
2010-11-19 14:58:44
今回のシリーズもとても深くて、ちょっと、いやかなり耳の痛いお話でした^^;
「鳥は飼ってはいけない動物だと思う」
鳥の生態を見てるとそう思うことが度々あります。
翼を持ち本来は自由に大空を飛びまわってるはずの鳥を
小さな籠に閉じ込めていることには罪悪感を思えることも。
とは言いながら、必死で人間の言葉を真似して懐いてくれる鳥達に思わず頬ずりしてしまいます。
この先生のお話を完璧に実践するのはまず不可能だとしても、
少しでも自分なりに理解して取り入れていこうと思いました。
シリーズとして載せてくださったayameさんに感謝してます。

ところで、先生のお話は前回シリーズもそうですが、
録音テープなしで記憶から文章に起こしているのですか???
私の脳みそなら許容量オーバーで爆発だー!!
返信する
Unknown (ひーママ)
2010-11-19 17:45:40
どうも、お疲れ様です(笑
毎日ちゃんと読みましたよ!!

ん~。
絶対ムリでしょ、ってことをわかってて言ってるよねこの先生、きっと。
だって、サインを出すことにしたって、毎日一生同じようになんてできっこない。
まぁ、うちなんかしょっちゅう引っ越すからそのたびに、何かが変わってるわけで
飼うってこと自体間違ってるなら、飼えないよね。

だから、愛情でカバーするんじゃないのかなぁ。
愛情、とか、信頼感、とか・・・。
引越しは環境ストレスなんだろうね、きっと。
どんなにダンボールの山に囲まれてても、ママが見えれば我慢できる、みたいな。

いつも、なるほど~~、と思うことも多いけど
う~~ん、って思うことも多いこの先生の発言(笑
だけど、最終日の不安にさせない、っていうのはちょっと納得・・・かも。
できる、できないは別だけど^^;
返信する
ありがとうございます (ayame)
2010-11-19 18:29:13
WOODSTOCKさん

こんばんは。
すみません、いつも耳が痛い話で^^;
私も毎回、毎回、まーいーかーいー!!こういう話を聞かされ、
うっかりすると耳が貝のように閉じてたりします^^;
鳥さんの可愛さは罪ですもんね、私も頬ずりしながら
どうしてキミは鳥なんだい?と思ってしまう今日この頃です^^

>少しでも自分なりに理解して取り入れていこうと

そうですね、私も出来てないことが多いのですが、
少しでも取り入れて、生かしていけたらと思ってます。
っていうか、微力でもやってるから、
綾子の卵がひとつで済んでるのかな?って思うこともあって^^;
でもそうやって前向きに考えてないと出来ないです^^;

私の聞き取り能力も速記者並み?(爆)
いやいや、誰が見ても分からない、時々自分でも分からない
ひらがなだけの、頭文字だけのノートをお見せしたいです(爆)
返信する
ありがとうございます (ayame)
2010-11-19 18:30:04
ひーママさん

こんばんは。
毎日読んでくださったとのこと、ありがとうございます。
ひーママさんのように反発を感じる方も大勢いらっしゃることでしょう!
ちなみにちょっと前振りが足りなかったかもですが、
特に、セキセイインコで発情の酷いメスを飼う飼い主に対して
話してる部分も多く含まれていると思います。
環境ストレスをそのままオカメさんに適用したら、
パニックを起こすでしょうし・・・。

ちなみに私は、この先生のお陰で、鳥を飼ってることが
楽しくないときもありました。発情が酷くなるたび、
こんなに頑張ってるのにどうして発情するの!
身体に悪いのに!!ってイラっとくることもあったし。
今はもう、半分あきらめてるので仕方ないな~って思いますが、
そのままエスカレートすれば、鳥が憎く思えるところまで行くかもしれませんね。
今は、自分が鳥を飼ってるのは間違いだと思ってるので、
今後は飼うつもりがないのですが、
そんな風にしてしまった?先生に反発を感じることもあるんですよ。
この先生が、難しいよね、なかなか出来ないよねってところを
分かってくれたらこんな風には感じないのかもしれません。
でも、そういう風に飼い主におもねった言い方をしていると
誰もちゃんとやらないから、わざと、強く、しつこく、
嫌われてもいいと思って言ってるそうです。
それで実際に発情が止まった鳥さんも多くいるそうで・・。
そこまでするようになったのも鳥愛でしょうか。
色んな鳥愛の形がありますね。
返信する
Unknown (B)
2010-11-19 21:59:31
今回のシリーズも、毎回真剣に読ませていただきました。
「鳥と哺乳類は違うんだ、鳥の気持ちになって考えて」という言葉が、
ずっしりと浸みました。
いつも先生のお話をうかがっていて、
「わかるんですけれど難しいんです」って思う事が多かったのですけれど、
「本当にわかってる?まだまだ覚悟が足りないわよ」って言われている気がしました。
先生ちの鳥さんの放鳥現場や、
不在時の鳥さんケージのレイアウト見てみたいです^^
先生の鳥さんライフを公開してくれないかな^^
それから私も、ayameさん、
これだけの話を聞きとって書き記してくださって、すごいと思いました!
今回も、貴重なお話をお伝えくださって、本当にありがとうございました!
返信する
Unknown (ポン)
2010-11-19 23:16:06
まずこのお話を読ませていただいて一番に思った事
「この先生は鳥を愛してやまないのね」
我が家のオカメちゃん達は幸い発情には縁が無く私もそれほど深刻になったことは無いのですが先生のおっしゃっている事、よくわかります
その通りだわと思うこと山盛り!
実践出来るかは別として 私達鳥飼いに「考える機会」を投げかけてくれる 
このような先生は貴重な存在だと思いました
タイムリーな事に 先日鳥はイマイチな先生に当たりましたが
いやー 発言が優しかった(爆)
「ココちゃんはクチバシの色が白いですねー」とかね フフフ
私の鳥専門の先生も厳しいこと言いますよ
でも鳥に対する知識と愛情はビンビン伝わってきます
厳しい事言われた時はショックですが後でジワっと来ます
おっ これって飼い主に対する『環境ストレス』?


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