連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿九 2012-09-03 | 樹木・植物・動物・有職故実 鳥辺野陵〈とりべののみささぎ〉は 鴨川の西 京都東大路今熊野より辰巳(南東)に数百歩 阿弥陀ヶ峰の南麓にありて 睦月十三日 いまだしき犬を拾ふ つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿八 2012-08-28 | 樹木・植物・動物・有職故実 長保二年師走十六日 一条天皇妃定子崩御の日は 陽暦1001年1月13日に当たる・・・ (注)鳥戸野=鳥辺野(京都市東山区今熊野泉山町鳥辺野陵) つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿七 2012-08-22 | 樹木・植物・動物・有職故実 長保元年霜月七日 宮は 親王をまうけ給まう 翌二年 宮は 内親王を産み給まひてのち むなしうならせ給まうとぞ・・・ こは 師走十六日のことなり・・・ つづく(ーー)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿六 2012-08-19 | 樹木・植物・動物・有職故実 長保元年 道長の御女〈みむすめ〉女御とならせ給ひし頃 宮には御懐妊の兆しありて うち伏し給ふこと度重なりぬ 帝 いいぶせき心地せさせ給ふに 密かに「翁丸このたびは必ず打ち殺して棄てよ」と宣旨下し給ふ やがてかの怨霊かと思さるるものの怪の出始まりぬ 翌二年 女君の十三歳にて后に立ち給ひて中宮と申しし頃 皇后には みぐしも痛く いと篤〈あつ〉しくなりゆき給ふとぞ・・・ つづく(^^;)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく)その廿四 2012-08-13 | 樹木・植物・動物・有職故実 「さは 翁丸にこそはありけれ 昨夜〈よべ〉はかくれ忍びてあるなりけり・・・ あはれにそへて をかしきこと限りなし」と人々ささめくに 御鏡うち置きて(宮は)「さは翁丸か・・・」と声に出だし給たまふ (翁丸は)ひれ伏しころげまはりて いみじうなく 上 御覧じて いぶかり覚え給ふこと限りなし つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿三 2012-08-10 | 樹木・植物・動物・有職故実 つとめて 少納言 宮の御けづり櫛(朝の身繕い)に参り 宮は 御手水〈みてうづ〉まゐりて 御鏡持たせて御覧ずれば・・・ (少納言は) かたはらにて 犬の柱のもとにつゐいたるを(見て) 「あはれ 昨日翁丸をいみじう打ちしかな 死にけむこそかなしけれ・・・ 何の身にか このたびはなりたらむ いかにわびしき心地しけむ・・・」とうち言ふほどに この寝たる犬ふるひわななきて 涙をただ落としに落とす いと あさまし・・・ (注)角盥(つのだらい):手や顔を洗い清める(御手水まゐる)為の水を入れる容器 つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿二 2012-08-07 | 樹木・植物・動物・有職故実 暗うなりて 夜いたくふけ 上・宮など大殿籠もり(おやすみになり) 人々みな寝ぬる夜 少納言 御厠人〈みかわやうど〉召して (翁丸に)もの食わせなどす つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿一 2012-08-04 | 樹木・植物・動物・有職故実 少納言 また 「あはれ (かつての翁丸は)いみじう ゆるぎ歩りきつるものを・・・(ーー;) 三月〈やよひ〉三日 頭の弁の (翁丸に)柳のかづらせさせ 桃の花をかざしにささせ 桜 腰にさしなどして歩りかせたまひしをり かかる目みむとは思はざりけむ」など あはれがる・・・ つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿 2012-08-01 | 樹木・植物・動物・有職故実 少納言「それは『打ち殺して棄て侍りぬ』とこそ申しつれ 忠隆・実房ふたりして打たむには侍りなむや・・・」など申せば 上も宮も 更に心憂〈う〉がらせたまふ つづく(^^;)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その十九 2012-07-28 | 樹木・植物・動物・有職故実 宮「これは翁丸か?」と見せさせたまふに 右近「似ては侍れど これはゆゆしげにこそ侍るめれ また『翁丸か?』とだにいへばよろこびてまうで来るものを 呼べど寄り来ず あらぬなめり」などいふ つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その十八 2012-07-26 | 樹木・植物・動物・有職故実 息絶えたかに見えしかの犬 やがて ころび惑ひ わななき座りて空〈くう〉を見上げぬ 上「かく あさましげなる犬が翁丸か?!」とて 心憂〈こころう〉がらせたまふに 宮は「右近ぞ見知りたる 呼べ」とて召せば まゐりたり つづく(^^)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その十七 2012-07-23 | 樹木・植物・動物・有職故実 かやうなることありし夕つかた いみじげに腫れ あさましげなる犬の わびしげなるが わななき歩けば 宮(中宮)「これは翁丸か?」 命婦「翁丸!」といへども (その犬は)聞きも入れず やがて上の御前にて息果てぬ つづく(・・;)
連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その十六 2012-07-19 | 樹木・植物・動物・有職故実 御厠人(みかはやうど)また来たりて 「犬は 死にければ 棟の外に 蔵人ふたりしてひき捨てつ・・・ 誠は 斯く斯くなれば・・・」とみそかにいへば 少納言計りて 上には もとをのみ伝え 末を申し上げ給まはねば 上 聞こし召して 少しあはれと覚しけり つづく(^^;)