暁の雲(平安語調平成日誌)

花をめで 鳥をうらやみ 霞をあはれびつつ
露をかなしぶこころ ここに記す
秋の月を見るに 暁の雲に会へるがごとし

連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿六

2012-08-19 | 樹木・植物・動物・有職故実

長保元年 道長の御女〈みむすめ〉女御とならせ給ひし頃
宮には御懐妊の兆しありて うち伏し給ふこと度重なりぬ
帝 いいぶせき心地せさせ給ふに
密かに「翁丸このたびは必ず打ち殺して棄てよ」と宣旨下し給ふ

やがてかの怨霊かと思さるるものの怪の出始まりぬ

翌二年 女君の十三歳にて后に立ち給ひて中宮と申しし頃
皇后には みぐしも痛く いと篤〈あつ〉しくなりゆき給ふとぞ・・・
つづく(^^;)

連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく)その廿四

2012-08-13 | 樹木・植物・動物・有職故実

「さは 翁丸にこそはありけれ
昨夜〈よべ〉はかくれ忍びてあるなりけり・・・
あはれにそへて をかしきこと限りなし」と人々ささめくに
御鏡うち置きて(宮は)「さは翁丸か・・・」と声に出だし給たまふ
(翁丸は)ひれ伏しころげまはりて いみじうなく
上 御覧じて いぶかり覚え給ふこと限りなし
つづく(^^)

連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿三

2012-08-10 | 樹木・植物・動物・有職故実

つとめて
少納言 宮の御けづり櫛(朝の身繕い)に参り
宮は 御手水〈みてうづ〉まゐりて 御鏡持たせて御覧ずれば・・・
(少納言は) かたはらにて 犬の柱のもとにつゐいたるを(見て)
「あはれ 昨日翁丸をいみじう打ちしかな
 死にけむこそかなしけれ・・・
 何の身にか このたびはなりたらむ
 いかにわびしき心地しけむ・・・」とうち言ふほどに
この寝たる犬ふるひわななきて 涙をただ落としに落とす
いと あさまし・・・
(注)角盥(つのだらい):手や顔を洗い清める(御手水まゐる)為の水を入れる容器
つづく(^^)
 

連続戯画小説 翁丸開闢(かいびゃく) その廿一

2012-08-04 | 樹木・植物・動物・有職故実

少納言 また 「あはれ (かつての翁丸は)いみじう ゆるぎ歩りきつるものを・・・(ーー;)
        三月〈やよひ〉三日 頭の弁の (翁丸に)柳のかづらせさせ
        桃の花をかざしにささせ 桜 腰にさしなどして歩りかせたまひしをり
        かかる目みむとは思はざりけむ」など あはれがる・・・
つづく(^^)