つとめて
少納言 宮の御けづり櫛(朝の身繕い)に参り
宮は 御手水〈みてうづ〉まゐりて 御鏡持たせて御覧ずれば・・・
(少納言は) かたはらにて 犬の柱のもとにつゐいたるを(見て)
「あはれ 昨日翁丸をいみじう打ちしかな
死にけむこそかなしけれ・・・
何の身にか このたびはなりたらむ
いかにわびしき心地しけむ・・・」とうち言ふほどに
この寝たる犬ふるひわななきて 涙をただ落としに落とす
いと あさまし・・・
(注)角盥(つのだらい):手や顔を洗い清める(御手水まゐる)為の水を入れる容器
つづく(^^)
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