評価点:53点/2025年/アメリカ/124分
監督:ギャビン・オコナー
これじゃない感が強い。
元金融取締局局長で私立探偵のレイ・キング(J・K・シモンズ)が何者かに殺害された。
彼の腕には「会計士を探せ」という文字が残されていた。
緊急連絡先に残されていたのは元部下であるメディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)だった。
彼女は、会計士のクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に連絡を試みる。
キングの部屋には大量の資料が残されており、ウルフはそこから移民の親子に関する情報を見出す。
「ザ・コンサルタント」シリーズの続編。
前回はウルフその人にかなりフォーカスされた作品だったが、今回はアクション色が強く、少しテイストが異なる。
社会的な背景にも言及しており、前作のファンが楽しめるかはちょっとわからない。
Amazonでいきなり配信されており、映画館ではなく家庭で楽しめる作品でもある。
映画ファンとしては、劇場公開されてほしいし、それを前提とした作品作りを進めてほしいと思うが、時代の流れはそうではないようだ。
▼以下はネタバレあり▼
今作は、ハーバー研究所が全面バックアップするので、ウルフという人物が大活躍するような話にはなっていない。
彼の生い立ちや特性にフォーカスされた前作に対して、今作は、彼の心情にフォーカスされている。
はっきり言って、私は前作を思い出せないくらいこの作品にのめり込めなかった。
全く違う作品になっていると言ってもいいくらい、趣が異なる。
登場人物はかなり共通しているが、「え?こんな話だった?」と戸惑いながら見ていた。
もっとはっきり言えば、見て後悔した。
違う、私が見たかったのは、こんな物じゃない……。
話がやはりややこしいので少し整理しておこう。
メキシコからの移民である親子は、人身売買をしているマフィアに捕まってしまう。
夫は殺され、妻はアメリカで働かされる。
息子は囚われて人質にされた。
妻はアメリカで賊に襲われ意識を失った。
そのまま病院で手当を受けたところで、後天性サヴァン症候群になる。
それまで隠れていた才能が目覚め、暴力的になり、殺し屋アナイスになった。
殺し屋として活躍して数年、人身売買をしていたマフィアは、彼女がかつて捕えた「商品」であることを知り、記憶が戻ることを恐れた。
同じ頃、レイモンド・キングが調べていたところ、アナイスの命の危険と元々の素性を伝えようとしてビンゴ大会の会場のレストランに呼び出した。
ここが冒頭だ。
マフィアはキングとアナイスを共に殺そうとするが、失敗、殺し屋として雇いながら、アナイスも始末するように仕向けるのだ。
そこにウルフとその弟ブラクストン(ジョン・バーサル)が対峙することになった。
かなりわかりにくいが、この展開は、明らかにアメリカの移民に対するメッセージが込められている。
もっとはっきり言えば、トランプの移民対策に対するアンチテーゼである。
移民もアメリカにただ稼ぎに来ているのではない、苦しい弱者なのだ、ということを真相にしている。
悪いのはもっと他にいる、というわけだ。
売春や麻薬の売買だけが、移民が担っている仕事ではない。
もっと劣悪な環境で、アメリカ人がやりたがらない汚く、辛い仕事をさせている。
それが本当の移民の姿なのだ、ということをこの映画で伝えたいわけだ。
だから、クリスたちの設定はどうしても後景に退いている。
その代わり、弟との関係修復を描いている。
だが、スーパーマン化したハーバー研究所の活躍は、ほとんど秘密結社のような影響力の強さで、アクションやその他の流れに大きな安心感を与えてしまっている。
故に、ハラハラしないし、物語全体が軽くなってしまっている。
弟の関係性を考えれば、最後のアクションも、死ぬことはあり得ないという展開になっている。
また、回り回って話をややこしくしたため、クリスたちがどういう捜査をしようとしているのかわかりにくい。
一つ一つ解決していくという手順がわかりにくいので、話に入り込みにくい。
狙いはわかるが、面白くはない。
策を弄して策におぼれるというやつか。
監督:ギャビン・オコナー
これじゃない感が強い。
元金融取締局局長で私立探偵のレイ・キング(J・K・シモンズ)が何者かに殺害された。
彼の腕には「会計士を探せ」という文字が残されていた。
緊急連絡先に残されていたのは元部下であるメディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)だった。
彼女は、会計士のクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に連絡を試みる。
キングの部屋には大量の資料が残されており、ウルフはそこから移民の親子に関する情報を見出す。
「ザ・コンサルタント」シリーズの続編。
前回はウルフその人にかなりフォーカスされた作品だったが、今回はアクション色が強く、少しテイストが異なる。
社会的な背景にも言及しており、前作のファンが楽しめるかはちょっとわからない。
Amazonでいきなり配信されており、映画館ではなく家庭で楽しめる作品でもある。
映画ファンとしては、劇場公開されてほしいし、それを前提とした作品作りを進めてほしいと思うが、時代の流れはそうではないようだ。
▼以下はネタバレあり▼
今作は、ハーバー研究所が全面バックアップするので、ウルフという人物が大活躍するような話にはなっていない。
彼の生い立ちや特性にフォーカスされた前作に対して、今作は、彼の心情にフォーカスされている。
はっきり言って、私は前作を思い出せないくらいこの作品にのめり込めなかった。
全く違う作品になっていると言ってもいいくらい、趣が異なる。
登場人物はかなり共通しているが、「え?こんな話だった?」と戸惑いながら見ていた。
もっとはっきり言えば、見て後悔した。
違う、私が見たかったのは、こんな物じゃない……。
話がやはりややこしいので少し整理しておこう。
メキシコからの移民である親子は、人身売買をしているマフィアに捕まってしまう。
夫は殺され、妻はアメリカで働かされる。
息子は囚われて人質にされた。
妻はアメリカで賊に襲われ意識を失った。
そのまま病院で手当を受けたところで、後天性サヴァン症候群になる。
それまで隠れていた才能が目覚め、暴力的になり、殺し屋アナイスになった。
殺し屋として活躍して数年、人身売買をしていたマフィアは、彼女がかつて捕えた「商品」であることを知り、記憶が戻ることを恐れた。
同じ頃、レイモンド・キングが調べていたところ、アナイスの命の危険と元々の素性を伝えようとしてビンゴ大会の会場のレストランに呼び出した。
ここが冒頭だ。
マフィアはキングとアナイスを共に殺そうとするが、失敗、殺し屋として雇いながら、アナイスも始末するように仕向けるのだ。
そこにウルフとその弟ブラクストン(ジョン・バーサル)が対峙することになった。
かなりわかりにくいが、この展開は、明らかにアメリカの移民に対するメッセージが込められている。
もっとはっきり言えば、トランプの移民対策に対するアンチテーゼである。
移民もアメリカにただ稼ぎに来ているのではない、苦しい弱者なのだ、ということを真相にしている。
悪いのはもっと他にいる、というわけだ。
売春や麻薬の売買だけが、移民が担っている仕事ではない。
もっと劣悪な環境で、アメリカ人がやりたがらない汚く、辛い仕事をさせている。
それが本当の移民の姿なのだ、ということをこの映画で伝えたいわけだ。
だから、クリスたちの設定はどうしても後景に退いている。
その代わり、弟との関係修復を描いている。
だが、スーパーマン化したハーバー研究所の活躍は、ほとんど秘密結社のような影響力の強さで、アクションやその他の流れに大きな安心感を与えてしまっている。
故に、ハラハラしないし、物語全体が軽くなってしまっている。
弟の関係性を考えれば、最後のアクションも、死ぬことはあり得ないという展開になっている。
また、回り回って話をややこしくしたため、クリスたちがどういう捜査をしようとしているのかわかりにくい。
一つ一つ解決していくという手順がわかりにくいので、話に入り込みにくい。
狙いはわかるが、面白くはない。
策を弄して策におぼれるというやつか。