評価点:75点/2019年/アメリカ/121分
監督:リック・ローマン・ウォー
教訓:急に会いたがる昔の友人は、だいたいろくな奴じゃない。
マイク(ジェラルド・バトラー)は長年のシークレットサービスの業務によって満身創痍であった。
そんな中、マイクはシークレットサービス長官に任命されることが内々で噂されていた。
アメリカ大統領のトランブル(モーガン・フリーマン)は世界中に和平を進める政策をとっていた。
久しぶりの休暇に、大統領はマイクと二人で湖畔で釣りを楽しんでいた。
しかし、何者かがドローンを使って大統領を襲撃、マイクと大統領以外全ての警備隊が瞬殺されてしまう。
ICUから目覚めたマイクは、大統領暗殺容疑で逮捕される。
「エンド・オブ~」シリーズの最新作。
見に行くかどうか全く考えていなかったが、トレーラーで見て、アマゾンプライムでも「キングダム」を見たこともあって、映画館に足を運んだ。
このシリーズは、私と相性が悪い。
全く期待していなかったわりには、面白かった。
ここにきて少し映画のスタンスが変わったようだ。
それは主演のジェラルド・バトラーもパフレットでコメントしていた。
相変わらず「漫画」みたいな展開で説得力はそれほどないが、少なくとも前作2作品よりは楽しめるだけの展開になっている。
アクション映画でも「こうではなくては」というセオリーを押さえたものだ。
何も考えずに楽しめるという意味でも、おすすめである。
▼以下はネタバレあり▼
これまでの作品は、大きなテロ事件があってそこに大統領警備官であるマイクが巻き込まれて解決する、という展開だった。
一定のキャラクター設定はあるものの、そこにはご都合主義的なヒーローとしてのマイク・バニングが設定されていた。
たとえるなら「沈黙シリーズ」のライバックのようなものだ。
だが、今回は人間関係や人物設定をしっかりとおいた上で事件が起こる。
彼がはめられた理由をしっかり描くことで、物語に厚みと説得力が与えられている。
非常に脆弱だった「2」の首脳達の警備に、全く説得力がなかったことと対比的である。
またこの結構が民衆の心を掴むという意味でうまい。
黒幕である副大統領は、タカ派。
一方トランブル大統領は、和平を推し進めている。
何が何でも守らなければならない、という展開である以上、大統領を悪役に描くことはできない。
その黒幕に操られているのが、かつて戦友だったジェニングス(ダニー・ヒューストン)。
彼は第一線で生きることを自分の行き方だと自認し、また自身の会社を大きくするために、タカ派の副大統領に協力する。
戦争というファクターをもって、戦争の中で生きる者と、戦争によって人生が壊されてしまった人間を対比的に描く。
その壊されてしまった人間の代表として、マイクの父親が描かれる。
爆弾魔(ボマーあるいはボンバーマン)である父親は、その行動とは対照的に、彼は戦争への忌避が強い。
戦争から生き残った者であるものの、確実に被害者である。
その父親を丁寧に描く(語らせる)ことで、観客は闘っているものがどういう相手なのかを確認する。
相手は特殊部隊を率いている戦場のプロ。
マイクは父親という協力者とともに、この事件を解決することになる。
最近のアクション映画は観客がともに闘える敵を想定しにくくなってきている。
それは、さまざまな理由があるだろうが、冷戦が終わり、分かりやすい敵が設定にしにくいのだろう。
露骨に描いてしまうと、すぐに「国際問題」になりかねないこともある。
だからこそ、ロシアを名指ししたうえで反戦というテーゼを掲げれば、間違いなく観客はともに闘える。
物語を重視したアクションでなければ、やはりアクションとしては弱くなってしまう。
よい展開にもっていけたと思う。
だが、肝心のアクション部分はいかにも凡庸で、いかにもご都合主義だ。
FBIの特別捜査官があきらかにあやしい敵のアジトに単身で乗り込むとか、想像しがたい。
そもそも特殊部隊を率いているプロ集団と言うことを分かってのことだから、余計に不自然だ。
と、このような野暮なことを書けばきっと切りがない。
それでも見られた映画にすることが、監督の役目だろうし、映画というものだ。
だからこそ、それが見えなくなる(そんなわけないが)展開の物語性、人物設定ができたことが、成功の理由の一つだろう。
「エンド・オブ~」シリーズが今後どうなるのか。
もう終わりなのか惰性的に続けるのか。
どちらにしても、成否を分けるのは物語性だろうと思う。
監督:リック・ローマン・ウォー
教訓:急に会いたがる昔の友人は、だいたいろくな奴じゃない。
マイク(ジェラルド・バトラー)は長年のシークレットサービスの業務によって満身創痍であった。
そんな中、マイクはシークレットサービス長官に任命されることが内々で噂されていた。
アメリカ大統領のトランブル(モーガン・フリーマン)は世界中に和平を進める政策をとっていた。
久しぶりの休暇に、大統領はマイクと二人で湖畔で釣りを楽しんでいた。
しかし、何者かがドローンを使って大統領を襲撃、マイクと大統領以外全ての警備隊が瞬殺されてしまう。
ICUから目覚めたマイクは、大統領暗殺容疑で逮捕される。
「エンド・オブ~」シリーズの最新作。
見に行くかどうか全く考えていなかったが、トレーラーで見て、アマゾンプライムでも「キングダム」を見たこともあって、映画館に足を運んだ。
このシリーズは、私と相性が悪い。
全く期待していなかったわりには、面白かった。
ここにきて少し映画のスタンスが変わったようだ。
それは主演のジェラルド・バトラーもパフレットでコメントしていた。
相変わらず「漫画」みたいな展開で説得力はそれほどないが、少なくとも前作2作品よりは楽しめるだけの展開になっている。
アクション映画でも「こうではなくては」というセオリーを押さえたものだ。
何も考えずに楽しめるという意味でも、おすすめである。
▼以下はネタバレあり▼
これまでの作品は、大きなテロ事件があってそこに大統領警備官であるマイクが巻き込まれて解決する、という展開だった。
一定のキャラクター設定はあるものの、そこにはご都合主義的なヒーローとしてのマイク・バニングが設定されていた。
たとえるなら「沈黙シリーズ」のライバックのようなものだ。
だが、今回は人間関係や人物設定をしっかりとおいた上で事件が起こる。
彼がはめられた理由をしっかり描くことで、物語に厚みと説得力が与えられている。
非常に脆弱だった「2」の首脳達の警備に、全く説得力がなかったことと対比的である。
またこの結構が民衆の心を掴むという意味でうまい。
黒幕である副大統領は、タカ派。
一方トランブル大統領は、和平を推し進めている。
何が何でも守らなければならない、という展開である以上、大統領を悪役に描くことはできない。
その黒幕に操られているのが、かつて戦友だったジェニングス(ダニー・ヒューストン)。
彼は第一線で生きることを自分の行き方だと自認し、また自身の会社を大きくするために、タカ派の副大統領に協力する。
戦争というファクターをもって、戦争の中で生きる者と、戦争によって人生が壊されてしまった人間を対比的に描く。
その壊されてしまった人間の代表として、マイクの父親が描かれる。
爆弾魔(ボマーあるいはボンバーマン)である父親は、その行動とは対照的に、彼は戦争への忌避が強い。
戦争から生き残った者であるものの、確実に被害者である。
その父親を丁寧に描く(語らせる)ことで、観客は闘っているものがどういう相手なのかを確認する。
相手は特殊部隊を率いている戦場のプロ。
マイクは父親という協力者とともに、この事件を解決することになる。
最近のアクション映画は観客がともに闘える敵を想定しにくくなってきている。
それは、さまざまな理由があるだろうが、冷戦が終わり、分かりやすい敵が設定にしにくいのだろう。
露骨に描いてしまうと、すぐに「国際問題」になりかねないこともある。
だからこそ、ロシアを名指ししたうえで反戦というテーゼを掲げれば、間違いなく観客はともに闘える。
物語を重視したアクションでなければ、やはりアクションとしては弱くなってしまう。
よい展開にもっていけたと思う。
だが、肝心のアクション部分はいかにも凡庸で、いかにもご都合主義だ。
FBIの特別捜査官があきらかにあやしい敵のアジトに単身で乗り込むとか、想像しがたい。
そもそも特殊部隊を率いているプロ集団と言うことを分かってのことだから、余計に不自然だ。
と、このような野暮なことを書けばきっと切りがない。
それでも見られた映画にすることが、監督の役目だろうし、映画というものだ。
だからこそ、それが見えなくなる(そんなわけないが)展開の物語性、人物設定ができたことが、成功の理由の一つだろう。
「エンド・オブ~」シリーズが今後どうなるのか。
もう終わりなのか惰性的に続けるのか。
どちらにしても、成否を分けるのは物語性だろうと思う。
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