評価点:61点/2001年/香港
監督:チャウ・シンチー
少林拳法を駆使して、サッカーする!
30年前、チームメイトの八百長によって右足を負傷したファン(ン・マンタ)は、そのチームメイトの「監督にしてやる」という約束を反故にされ、途方にくれていた。
一方、貧乏な格闘家シン(チャウ・シンチー)は少林拳法をどうやって人々に広めるか、ということで頭を悩ませていた。
その二人が、目的を一つにし、賞金50万元のサッカー大会に出場し優勝を目ざす。
▼以下はネタバレあり▼
日本でも大人気、話題沸騰のこの映画。観た人も多いだろう。
少林寺拳法でサッカーする。なんというアホな設定だろう。
しかし、好感が持てるのは、そのアホさを徹底的に追求しようとしたことである。
ストーリーは、非常にシンプル。というか古典的。
いわゆるアメリカン・ドリームのスポコン的なお話である。
主人公がピンチに陥る(もしくは慢性的に弱小)。
↓
スポーツによってそれを打開しようと試みる。
↓
仲間を集め、特訓する。
↓
ある程度軌道に乗るが、困難に直面、克服する、というパターンを繰り返す。
↓
ライバルチームと戦い、勝つ。
こいった展開は、もう古典中の古典である。
しかし、この古典さが、コメディを支えている。
ストーリーを追うことに必死にならずに、笑えるのである。
そして、この作品では、ボケ倒しなのだが、主人公たちは至ってまじめに演じている。
そのギャップもまた、古典でありながら、コメディとしては重要なファクターである。
しかし、僕はそれほど笑えなかった。
周囲の反応を見ていると、爆笑したという感想がおおく、勧められた一本なのだけど、
僕は思ったほど笑えなかった。
理由は単純である。
笑い(ボケ)までが古典的なのだ。
拳法の良さを説明するのに、バナナの皮をつかったり、ありえない力で縦列駐車したり、剣舞によって植木を刈ったり。
そして、展開の大半はありえない力での笑いの「ごり押し」。
これでは、すぐにお腹いっぱいになってしまう。
もちろん、その力の入れようは認めるし、CGも頑張っていたと思う。
けれど、何度も何度も同じようなサッカーで「見せ場」を作られても、すぐに飽きてしまう。
終盤、恋人が現れ、誤って相手ゴールに守りにいくというボケあたりになると、ツッコむ気さえ失せてしまう。
全然、予想を裏切ってくれないのである。
「そこでそんなボケですか!?」という意外性が全くない。
これでは、永遠ドリフを見せられているほうがよっぽど面白い。
しかし、この作品が笑えなくなっている最大の理由は、展開を無視したボケが目立つということである。
コメディだから、もとよりドラマ部分に対して、大きな期待は寄せていない。
けれど、サッカーでいきなり殴り合いをされても(しかも長い)、「はぁ? 早く展開を進めろよ。」と思ってしまう。
挙句の果てに「自尊心のないやつの顔など見たくない、これをかぶれ!」
と自分のパンツを脱いで差し出す敵を見ていると、中国の文化との差に驚くばかりで、笑えない(シモすぎる)。
(しかも試合が始まる前に、金槌を落とすという陳腐な笑いがある。。。)
ヒロインと流れ上、くっつかないといけないところで、冷たく引き離すのも、展開を壊している。
そして試合中、なぜかハゲにして登場し、主人公を助けるという唐突な展開にも、
かなりの無理を感じざるを得ない。
練習試合のシーンで、戦場に切り替わり、戦争映画をパロっているのも、笑わそうという意図は理解できるが、いかんせん、パロり方が下手なので、爆笑はできない(明らかにハリウッド映画の影響を感じるが・・・)。
「ウォーター・ボーイ(アダム・サンドラー主演)」のほうが、よっぽど笑える。
おなじスポコン・コメディだが、(僕の)笑い声の大きさが全く違う。
流れている哲学(夢を持てとか、自分を信じろ)はとても共感するし、映画としてはそれを前面に押し出す描き方はいいと思う。
けれど、このご時世、110分も同じ質の古典的な笑いを緩急なくあたえ続けられても、観ていて疲れるだけである。
というわけで、みなさん、ごめんなさい。
僕にはこのノリでは笑えません。
(心配していた、サッカーをバカにしていた事とかは、全く気にならなかったけどね。
これで、サッカーを中国の人が少しでも興味を持ってくれるなら全然問題ないよ。
映画ってそんなもんだからね。)
(2004/1/28執筆)
監督:チャウ・シンチー
少林拳法を駆使して、サッカーする!
30年前、チームメイトの八百長によって右足を負傷したファン(ン・マンタ)は、そのチームメイトの「監督にしてやる」という約束を反故にされ、途方にくれていた。
一方、貧乏な格闘家シン(チャウ・シンチー)は少林拳法をどうやって人々に広めるか、ということで頭を悩ませていた。
その二人が、目的を一つにし、賞金50万元のサッカー大会に出場し優勝を目ざす。
▼以下はネタバレあり▼
日本でも大人気、話題沸騰のこの映画。観た人も多いだろう。
少林寺拳法でサッカーする。なんというアホな設定だろう。
しかし、好感が持てるのは、そのアホさを徹底的に追求しようとしたことである。
ストーリーは、非常にシンプル。というか古典的。
いわゆるアメリカン・ドリームのスポコン的なお話である。
主人公がピンチに陥る(もしくは慢性的に弱小)。
↓
スポーツによってそれを打開しようと試みる。
↓
仲間を集め、特訓する。
↓
ある程度軌道に乗るが、困難に直面、克服する、というパターンを繰り返す。
↓
ライバルチームと戦い、勝つ。
こいった展開は、もう古典中の古典である。
しかし、この古典さが、コメディを支えている。
ストーリーを追うことに必死にならずに、笑えるのである。
そして、この作品では、ボケ倒しなのだが、主人公たちは至ってまじめに演じている。
そのギャップもまた、古典でありながら、コメディとしては重要なファクターである。
しかし、僕はそれほど笑えなかった。
周囲の反応を見ていると、爆笑したという感想がおおく、勧められた一本なのだけど、
僕は思ったほど笑えなかった。
理由は単純である。
笑い(ボケ)までが古典的なのだ。
拳法の良さを説明するのに、バナナの皮をつかったり、ありえない力で縦列駐車したり、剣舞によって植木を刈ったり。
そして、展開の大半はありえない力での笑いの「ごり押し」。
これでは、すぐにお腹いっぱいになってしまう。
もちろん、その力の入れようは認めるし、CGも頑張っていたと思う。
けれど、何度も何度も同じようなサッカーで「見せ場」を作られても、すぐに飽きてしまう。
終盤、恋人が現れ、誤って相手ゴールに守りにいくというボケあたりになると、ツッコむ気さえ失せてしまう。
全然、予想を裏切ってくれないのである。
「そこでそんなボケですか!?」という意外性が全くない。
これでは、永遠ドリフを見せられているほうがよっぽど面白い。
しかし、この作品が笑えなくなっている最大の理由は、展開を無視したボケが目立つということである。
コメディだから、もとよりドラマ部分に対して、大きな期待は寄せていない。
けれど、サッカーでいきなり殴り合いをされても(しかも長い)、「はぁ? 早く展開を進めろよ。」と思ってしまう。
挙句の果てに「自尊心のないやつの顔など見たくない、これをかぶれ!」
と自分のパンツを脱いで差し出す敵を見ていると、中国の文化との差に驚くばかりで、笑えない(シモすぎる)。
(しかも試合が始まる前に、金槌を落とすという陳腐な笑いがある。。。)
ヒロインと流れ上、くっつかないといけないところで、冷たく引き離すのも、展開を壊している。
そして試合中、なぜかハゲにして登場し、主人公を助けるという唐突な展開にも、
かなりの無理を感じざるを得ない。
練習試合のシーンで、戦場に切り替わり、戦争映画をパロっているのも、笑わそうという意図は理解できるが、いかんせん、パロり方が下手なので、爆笑はできない(明らかにハリウッド映画の影響を感じるが・・・)。
「ウォーター・ボーイ(アダム・サンドラー主演)」のほうが、よっぽど笑える。
おなじスポコン・コメディだが、(僕の)笑い声の大きさが全く違う。
流れている哲学(夢を持てとか、自分を信じろ)はとても共感するし、映画としてはそれを前面に押し出す描き方はいいと思う。
けれど、このご時世、110分も同じ質の古典的な笑いを緩急なくあたえ続けられても、観ていて疲れるだけである。
というわけで、みなさん、ごめんなさい。
僕にはこのノリでは笑えません。
(心配していた、サッカーをバカにしていた事とかは、全く気にならなかったけどね。
これで、サッカーを中国の人が少しでも興味を持ってくれるなら全然問題ないよ。
映画ってそんなもんだからね。)
(2004/1/28執筆)
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