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外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(8)~ローマ2日目・モスクと猫編(後半)~

2022-12-07 09:54:38 | イタリア

 

 

毎日ぼんやり過ごしているうちに、今年もとうとう最後の月に突入してしまった(デジャブ)。日本の首都圏では寒い日が続いているが、皆様いかがお過ごしだろうか。

 

うちの安アパートは窓の建付けが悪いせいか(まともなカーテンを掛けてないせいもあるかも)、昼間目覚めて室温をチェックしたら10度前後だったりして、かなりサバイバルな状況だ。昼間はエアコンとコタツをつけ、夜は毛布を重ねて凌いでいるが、もういっそ冬眠したい。恒温動物って、大変だなあ…

 

というわけで(?)、また間が空いてしまったのだが、今回はローマ滞在2日目の話の続き。ローマモスクを訪ねて行って、写真を撮らせてもらい、帰りがけに門番の男性にお礼として少しお布施を渡そうと思ったら、「寄付金?それは猫のエサ代か?」と言われた、というところで終わっていた。(前回の話

 

それを聞いた私が目の色を変えて(たぶん)、「猫のエサ代? ここには猫がいるんですか??」と勢い込んで尋ねたら、彼はこちらにやってくる猫を指さした。

 

おお~

 

キジ白の美猫さんが~

 

 

ぐいぐい来る~

 

 

やっぱりモスクには猫がいなくっちゃね!うふふふ、ふふふふふ(不気味)

 

盛り上がる私を見て、門番氏も心なしか嬉しそうだった。彼が猫を餌付けしているそうで、全部で4匹いるが、昼間は暑いから他の猫はどこか涼しいところに隠れているとのことだった。この猫の名前は「Marocco」(マロッコ)だという。イタリア語でモロッコのことだ。

 

モロッコちゃんは私がエサを持っていることを敏感に察知し、すり寄ってきてくれたので、日本から空輸したいなば食品の「焼きかつお」やちゅ~るを振舞った。

 

いなば食品のスローガンは「世界の猫を喜ばす。」そのまんまやん。

 

 

私が猫好き丸出しでエサをあげたり写真を撮ったりするのを見て、さっきまで冷たかった門番氏の態度が一気に軟化。「預言者ムハンマドは、床に置いた外套の上で寝ている猫を起こさないため、袖部分を切り落として外套を着た」という逸話を教えてくれたので、その話は日本の猫好きの間でも有名だと逆に教えてあげ(私の周りだけかな)、預言者の教友で、猫好きで知られるアブー・フライラ(アラビア語で「子猫のお父さん」という意味の呼び名)の話などをして盛り上がった。(参考

 

すっかり打ち解けたところで、彼が「モスクの中で暮らす人たちがいるから、訪問客は決まった日時にしか入れないが、入り口の前で写真を撮るのは構わないし、外階段の上から見える小モスクの写真も撮っていいから、もう一度行って来たらどうか」と言ってくれたので、再び撮影しに行った。でもすでに十分写真を撮っていたし、小モスクも発見できなかったので、早々に戻った。

 

戻ったら、モロッコちゃんが水を飲んでいたので写真を撮っていたら、また何かくれるのかと期待してすり寄ってきたので、ちゅ~るビッツをあげる。残りのちゅ~るは門番氏に託した。

 

 

あのカバンの中にまだ美味しいものがある気配がするにゃ~

 

 

さて、お腹いっぱいになったから、どっかで昼寝するにゃ~

 

 

よく見ると、後頭部が刈り上げ君。

 

 

猫が立ち去ってから、しばらく門番氏とお喋りした。猫の名前から推測できるように、彼はモロッコ人だったが、長年イタリアに住んでいて、ここの暮らしに満足しているとのことだった。

 

アラビア語のフスハー(標準語)が話せるかどうか聞いてみたら、話せるとのことだったので、練習のためイタリア語からアラビア語に切り替えて話させてもらった。アラブ人はフスハーが苦手な(話せない)人が大半なのだが、宗教関係者は話せることが多いのだ。アラビア語で話しつつも、時々頭が混乱して、ついイタリア語の単語が混ざったりしたが、なにしろ相手は両方できるので、何の問題もなく通じた。言葉が通じるって、素晴らしい。

 

話し始めてわりとすぐに、案の定「何歳か、結婚しているか、子供はいるか?」等と聞かれた。アラブ人男性との会話で避けては通れない質問だ。私が年を正直に答え(驚いていた、うふふ~)、「結婚はしてない。自由に旅したいから」と適当に答えると、彼は少し考えてから、「その方がいい」と真顔で言ってくれた。「建築家か?」とも2,3度聞かれたので、このモスクを訪問する建築家は少なくないのかもしれない。あまり類を見ないデザインのモスクだから。

 

別れ際、「明日の午前中はモスク内部が見学可能だから、また来なさい」と言ってくれたが、間に合うように早起きできる自信がなかったので、「来られたら来ます、インシャ―アッラー」とだけ答えてモスクを後にした。

 

帰りは鉄道で帰った。グーグル先生に聞いたら、行きに通った高架のある駅が「Campi Sportivi」駅で、そこからFlaminio(フラミーニオ)まで列車が通っていることが判明したのだ。フラミーニオからテルミニ駅までは地下鉄1本でいける。これで来たら楽だったのに、気づくのが遅かったわい…

 

フラミーニオ駅にはすぐ着いた。暑い中歩き回って疲れたので、少し休憩する事にして、広場の近くのバールでプロシュット・コット(Prosciutto cotto、加熱済みのハム)とチーズを挟んだパニーノとビールを取り、外のテーブルで通りを眺めながらゆっくり食べた。ぼんやりしてる間にパニーノを温められてしまったが、イタリアなのでハムもチーズもパンも美味しかった。サルデーニャ製の冷えたビールも当然美味しい。

 

 

 

 

おこぼれのパンくずを狙って待機しているすずめが道路にいたので、パンの具の入っていない部分をちぎって投げてあげたら、小型戦闘機のように飛んできた。

 

 

こちらのすずめは色が薄め

 

 

パン屑ゲット

 

 

ハトも乱入

 

 

結局半分くらいパンをあげてしまった。

 

 

食べ終えてから、メトロでテルミニ駅に戻った。疲れていたから、夜はもう外出しないことにして、駅構内のスーパー・コナドで夕食を買って帰ろうと思ったが、道に迷ってたどり着けなかった。方向音痴って、かなしいことね…仕方がないので、地下のバールで生絞りのオレンジジュースを飲んで一息つき、ホテルに戻ることにする。

 

 

ここもイタリア南部系のバール

 

 

美味しそうな南部の郷土菓子も売られている。

 

 

ホテルの部屋に戻って、道すがら買ったビールをぼんやり飲んでいたら、エリザベッタさんがノックした。「部屋にあった飲みかけの赤ワインの瓶を冷蔵庫に入れておいたのよ。冷えていた方が美味しいだろうと思って」と言って、瓶を渡してくれる。イタリア人も夏は赤ワインを冷やすのか、と意表を突かれたが、礼を言って受け取っておいた。親切な人だ。

 

よく冷えた赤ワインの瓶を眺めていると、うちの母がかつて私が里帰りする度に、「何飲む?赤ワイン冷やしておいたよ!赤ワインって冷やすものなんでしょ?」と言っていたことがふと頭に浮かんだ。私はその度に「お母さん、赤ワインは冷やしちゃダメ。冷やすのは白ワインよ」と訂正したものだが、イタリア人も赤ワインを冷やしているんだから、母はあながち間違っていなかったのかも…

 

ビールとワインを飲んでから、しばらく昼寝したら、少し元気が出たので、夜8時頃夕食の買い出しにまたテルミニ駅に出た。今回はコナドが発見できた(地上だと思い込んでいたが、地下にあった)。

 

 

ビタミン補給のため、生オレンジジュースを購入。セルフサービスでペットボトルに詰める方式。

 

 

総菜コーナー。クスクスもある。

 

 

アジア食品コーナー。即席めんが充実している。

 

 

インスタント味噌汁がヨルダン製のホンムスの隣りに並んでいる。

 

 

紙パック入りのワインコーナー。ベンチ飲みによさそう。

 

 

結局オレンジジュースの他にライスサラダ、あんず数個、白ワイン(瓶入り)を買った。合計約10ユーロ。ホテルに帰ってシャワーを浴びてから、テレビのウクライナをテーマにした討論番組を眺めながら食べた。出演者は皆怒っていて、大声で一斉に喋っているのに、なぜか会話が成り立つというイタリア的な展開だった。ライスサラダは量が多かったが、ビネガーが効いてさっぱりしていたので完食できた。夏の食欲のない時はこれが一番だ。

 

 

 

 

翌日はトレビの泉やパンテオンなどの王道の観光スポットに寄りつつ、その近くの保護猫施設を見に行くつもりだった(モスク訪問はもう頭になかった)。熱中症にならないように気を付けなければ・・・

 

 

(続く)

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(7)~ローマ2日目・モスクと猫編(前半)~

2022-11-17 20:22:31 | イタリア

 

 

ぼんやり暮らしているうちに、気が付いたらもう11月も後半。前回のブログから1か月も経ってしまっている。その間に早めの里帰りをしたりもしたが(正月は感染拡大が懸念されるので)、ほんの数日だったのに、どうしてこんなに日にちが経っているのだろう。時を駆けたのかな。(時を駆けるおばちゃん)

 

というわけで、久しぶりに旅行記の続き。東京からローマに到着した翌日、ローマモスクを訪れた時の話だ。ずっとサボってたから、書き方を忘れてしまった気がするが、なんとか思い出さなければ…

 

今回の旅行ではローマに3泊したのだが、それはローマ観光のために意図したものではなかった。格安のライアンエアーを使ってヨルダンに移動しようと思ったら、ローマ・アンマン間が週2便しかなくて、結果的にそうなっただけなのだ。ライアンエアーは他の航空会社の半額以下なので、宿泊費を入れても安くついた。(片道でスーツケース1個預けて7千円弱だった)

 

ローマは過去に何回も訪れているし、いまさら観光する気もしなかったが、どこにも行かずにホテルでゴロゴロしているわけにもいかない。どうせ行くなら、私の関心事項である中東や猫関連のスポットがいいと思い、ネットで色々検索した結果、まずローマモスクに行ってみることにしたのだ。

 

 

ローマに唯一残ったピラミッドにも行こうかと思ったが、気合が足りなくて行き損ねた。だって暑かったんですもの…でも、そばに猫スポットもあるそうなので、やっぱり行けばよかったかも(くよくよ)

 

 

「ガイウス・ケスティウスのピラミッド」(ネットから拝借した写真)

 

このピラミッドについて書かれた興味深い記事

https://serai.jp/tour/1021365

 

 

さて、ローマ2日目のこの日、私は朝8時半頃に目覚めた。日本で昼夜逆転生活を送っていたのが良かったのか、時差ボケもなかった。しかし、のんびり洗濯やツイッターなどをしていたら、出かけるのが11時を過ぎてしまった。

 

11時半頃にようやくホテルを出ようとしたら、フロントにいたエリザベッタさんが「コーヒーを淹れましょうか?」と声をかけてくれた。遅くなるので遠慮したら、「じゃあ、明日は必ず飲んでいってね!」と念を押しつつ送り出してくれた。素泊まりの安ホテルなのに、妙にサービスがいい。チップちょっとしか置かなかったけど、悪かったかしら…

 

まずテルミニ駅に出て、売店でバス・トラム・メトロ共通券(1枚1.5ユーロ・100分有効)を買い、メトロに乗った。ネットで見つかった数少ない情報(これとか、これとか)によると、ローマモスクはメトロで「Flaminio(フラミーニオ)」まで出て、そこでトラム(市電)に乗り換えて、「Campi Sportivi」(カンピ・スポルティーヴィ=運動場)で降り、徒歩5分のところにあるはずだった。この日は火曜日で、見学可能日ではないはずだったが、一応行ってみることにした。ここは日本じゃなくてイタリアだから、融通を利かせてくれる可能性があるのだ。

 

イタリアでは当時、公共交通機関でのFFP2マスク着用が義務付けられていたが、メトロには違うタイプのマスクをしている人が多く、ノーマスクの人もちらほらいた。チェックが甘いのだろう。後で乗ったバスでは、運転手がノーマスクの人に「Mascherina!」(マスケリーナ=マスクのこと)と叫んでいたが。

 

 

メトロでフラミーニオ広場に到着。

 

 

ここでトラム(2号線)に乗り換えようと思ったら、いつまで経っても来ない。よくみたら、停留所に「6月14日からトラムは休止、フラミーニオ広場から代替バスが出る」と書かれた張り紙があった。6月14日は、まさにこの日だった。なんてこった…

 

とりあえず、広場のバールでカプチーノとコルネット(クロワッサンっぽいパン)を頼んで朝食を取ることにした。

 

甘いパンとカプチーノはイタリアの朝食の定番

 

 

食べ終えてから、店員のお兄ちゃんにバスが出る場所を確認して、礼を言って出ようとしたら、日本語で「アリガト、サヨナラ」と言ってくれた。あ、一応日本人に見えたんだ…

 

 

バスに乗車

 

 

「Campi Sportivi」の停留所で降りるべきだったが、気が付いたら通り過ぎており、終点の「Mancini」(マンチーニ)というバスターミナルまで行ってしまった。なお、途中には「Ankara」というバス停もあり、その付近に青空マーケットが出ていた。

 

バスターミナルで、チケット売り場のおじさんたちに聞いたり、スマホでグーグル先生に聞いたりしたところ(SIMカードを買って正解だった)、168番の「deviato」(迂回)と書いてあるバスが、Campi Sportiviに行くことがわかった。しかし、そのバスがいつやってくるかは、おじさんたちも知らないという。30度を超える気温の中、屋根のないバスターミナルで1時間以上待ち、もう諦めようかなと思ったタイミングでそのバスはやってきた。イタリアのバスは、諦めようとした時にやってくることが多い気がする。狙いすましたように。

 

バスの乗り込んで、運転手さんにローマモスクに行きたいからCampi Sportiviで降ろしてほしいと頼んだら、慣れた感じですぐ頷いてくれた。ローマモスクに行く人によく頼まれるのだろう。欧州最大規模のモスクなので、訪れる外国人も少なくないに違いない。

 

バスを降りてから、グーグル先生に導いてもらって10分ほど歩き、途中で道端に停車していたトラックの中に座っていたファンキーな感じの陽気そうなおばあさんにモスクの場所を尋ねたら、そばに立っていた体格のいい女性(たぶんtravestito=トランスジェンダーの人)に声をかけて聞いてくれた。彼女は「あそこに塔が見えてるでしょ」と言って、近くに見えている鉄道駅の高架の向こうのミナレットを指さして、「高架橋を渡っていくといいわよ!」と教えてくれ、おばあさんと一緒に手を振って見送ってくれた。

 

この写真では分かりにくいが、高架の向こうにミナレットが見えていた。

 

 

この階段を通って上に出る。

 

 

高架の上に出たら、モスク本体が見えた。

 

 

「Viale della Moschea」(「モスク通り」)という標識があった。読みにくいけど

 

 

欧州最大というだけあって、ローマモスクはかなり大きく、そして現代的で無機質な印象の建物だった。

 

入口の方に回ったら、門は閉まっていて、門番らしき男性(たぶんソマリア人)が出てきたところだった。時刻は14時半頃。声をかけたら、彼は当番を終えて帰るところとのことだった。代わりの当番が来る予定だが、いつ来るかは知らないとそっけなく言われ、待とうかどうしようか迷っていたら、別の男性が登場した(国籍不明)。彼が交代要員らしい。

 

その男性に声をかけて、モスクを見学したい旨伝えると、「今日は一般客が入れない日だから、明日の午前中に来なさい」と冷たく言われる。取り付く島もない感じだった。しかし、そこをなんとか、建物の外側からでいいから写真を撮らせてもらえないかと必死で頼み込んだら、中に入らずに外からさっと写真を撮ってすぐ帰るならいいと言ってくれたので、通用門から敷地内に入って、モスクの周りを早足で歩き回って撮影した。

 

 

前景

 

 

このコンクリートの階段を上る

 

 

とっても現代建築

 

 

モスクの入り口

 

 

噴水には水がなかった

 

 

宿泊施設らしき建物

 

 

一通り写真を撮って満足したので、入口のところに戻って門番氏に礼を言い、帰る前に少しだけお布施をしたいと申し出たら、彼は初めて笑顔になり、「寄付金?それは猫のエサ代か?」と聞いた。

 

猫のエサ代?

 

 

(続き)

 

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(6)~ローマ初日・SIMカード購入編~

2022-10-16 18:34:42 | イタリア

 

 

激しい気温の変化に翻弄されているうちに、もはや10月も後半に突入してしまった。今年は金木犀の香りがあまりしないなと思っていたが、それは寒いから窓を閉めていたせいだということに、暖かくなってからようやく気付いた。金木犀のシーズンは短くて貴重なのに、なんだか損した気分。

 

 

さて、今回は旅行記の続き。まだローマに着いた日の話が終わっていなかった。悪い魔法使いに呪いをかけられたかのように、いたずらに時が過ぎ、ブログをなかなか更新できない。いつ終わるんだろう、この旅行記は…(前回の話

 

 

 

ホテルの部屋で少し仮眠を取り、Wi-Fiを利用して調べ物などをして、少しゆっくりしてから夕方6時頃に出かけた。

 

ホテル周辺を散策がてらテルミニ駅に出て、駅構内にある携帯ショップを回ってSIMカードの値段をチェックするつもりだった。ローマには3泊しかしないので、すぐ買うつもりはなかったが、ヨルダンとトルコを回ってからイタリアに戻る予定なので、一応値段と有効期間をチェックしておこうと思ったのだ。

 

ホテルの周りには、中華料理店や中国人経営の衣料店、観光客向けのリストランテやピッツェリーア(ピザ中心のレストラン)なども並んでいたが、それ以上に南アジア系のハラール・ファーストフード店やミニマートが目に付いた。通行人はソマリア人を始めとするアフリカ系の男性が多い。ファーストフード店の屋外のテーブルに座った男たちが口論したりもしていて、ちょっと不穏な雰囲気があった。この辺り(テルミニ駅周辺地域)は、夜は少し怖いかもしれない。帰りが遅くならないようにしないと。まあホテルの門限が24時なので夜遊びは出来ないし、そんな歳でもないのだが。(安全のため、24時にホテルの入口を閉めると言われた)

 

 

ファーストフードの店としては、さほど安くない気がする。

 

 

似たような店が多い。どこもメニューの種類がやけに多い。

 

 

飲食店の外にある値段表示をチェックして、夕食を取る店を物色しつつ歩き、テルミニ駅に出た。駅の構内に三大通信会社のTIM(ティム)、Vodafone(ボーダフォン)、WindTre(ウインドトレ)の店舗が入っていることは調査済みだった。

 

 

テルミニ駅の構内にはスーパーも本屋も、各種のお店やフードコートなどもあり、大抵の用が足せる。ローマ滞在中、1日最低2回は寄っていたので、もう私の庭のようなものさ。まあ方向音痴だから、中で毎回道に迷ってたけどね…

 

 

 

 

まず、地上階にあるWindtreのショップに入って、不愛想な店員のお兄ちゃんに相談したら、ツーリスト用のSIMは最短のものが30日間有効で、20GBで28ユーロだという。ネットで調べていた値段(約25ユーロ)よりなぜか少し高い。30日間有効なら、今買ってしまってもいいかとも思ったが、私の旅行期間は32日間なので、今買ったら最後の2日間は使えないことになる。そして、EU圏ではないから、ヨルダンはもちろんトルコでも使えない。そう思うと、合計で約2週間のイタリア滞在のためにこれを買うのは割高な気がする。ああ、トルコがEUに入れていれば(むりむり)

 

買うかどうかは保留にして店を出て、TIMの店の方にも行ってみたが、言われた値段がWindtreより高かったのですぐ出た(いくらだったかは記憶の彼方)。駅地下の商店街に入っているVodafoneにも行ってみたが、こちらはもう店仕舞いするところだった。仕方がないので、すぐ近くにあったWindtreの別の店舗に入ってみる。こちらの店員は、非常に親切で愛想のいい若者だったが、提案されたのは、2枚セットで40ユーロ台だから割安だというSIMだった。SIMが2枚あってもしょうがない、さっき地上にある方の店で聞いたらもっと安いSIMがあると言われたと説明してみたが、彼は肩をすくめるばかりだった。同じ通信会社でも、店によって言うことが違う。さすがイタリアだ。

 

駅周辺にもVodafoneの店舗があるかもしれないと思い、駅から出てホテルと反対側の界隈を少し歩いてみたが、全然見つからなかった。こちら側でも、ソマリア人らしき男性をよく見かけた(ソマリアの一部がかつてイタリアの植民地だった関係で、ソマリアからの移民・難民が多い)。夕方でもけっこう気温が高く、少し歩いたら疲れてきたので、目に付いたバールに入り、ビールを飲んだ。イタリアビールの「ペローニ(peroni)」、久しぶりに飲んだが、相変わらず美味しかった。イタリアはワインだけではなく、ビールも美味しいのだ。座ったら料金が高くなるので立ち飲みで我慢した。ああ、しんどい…

 

 

バリスタのお兄さんたちは、にこやかでプロフェッショナル。南部訛りでテンポよくお客さんと話していた。

 

 

南部のお菓子も色々あった。テルミニ駅構内や周辺地域のバール界はシチリア・カラブリア・ナポリ勢に支配されていると思われるが、ここもその1つ。

 

 

 

 

ビールを飲み干してから、またテルミニ駅に向かった。色々考えるのは面倒なので、もう最初に行ったWindTreの店で買ってしまおうと思ったのだ。しかし、今夜はホテルにWi-Fiがあるから、1日でも長く使えるように、買うのは明日にした方がいいかもしれないとも思う。(期限が切れる前にチャージすれば更新できるが、最低10ユーロかかる)

 

旅の疲れでぼんやりした頭で、くよくよ迷いながら店に着いたら、店番が交代していて、若い女の子がカウンターの中にいた。30日間有効のツーリスト用のSIMカードがほしいと言うと、33ユーロだと言われる。ええ~、さっき聞いた値段より5ユーロ高いんですけど~

 

「少し前に来た時、男性の店員さんに28ユーロだと言われたんだけど」と言ったら、彼女は「じゃあ28ユーロでいいわ」とあっさり引き下がった。なんなの、同じ店なのに店員によって違う値段を言ってくるとか…フィレンツェではこういうことは普通起こらない気がする。ローマあるあるか?

 

試しに「SIMをその日に買って、翌日から有効にすることは可能ですか?」と聞いてみたらダメだと言われ、翌日出直すのは面倒だったので、結局その場で買ってしまった。つまり、旅の終わりの2日間はスマホが使えないということになる。やはり翌日出直した方が良かったかも(くよくよ)。どうも判断力がポンコツになっている気がする。

 

ともかく、用事が終わったので一息ついて、ホテルでの部屋飲み用のワインとつまみを駅構内のスーパーに買いに行った。駅地下には「コナド(Conad)」の系列店が、地上にはコープが入っていて便利だ。新しいお洒落なフードコートも複数出来ていて、アペリティーヴォ(食前酒)を楽しむ地元客や観光客で賑わっていた。テルミニ駅は単なる鉄道駅ではなく、ローマで社交・娯楽・飲食・ショッピングを楽しむために人が集まる一大スポットになりつつあるようだった。

 

 

エキナカのお洒落フードコートでマリトッツォを発見

 

 

イタリアでマリトッツォを見たのは、これが初めてだった。なお、食べたことは一度もない。

 

 

このフードコートにはラーメンコーナーも寿司コーナーもある。

 

 

駅の上階の別のフードコートにも、寿司レストランが入っていた。寿司はいつからイタリアで愛されるようになったのか。食に極めて保守的なイタリア人がそんなに寿司を食べるとは思えないのだが。

 

 

駅地下のコナド系スーパー

 

 

ファラーフェルもあったけど、マズそう。

 

 

当然寿司コーナーもある。

 

 

コープの店の前に出ていた広告には、アラビア語表記もあった。

 

 

土産物も買える。

 

 

コープはハム類が充実しているが、特に安くはない。

 

 

コープで安い赤ワインとタッキーノ(tacchino 七面鳥)のハムを買ってから、ホテルの近くに戻って、あらかじめ目を付けていたピッツェリーアでピザを注文した。トマトベースでアンチョビとモッツァレッラがのっているやつ。「ナポリターナ」という名前だったと思うが、「ナポレターナ」かもしれない。7、8ユーロで、この辺りの他の店より安かったが、十分美味しかった。ピザの本場、イタリアですもの。分厚い生地のナポリのピザとは違い、ローマ風に薄かった。飲み物は当然ビールだ。ピザの時にビール以外を飲むわけにはいかない。銘柄はまたペローニ。

 

 

 

 

他の客は欧米系の観光客ばかりで、ピザ以外にも色々な料理やワインを景気よく注文して、盛り上がっていた。私がピザとビールだけ注文したら、カメリエーレ(ウエイター)のおじ様(多分南アジア系)に「え、それだけ?」と不審そうな顔をされたが、にっこり微笑んで「そう、それだけ」と答えたら、あきらめたように立ち去った。すいませんね、貧乏旅行者なんで…

 

 

ピザが来るのをぼんやり待っている間に、さっき買ったSIMをスマホに入れようと思いついてしまい、スマホの脇の小さい引き出しみたいなやつをいじって、そこに入っている日本の携帯会社のSIMを出そうとしたら、取り落として見失ってしまった。地面をいくら探しても見当たらない。ブラックホールに入ったのか?

 

SIMの入れ替えなどしたことがないのに(海外ではいつもお店の人に頼んでいた)、夕暮れ時の路上で、あんな小さいものを取り出そうとするなど、判断力がポンコツすぎるのではなかろうか。この旅の間、ずっとそんな風に頭がポンコツ山のたぬきさん状態で、色々ヘマをしでかした。幸い大きな事故はなく、無事に帰れたが。旅の疲れのせいか、年のせいか、ステイホームボケのせいか、はたまたアル中の症状か…

 

カメリエーレのおじ様も、隣のテーブルに座っていた1人客の欧米人の若者も一緒に探してくれたが、なかなか見つからなかった。それでもあきらめず、ピザが来てからもしばらく探し続けた結果、置き引き防止のため膝の上にのせていたショルダーバッグの片隅から出てきた。バッグの中が怪しいと最初から思っていたので、何度も探したのだが、小さいからなかなか出てこなかったのだ。出てきて良かった。日本のSIMを失くしたら、えらいことになるところだったぜ。

 

冷めかけたピザを食べ終わり、カメリエーレのおじ様にお礼を言って、チップを渡す。1ユーロしかあげなかったのだが、おじ様は全く期待していなかったらしく、とても嬉しそうな顔で受け取ってくれた。

 

ホテルに向かう道すがら、ミニスーパーでビールを買い(コープやコナドより割高だが、冷えているものが欲しかったからしょうがない)、買い物が終了。部屋に戻ってシャワーを浴び、ビールやワインを飲んでから、早めに寝た。

 

翌日は欧州最大規模だというローマモスクを見に行く予定だった。ネットで情報を検索しても、詳しい行き方や開いている時間帯はよくわからなかったのだが、ここはイタリアだから、とりあえず行ってみたら、なんとかなるだろう。問題は、方向音痴の私が無事にたどり着けるかどうかだな…

 

 

(続く)

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2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(5)~ローマ初日・ホテル探し編~

2022-09-07 22:40:53 | イタリア

 

 

前回のブログからずいぶん間が空いてしまった。

 

8月は全然予定がなくてずっと暇だったので、下旬につい図書館でフランス語とペルシャ語の初心者用テキストを借りてきて、勉強し始めてしまい(その後自分で教材を買った)、そちらにエネルギーと脳の機能を奪われて、他のことが何もできない状態になっていたもので。両方合わせてせいぜい1日2~3時間しかやってないのだが、終わった後に脳みそが煮詰まったような状態になって、何も考えられなくなるのだ。年のせいかな…

 

しかし、このままブログを途中で放置するのも気になるので、趣味の語学学習の時間を減らしつつ、なんとか旅行記の続きを書くことにした。成田からドーハ経由でローマに到着したところで終わっていたので、その続きからだ。

 

 

ローマのフィウミチーノ空港

 

 

フィウミチーノ空港に到着したのは、予定通り14時頃だった。

 

空港建物内に入って、まず入国手続きを済ませる。日本パスポート所持者はシェンゲン圏内の空港で査証免除対象者の専用レーンを通れるので、列に並ばずにスムーズに入国できた。

 

空港職員のイタリア人たちは、お互いに「Ma Daiii!」(マッダ~イ=何言ってんのよ!)とか、「Forza!」(フォルツァ=がんばって!)とか言い合いながら、和気あいあいと仕事をしている。旅客への接し方もナチュラルに感じが良い人が多く、全体的に人間的な雰囲気が漂っている。成田空港ともドーハの空港とも違う、イタリアらしい雰囲気だ。

 

荷物の引き取りも意外にスムーズに行き、片隅にあるATMで必要分のユーロ現金をカードでキャッシングしてから、空港隣接の鉄道駅へと向かった。

 

イタリアでは、公共交通機関の車内でのFFP2マスク(米国規格のN95 に相当する密閉性の高いマスク)の着用が義務付けられていて(9月30日まで)、これなしには電車に乗れないから、空港内の売店に買いに行った。カタール航空のドーハ発ローマ行きの搭乗口で無料で配っていたのだが、ぼんやりしていてもらい損ねたのだ。(痛恨)

 

 

FFP2はクチバシ型

 

 

 

通りかかった売店のレジ脇に「offerta(オッフェルタ お買い得品)1.5ユーロ」(約200円)という札付きで売られていたので、レジに並んだ。私の前には色白でぽっちゃりした上品な紳士が並んでいた。彼が煙草を買おうとして紙幣を差し出したら、レジのイタリア人のおば様は「お釣りがないから、もっと細かいお金を出してって、英語でどういうんだっけ…」とつぶやいた。それを聞いた私が「出たぞ、イタリア人の小銭出せ攻撃が」と思っていたら、その紳士がイタリア語で「僕、イタリア人なんだけど」と言って笑いだし、それを聞いたおば様が「ええ~、あなたイタリア人に見えないわ!スウェーデン人顔じゃないの!(Hai faccia da svedese)」と言い返して、2人で盛り上がっていた。イタリアらしい一コマである。その紳士(確かにイタリア人らしからぬ風貌だった)は小銭を出して無事に煙草をゲットし、私も当然小銭を出してマスクをゲットした。

 

その後、鉄道駅に移動してテルミニ駅までのレオナルド・エクスプレス(空港特急)の切符を買ったら(14ユーロ=約2千円)、切符売りのおじ様が「Buon viaggio!」(ブオン・ヴィアッジョ=良い旅を!)と言って微笑んでくれた。イタリア、いい国だな。住まなくなってからもうずいぶん経つので、「わ~懐かしい!」というよりは、「あ、お邪魔しますね…なんか見たことある風景ばっかりだけど、デジャブかな」くらいな気分だったが。(認知症入口)

 

 

フィウミチーノ空港駅とあごマスクの皆さん

 

車内

 

 

FFP2マスク着用の義務を告知する車内放送が流れていたが、違う種類のマスクをつけている人も多かった。見回りの係員も、マスクをつけてさえいれば何も言わずに見過ごしていたので、他のマスクよりやや高くて息苦しいFFP2を買わなくてもよかったのかもしれない。

 

 

約30分でテルミニ駅(ローマ中央駅)に到着。ここからが試練の始まりだ。試練とはつまり、ホテル探しである。長旅で疲れているのに、30度を超える炎天下の中、宿を求めてスーツケースを引きずりながら歩き回るのは、考えるだけでしんどい。私、体弱いのに…でも、予約をしたくなかったんだからしょうがない。駅構内には荷物預り所もあるのだが、8ユーロかかるし、そこまで預けに行って、また引き取りに行くのも面倒なので、利用しないことにした。

 

 

まず駅のバールでカッフェ・マッキアート(スチームミルクをたらしたエスプレッソ)を飲んで、元気回復を図ることにした。

 

 

バリスタのお兄さんがカメラ目線

 

 

久しぶりに飲むイタリアのエスプレッソは、ものすごく美味しく感じられた。家で自分で淹れるやつと全然違う。日本ではエスプレッソの粉が高いから、私はブレンド用の粉をエスプレッソメーカーに詰めて淹れていたんだが、そのせいかな。(そもそもそれはエスプレッソじゃない)

 

今回は、駅付近の中華街の辺りでホテル探しをすることに決めていた。前回旅した時に、「この界隈には安宿がありそうだ」と目を付けていたのだ。駅の「Via G.Giolitti方面出口」(電車のホームを背にして左手)から出て、マクドの前の道を左方向(駅のホームの方向)に歩いて、ほんの数分で中華街の商店が現れるのだが、その手前で「Hotel」というサインが見えたので、その建物に入ってみた。

 

薄暗い玄関ホールの奥がホテルのフロントになっていたので、そこまで行って、カウンターの向こう側にいた南アジア系らしき男性にシャワートイレ付シングルの値段を聞いてみたら、60ユーロでWi-Fiがないという。

 

フロントの雰囲気からして、かなりうらぶれたホテルだと思われたし、Wi-Fiがないところは問題外なので、「この辺で他に安いホテルはありませんか?」と聞いてみたところ、彼は「この辺りはホテルだらけだし、この建物の上にもあるよ」と親切に教えてくれた。但し、「でも、うちより安いところなんてないけどね」と付け加えるのを忘れなかった。

 

その言葉はさくっと無視して、お礼を言ってエレベーターで上に登り、3階(日本の4階)に入っていた「Rossi Hotel」(ロッシ・ホテル)というところでフロントにいたイタリア人のシニョーラ(=英語の「ミセス」)に値段を聞いてみたら、シャワートイレ付シングルは1泊50ユーロ(約7千円)だという。50ユーロはイタリアの都市のホテルとしては底値だし、部屋を見せてもらったら、この値段にしては非常に綺麗で、もちろんWi-Fiも使えたので、ここに3泊することに決めた。税金の3ユーロは負けてもらった。今回の旅では、ローマに3泊してからヨルダンに移動する予定だったので、ローマでの宿の問題は、もう解決したことになる。ホテル探し2件目にして早速見つかるとは、なかなか幸先がいい。私の人徳かな、ふふっ。

 

フロントのシニョーラはエリザベッタと名乗り、「この部屋は、知り合いが泊まる予定だったけど、急にキャンセルになったから、ここだけ空いてたのよ。他の部屋は全部ふさがってるの」と教えてくれた。彼女はウソをつくタイプには見えなかったので、これは本当だと思う。だとしたら、ここは私の運命のホテルかもしれない。私は「運命」という言葉に弱いのだ。運命の国、運命の家、運命の猫、運命のホテル・・・

 

支払いを済まして、早速チェックインする。エリザベッタさんは冷たい水のボトルを1本サービスしてくれた。もっと欲しければ、廊下の自販機で買うこともできた。

 

 

全体的に乙女チックな内装

 

 

ハンガー掛けが特にラブリー

 

 

部屋の一角に設置された洗面所。洗面台が小さくて洗濯しずらかったが、見た目はかわいい。

 

 

シャワー室はドアが閉まるタイプなので、トイレが水浸しにならない。

 

 

エアコンはないけどダイソンの空気清浄機付き扇風機があった。

 

 

ローマのホテルでダイソンの扇風機にお目にかかるとは・・・ローマはこの時期、すでにかなり暑かったので、エアコンがあった方がよかったが、扇風機でもなんとかしのげた。とりあえず1時間ほど仮眠を取ってから出かけることにして、早速ベッドに横になった。大通りに面していないので、部屋の中は非常に静かだった。

 

 

(続く)

 

 

 

 

 

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我が心のイタリア人~イタリア帰りあるある~

2022-05-16 08:19:56 | イタリア

 

 

私の心の中には小さなイタリア人が住んでいる。

 

ちょっと口うるさいが悪気はなく、しょっちゅう軽口を叩いているタイプの愉快なおばあちゃんだ。かつてフィレンツェで5年ほど暮らしている間に私の中に入り込み、それからずっと時が経って日本での生活が長くなった今でも、出ていく気配はない。

 

彼女は普段は奥の方に引っ込んでいて、あまりこちらのやることに口を出してこないが、なにしろイタリア人なので、食べ物のことになると黙っていられなくなるようだ。彼女の中では、食事に関して「人としてやっていいことと、やってはいけないこと」の境界線がくっきりと引かれており、私がその境目を超えて「禁じられた領域」に入ろうとしようもんなら、突然現れて大声で説教し始めるので油断ならない。

 

そんなイタリア人の小さなおばあちゃんに縛りをかけられているせいで、私には食事の際に守らなければいけない掟がいくつも存在するのだ。それを列挙してみると以下のようになる:

 

・パスタを和える具材に和食材を使ったりして、いわゆる「和風パスタ」を作ってはならない。

・1回の食事の献立にイタリア料理と他の国の料理を混ぜてはならない。

・パスタは鍋でアルデンテに茹で、水に浸けて時短したり、フライパンのパスタソースに直接投入したりしてはならない。

・何も敷いていないむき出しのテーブルに皿を置いてはならない。テーブルクロスが面倒でも、ランチョンマットくらいは敷くべし。口を拭くための紙ナプキンも常備すべし。

・イタリア料理を食べる時はワインを飲まなくてはならない。ただし、ピザの時はビールを飲むべし。

・ワインを飲むときは、水のグラスも用意して適宜飲むべし。

・食後にカプチーノやカフェラッテなどの牛乳入りの飲み物を飲んではならない。

 

他にもあるような気もするが、大体こんな感じだ。ちなみに、私が食事の際にテーブルに敷いているのは100均のランチョンマットで、紙ナプキンはキッチンペーパーで代用している。これはイタリア人のおばあちゃん的にはOKらしい。

 

イタリアの家庭の食卓には普通テーブルクロスが敷かれ、紙ナプキンが置かれている。そして、テーブルクロスは洗濯の後にアイロンが掛けられる。イタリアの主婦はシーツにもタオルにも下着にも、あらゆる布地にアイロンをかけるのだ。

 

イタリアを離れた当初は、私の中のイタリア人はこういった規則に厳しく、少しでも破ったら非難ゴウゴウだったものだが、最近はある程度目をつぶってくれるようになった。年のせいかもしれない。だから、最近はパスタをフライパンに直接入れちゃったりもしているのだが、やはりそれをすると罪悪感が付きまとう。パスタソースにオクラや舞茸などを入れたり(椎茸は不可)、パスタに添えるサラダを和風ドレッシングで和えたりすることもあるが、やはり「アタシって、人でなし…」という自責の念に駆られつつ食べることになる。

 

これは私だけではなく、他のイタリア帰りの日本人の皆さんも多かれ少なかれ気にしている事項ではなかろうか。イタリア帰りの人にかけられた呪いようなものだと思うのだが、どうだろうか。

 

 

(おまけのスマホイラスト)

友達に教えてもらって、アイビスペイントというスマホアプリをダウンロードし、ダイソーで買ったタッチペンを使って初めて描いたイラストがこちら

 

案外むつかしくて、にゃ~にゃ~泣きながら描いた。

 

でも、パソコンにペンタブレットで初めて描いたイラスト(下)に比べたらずっとマシだよな・・・

スマホアプリで描いたイラストの2作目はこれ。寒い日だった。

 

 

 

なんか上達してないですか??

 

自分の才能がコワい・・・

 

 

(終わり)

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