モダンデザイン・デザイナーズ家具・名作家具を考える。

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アール・ヌーヴォー ベルギー編(近代建築運動・芸術運動-3)

2013年08月06日 | 近代建築運動・芸術運動

イギリスの 『アーツ&クラフツ運動(1850-1914 Arts and Crafts Movement)』は、海を渡りヨーロッパ各国に影響を与えました。

オルタ邸ヨーロッパ各国のうちベルギーは、最も早くその影響を受けた国のひとつで、早い段階で 『アール・ヌーヴォー(1880-1910 Art Nouveau 新しい芸術)』 が花開き流行したと言ってもよいかと思います。

アール・ヌーヴォーの造形的特長は、植物のつるのように有機的で滑らかな細長い曲線を組み合わせて表現されます。

曲線は一定の方向ではなく多方向で、複雑にからみ合い、その様子は、女性の髪の毛をイメージしているようにも見えます。

曲線の表現は扉、欄干、手すり等に施されることが多いのですが、近代に入り積極的に用いられた建築材料の一つである鉄が、そのような優美な曲線の表現に一役を担ったと言えます。

 

オルタ邸ドアノブ曲線を表現する部材、末端には、動物あるいは動物の一部分、昆虫、骨格等、自然界に存在するものをモチーフにデザインされる事が少なくありません。
と言うより、むしろ建築金物、家具金物、ステンドグラスなどの各種部材にそのようなモチーフを多用する事が、ベルギーのアール・ヌーヴォーの特徴と言っても良いかもしれません。

そして、そのような金物の多くはそれぞれ職人の手により、加工された一品生産品です。
機械生産を否定し、手作業による生産が賞賛されたアール・ヌーヴォーだからこそ可能となった生産品と言えます。

ベルギーのアール・ヌーヴォーは、見た目の装飾性に関して他のヨーロッパ各国と比べると華やかで、ディディールは細部に渡って追求されたと言ってもよいかと思います。



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