MVCメディカルベンチャー会議

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第5回パワーランチin東京

2007年10月07日 | MVCパワーランチ
「素敵な医師・医学生の体験談シリーズ」第一弾として、慶應義塾大学医学部6年の石井美穂さんをゲストにお迎えし、日本の女性医療と米国留学についてのお話を伺いました。彼女はいつも周りを明るく幸せにしてくれるパワーを持っています。そんな身近な医師・医学生の体験談は、参加者に自分だけの一歩を踏み出させる力となります。今後も、素敵な仲間の体験談を共有する場所としても、パワーランチを提供していきたいと考えています。どうぞ応援のほど、宜しくお願い申し上げます。

①私は札幌で生まれ、シンガポールで育ちました。シャイで、でも好奇心旺盛な女の子で、多民族国家の中で、皆違うのが当たり前でした。東京に戻ってきた際に、皆一緒の評価のされ方に疑問を持ちました。その後次は個性を重んじるアメリカに渡り、数学と音楽の才能を買われて、自由に伸ばしてもらったと感じています。
また東京に戻ってきて、SFC(慶応湘南藤沢高校)に入学し、自身が婦人科にかかった経験から、女医という職業・女性医療に関わりたいという気持ちが芽生え、慶応大学の医学部に入学しました。

②医学部入学後、IFMSA(国際医学生連盟)と出会い、HIV/AIDSの予防啓発・広報として3年半活動しました。また、女性医療ネットワークでの先生方との出会いや、外来やクリニックの見学、学会参加などで、より女性医療に対する関心は高くなっていきました。ハワイ大学では、PBLワークショップに参加して教育の重要性を再認識したり、台湾大学ではアジアの別の国の医療を経験しました。また6年生の夏には、2ヶ月間NYのコロンビア大学で米国の医療にトレーニングされてきました。

③まず、女性医療の話をします。女性医療とは「生涯を通じた女性の保健医療」と定義されていますが、言葉の定義があいまいで混沌としているのが現状です。「女性患者は女性医師に診てもらいたい」、そんな流れにのって、清潔感のある外観の魅力的なクリニックが、数多くできましたが、果たして質の高い医療を提供できているのか、個人的には疑問が残ります。
女性医療にはアンチエイジング(皮膚科・美容形成)、産婦人科、乳腺外科、泌尿器科、循環器など、様々な科の連携が必要とされ、医療用かつらなどの産業介入や女性保険などの要素も含まれます。自分がこのうちどの分野に行きたいかは、まだ試行錯誤中です。ゆっくり考えていきたいです。

④次に米国留学の話をしたいと思います。
米国留学を目指したのは、
1.外国人医師として、臨床医をしつつ家庭をもつ、という可能性を試したかったから
2.女性医療の歴史が長い米国で、女性医療の現状を確かめたかったから
です。
コロンビア大学では、産婦人科、女性医療外来、内科をまわりました。熱心が教育体制に感動し、トレーニングを受けるのには最高の場所だと再確認する一方、ビジネスライクな患者医師関係に失望もしました。また、仕事と家庭の両立に対する理解が、広く浸透していることを感じました。

ここで、日米の教育の違いについて考えていきたいと思います。 
米国教育の特徴としては、「情熱をもてることに全力で取り組め」という方針で、個性をどこまでも伸ばしてくれます。評価が明確で、サポートも充実しており、学ぶことの楽しさを体験することを重視しています。
日本では、画一的な教育が当たり前とされ、努力、努力、努力と声をかけられます。教育を評価するシステムが整っていないので、「見て学ぶ」しかありません。

⑤2ヶ月の研修の感想としては。
1.米国と日本で提供される医療の差は、文化とシステムの差からきている
2.トレーニング目的に米国に行くことはあっても、最終的には日本の臨床で働きたい
3.幼少期から養った国際感覚を、将来日本と国際社会に還元できるよう、語学力をキープしながら、自分だけのスタイルを模索していきたい
ということでした。
また、今後アメリカに留学を考えている人へのアドバイスとしては、
1.途中で目標を見失わないよう、目的意識をはっきり持っていきましょう
2.プレゼン能力が重視されるので、話す練習をひたすらしましょう
3.積極性を養う機会を日ごろから持ちましょう
といったところでしょうか。

⑥今は産婦人科医を目指していますが、将来は、日本の女性たちが自らの健康を意識して、自分を大切にしたいと思えるようなお手伝いをしたい、と考えています。臨床でたくさんの女性たちの気持ちに出会い、それを活かして、その後社会に発信していける仕事ができれば嬉しいです。情報が氾濫している今の世の中だからこそ、正しい情報を丁寧に提供していきたいと考えています。


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