MVCメディカルベンチャー会議

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第131回MVC定例会in大阪 第二部

2019年03月30日 | MVC定例会


平成31年3月30日 第131回MVC定例会 第二部議事録
川村義肢株式会社 代表取締役社長 川村 慶(かわむら けい)氏を迎え、【高齢社会の希望を叶えるモノづくりへの挑戦!~「できる」を創意工夫する経営~】をテーマにお話いただきました。

1.私は、1992年大阪体育大学体育学部体育学科卒業。1995年川村義肢株式会社入社後、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院義肢装具専門職員養成課程とオット-ボック・オルソペディックインダストリー社(独)に出向しました。技術部主任、貿易課係長、営業戦略企画室長、取締役社長室長、企画開発部長を歴任後、2代目社長川村一郎の急逝に伴い、2000年川村義肢㈱・パシフィックサプライ㈱代表取締役就任しました。総勢700名の社員たちが義肢装具、車椅子や住宅改修など支援機器を製作適合することを手段として、障害者・高齢者の「諦めなくてもいい」を買っていただいている会社であり、「お客さまの不可能を可能にする」を目指し、パラアスリートの技術支援やダイバーシティ経営は多方面から注目を集めています。

2. 私達が実際に行った事業をいくつか紹介します。アスリートでは、チェアスキーでパラリンピック出場し金メダルを獲得されている狩野選手のシートをはじめ様々な装具を作製しました。また、四肢欠損のある子供たちやレーサーの大腿義足およびシートを作るだけでなく、犬、オオアリクイ、ウミガメ、フラミンゴなど動物の義肢や装具を作り、その後のリハビリも行っています。誰にでも作製をしているわけではなく、本当に必要な人に、必要なものを、必要なタイミングで提供をしています。

3. 私が、義肢装具を作るうえで大切にしていることをお話します。おもてなしとは、「お以って為し」と書き、手段を以って目的を為すということで、無自無欲、利他性を意味します。モノづくりにおけるおもてなしにおいては、手の込んだものをしっかりと作ることにより価値のコモディティ化が回避される、つまり、誰もがマネできないモノを創ることが大切なことだと思っています。もう一つ大事にしていることは、100にこだわるということです。出し切ることをしないと変人にはなれません。ここで、変人とは変えていく人を意味しています。



4. 二宮尊徳が残した言葉である「道徳なき経済は犯罪である 経済なき道徳は寝言である」のように、ちゃんと経済的な基盤を持ち、事業継続しながら、人として良かれとすることを実現していくことが大切です。再度申しますが、我が社は、「諦めなくてもいい」を買っていただく会社です。お役に立てているのかを数値化すれば、利益額と比例すると思います。儲からないのであれば、それはお役に立てていないということだと考えています。

5. 今私が行なっている後継の精神に、「機関車体制から新幹線体制へ」を掲げています。私は新幹線の先頭車両の1番責任が重い場所を担いますが、モーターに関しては他の全車両で動かしてもらうことで、スピーディーに物事を行っていこうと思っています。そこで実践しているのが、放牧経営です。人として間違ったことをしないという大枠のみ設けて、あとはご自由にしてくださいという考え方です。そして私自身も社員と一緒に汗を流すようにしています。また、モノづくりにおいて大切にしている考え方があります。垂直思考(標準化・効率化、その分自由度がない)と水平思考(おもしろそう、役に立ちそう、発想の自由が得られやすい)との両方の思考方法を併せ持つことが重要です。

6. このような考えのもとで、成功した事例をご紹介します。足関節が動く装具は、10年かけてエビデンスを構築し、今では社会にあたりまえに認められるようになりました。その他には、鼻を骨折した選手が試合に出場できるようにと、フェイスガード(宮本選手、鳥谷選手などが使用)を作成しました。また、関西学院のアメフト選手の装具を作製し、選手の怪我が大幅に減りました。

7. まず強く思うことがないと、何も実現しません。そして、「あったらいいな」という声なき声を聞きだすこと、それが職場の働く環境に大きく影響します。我が社では、雇用のダイバーシティ(女性の活躍・外国人・高齢者・障がい者)や、女性の感性を取り入れることを意識しています。我が社で働く、障がいのあるソウルパートナーは、一生懸命働いて、遅刻欠勤もなく、不平不満もなく、喜んで働き続けて会社を辞めない人ばかりです。職場環境のユニバーサルデザインとして、自閉症・知的障がい者だけでなく、全ての社員にとって分かりやすいような業務指示を心がけています。

8. 最近では、大東市とアンバサダー計画を行っています。大東市は人口が減少していますが、それを止めることができればと思い、共に色んな施策を実施しています。
高齢者ができる仕事を心配なく働き続けられるように、私たちは様々な働き方を提供しています。
また、働くことを通して人のお役に立てることがどんなにすばらしいことか、私自身の背中を見せることによって、ニート・ひきこもり・生活保護の人にも働く目的や繋がりを与えていきたいと思っています。

9. 今後の展望として、伝統を守るために革新を続けるといった、しなやかな統合経営や、ハートバリアフリーを大切にしていきたいと思っています。最後に、私には夢があります。rice workからlife workへ。私たちの働きざまや生きざまを見ていただいて、世界からいじめや戦争がなくなればいいなと思っています。





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