MVCメディカルベンチャー会議

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第126回MVC定例会in大阪 第二部

2017年09月09日 | MVC定例会
テラ株式会社 代表取締役社長 矢﨑雄一郎先生に「外科医から起業家へ」をタイトルにご登壇いただきました。会社理念は 「革新的な医療技術・サービスを創造し みなさまの未来に貢献していきます」です。

(1) ビジネスを作って行く上での人間関係を常に大切にして、誘われたら断らない。どんな場でもそこに参加して、あらためて人に会うという連続があって、会社運営に繋がっています。どんなところでもいろいろな縁が生まれて発展します。

(2) 免疫療法はインチキだと週刊誌で取り上げられていますが、弊社は免疫療法を開発してエビデンスも構築し、日本初の保険承認を目指して取り組んでいます。癌の治療として免疫は重要な治療として位置づけられ確診を持てる治療となってきました。私の家が癌の家系だったので外科医を目指しました。自分自身も癌に対する恐怖心があったことが起業に強くかかわっています。チームでの外科医療に満足感はありましたが、抗がん剤治療の副作用に限界を感じて新しいことをやりたいと思いました。

(3) 1999年に自分探しの旅に行き、再生医療、遺伝子診断・治療が盛り上がっていくと感じました。帰国した2000年4月、帰国して週刊エコノミストの「ゲノム最前線」の記事を見て、臨床や研究以外にベンチャービジネスという考え方を知り、ちょうど立ち上がったばかりの企業が紙面に1行書いてあったのを見つけて、104でその会社の電話番号を調べて電話しバイオベンチャーに参画しました。無給でもいいからと話したのですが月10万円もらいました。事業戦略、財務系の所にも含めて勉強させてもらいました。そのときの営業で様々な大学の研究者と会ったことが、今の会社に繋がっています。経歴としては、臨床医:4年、ベンチャー企業:2年、大学研究所:2年でした。東京大学医科学研究所に入り、臍帯血を使った再生医療に興味があったのですが、樹状細胞の培養技術にシフトしていきました。大阪大学で発見されたWT1の癌抗原特許を独占することが出来ました。これらがベースとなっています。



(4) 東京大学医科学研究所では甲状腺癌、メラノーマで臨床研究が行われています。10回くらい樹状細胞をいれると進行が止まります。メラノーマについても効果があり、ロングサバイバーの方も出てきていました。なんとかこの技術を使わせてもらえないかと教授に頼みました。事業化するのは不可能だからやめなさいと言われました。大量生産、大量販売ができない、クリーンルームにコストがかかるなどが問題でした。製薬企業からも関心を持ってもらえませんでした。免疫療法の特徴としては、「副作用が少ない」(あるとしたら発赤、微熱)、 「効いた時はその効果が非常に長く持続する」が挙げられます。

(5) 創業は32歳で資本金1000万円。姉のクリニックの屋根裏部屋を始め使いました。一度会社をつぶすも再起しました。メレルリンチにいた経営の経験者を引っ張ってきてお願いをして株の比率50:50で立ち上げましたが、すぐにうまくいかなくなって、半年でケンカ別れしました。誰しもが、最初は未経験からスタートするんだから、身の丈に合うところからスタートしようと再起しました。人なし、金なし、経験なしで、唯一あったのは技術だけでした。銀行を回ったり、知り合いの病院にも回っていましたが、出資を得ることは出来ませんでしたが、今考えるとダメなことが分かります。当時はベンチャーキャピタルにだまされるなと言う本を読んでいたので、近づかないようにしていました。2004年に東京大学でUTEC(東京大学エッジキャピタルという)投資会社が出来て投資を得ました。特許はそんなに意識している時代ではありませんでしたが、今はTLOが大学にあるので、技術を簡単にはくれないと思います。

(6) 初めて医療機関と提携をして、医療機関にクリーンルームを設置してもらいました。5000万円のクリーンルームを2~3台貸して、ノウハウ料+設備の使用料をもらうというビジネスモデルです。なんとか、売上も伸びてきて4年9ヶ月でJASDAQに上場しました。3番目のオフィスで社員17名の時でした。当時の会社のNo.2や3は今は別の会社を上場させたりしています。今は、全国37カ所の医療機関と提携し、11,000例を超える実績があります。他には治療の選択枝の少ない膵臓癌が多いです。慈恵、慶應、信州大、長崎大、セレンクリニックグループと論文も定期的に出しています。

(7) 日本は免疫療法先進国です。免疫療法は、免疫のアクセル機能を強化するための樹状細胞ワクチン療法と、押さえるために免疫チェックポイント阻害剤とを、がんの特徴によって使い分けます。熱い(HOT)がんと、冷たい(COLD)がんがあります。HOTはがんと戦う浸潤リンパ球が入っていますが、入っていないCOLDがんに樹状細胞ワクチン療法は浸潤リンパ球をもたらします。2004年に立ち上げた時には反対がありましたが、2014年に法整備がされ、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されています。



(8) テラの成長戦略は保険で認めてもらうことと(薬にする)、海外の展開の2つです。がん、免疫、再生医療・細胞医療を軸に、主にテラファーマ(医薬品事業)に取り組んでいます。和歌山県立医科大学と組んで治験を始め、今年でフェーズ1終了して、来年の前半に15カ所の医療機関でフェーズ2に移る予定です。S-1と樹状細胞療法とを併用することを2次療法として考えています。川崎市のライフイノベーションンセンターという、羽田空港の近くにラボを持っています。

(9) 2022年の薬事承認申請を目指しています。なかなか投資家がそこまで待ってくれないので定期的に投資家の所に足を運んで、人間関係を作りながらやっています。仮免許での本承認も目指していきます。想定マーケットは、約1万人の人が対象で、年間5000人の人がくると予想しています。特に東京は海外からの患者様が半分以上。論文を読んでチリからも問合がありました。中東の軍人の奥様が来ました。中で機内で医療が出来る、まさにThe ICU jetといったプライベートジェット機で片道2500万円かけて200万円の治療をしていきました。現在、自費では全がん種1000人くらいですが、薬事承認申請されると、膵臓癌で1万人が大将となります。治験で35億くらいかかるのですが、現在は20億円くらい調達しています。通常、薬事承認させるためには、150-200億かかると言われているので、低く抑えていると思います。とにかく医薬品かを目指しています。「がんに不安を感じたら、まずテラグループへ」

(10) 医師起業家を目指す方へのメッセージとして、「企業という選択肢もある」「起業は自分の価値観を自分の手で実現できるば」「誰もがリーダーになれる!」です。
「Π方人材がキモ?」「人脈づくり」人とのコミュニケーションで無駄は無いと思います。T型人材、Π型人材を目指す。私見として、臨床経験は必須だがビジネスの経験は早い方がいいと思います。ヘリオスのかぎさんも起業が早かった
やりたいという思いの強さ。理念は会社の支柱。リーダーとは?
ベンチャーに集まってくる人は癖がある。うまく活用することが大事
カリスマ性はリーダーにいらない。思いを持ってやっていくことが大事








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