MVCメディカルベンチャー会議

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第24回MVC定例会in大阪

2006年09月16日 | MVC定例会
不動産契約の基礎知識をテーマに、株式会社大林組プロパティマネジメント事業部の田中久之氏にご講演いただきました。田中氏は医療モールのプロデュース業務
を日本に先駆けて推進されています。

①私は北は札幌から南は大阪まで、ヘルスケア領域に特化したプロパティマネジメントという業務を専門としています。聴きなれない言葉とは思いますが、これは土地や建物などの不動産の所有と経営を分離して有効に活用する知識や手法を指します。

②不動産契約には大きく分けて、売買契約と賃貸借契約に二つがあります。土地や建物の所有権と使用権について、売主と買主、貸し手と借り手の権利や義務について明文化したものです。この契約書についての知識が非常に重要になります。

③不動産契約の一例として、定期借家契約というものがあります。これは定期建物賃貸借契約を略したもので、契約終了後に自動的に退去になるというものです。一方普通借家というのは普通建物賃貸借契約の略で、貸主は正当な事由がない限り、契約の更新を拒否できないというものです。これらは借主の権利の程度が大きく異なります。


④不動産の賃貸借契約において用いられる用語に敷金、保証金というものがあります。敷金は家賃不払い時の担保として貸主に預けるお金のことです。保証金も元来は建設協力金的な意味合いで用いられていましたが、地域によっては、法律的には敷金的な意味合いで用いられていることがあります。


⑤不動産契約時に大切なのは、「将来発生する見えないリスク」を管理することが重要です。売買契約の場合は不動産の瑕疵(かし)を事前に予測してをどのように予見し、契約書に盛り込むか、というものがあります。瑕疵というのは雨漏り、水漏れ、土壌汚染、アスベスト、地中障害などの修繕費用がかかるトラブルを指します。この費用を売主と買主のどちらが負担するかで紛争になることが良くあります。


⑥一方、賃貸借契約においては、不動産の所有者が代わったことで、前払いした敷金が返ってこないというケースがあったり、大規模修繕工事の必要性が出現したり、計画道路や自然災害といった問題が起きることがあります。


⑦上記の例では賃借人の権利として民法上、敷金返還請求権があり、敷金の返還を要求できますが、実際には支払ってもらえない場合があります。平成16年の4月に短期賃貸借制度が廃止され、原契約は新しい不動産所有者には引き継がれず、この敷金は元の所有者に請求することになりますが、「無い意袖は振れない」場合は泣き寝入りをするしかありません。


⑧不動産の売買に関しては、土地建物に関して将来発生する様々な修繕・維持費用も予測して、契約当事者の権利、義務関係を契約に盛り込むことが何より重要になってきます。不動産登記簿謄本を調べて、所有者の素性や経済状態を調査するところまですることがリスク回避に繋がります。人任せにせず、徹底的に自分が主体性を持って関わるという姿勢が重要です。


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