MVCメディカルベンチャー会議

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第6回パワーランチin東京

2007年11月04日 | MVCパワーランチ
2007年11月4日に開催されました、第6回の報告をさせていただきます。

ここ5年ほどでピンクリボン(乳癌早期発見啓発活動のシンボル)の認知度が飛躍的に上昇し、乳癌の検診率も7倍以上になりました。10月に全国展開したピンクリボンフェスティバル事務局の、中西知子様、鈴村綾子様(朝日新聞社事業本部 事業開発部 新規事業グループ)をゲストにお迎えして、「ピンクリボンに見る日本の社会貢献型マーケティングについて」お話をうかがいました。はじめはお二人のお話を伺い、その後参加者で、さらに乳癌の知識を定着させるためには何ができるかを考えました。詳細は下をご参照くださいませ。

お話を伺って、戦略的に「明るい」キャンペーンとして、より一般の方々に認知してもらえた経緯に納得するとともに、医師のもつ言葉の力を感じました。忙しい業務の中でも医師が予防医学にも心を配ることは、今後高齢社会の生活の質を維持していく中で、重要なポイントになってくるのではないかと思いました。

本年はたくさんの先生・医学生の方々にパワーランチに遊びにいらしていただき、こうして続けることができたのも皆様の応援のおかげと、大変感謝しております。ありがとうございました。

2008年は

1月13日にDIPEx理事の別府宏圀先生、
2月3日にCareNet取締役の姜鎬先生、
3月2日に読売新聞社会保障部記者の本田麻由美さん
をお迎えしてのパワーランチがすでに確定しておりますので、ご案内申し上げます。宜しければ、遊びにいらしてください。

皆様の2008年の更なるご活躍を祈念しながら、本年の御礼とさせていただきます。ありがとうございました。


【ピンクリボンに見る日本の社会貢献型マーケティングについて】

講師 中西 知子氏 (朝日新聞社)

①私は7年前に朝日新聞のスポーツセクションにいたころ、はじめてピンクリボンに出会いました。日本人女性の30人に1人(現在は20人に1人)が乳癌に罹患するという現状にショックを受け、ピンクリボン活動の必要性を感じました。当時、Webではピンクリボンの検索にヒットするサイトはありませんでした(ヤフー・ジャパンによると、「PINK RIBBON」の検索結果は、02年10月は5件だったが、今年9月は1210万件にのぼります。)患者会やピンクリボンに関心のありそうな企業の門をたたき、支援を呼びかけました。2002年に9社の協賛を得て、初めてシンポジウムを開催することができました。その後、新設された新規事業グループに移動して、事務局を設置しました。同業他社関係なく声をかけ、より多くの企業にご協力いただくことを目的として、HUBのような役割をしています。

②活動を推進していくにあたって、賛同企業で活動のビジョンを作ることになりました。当初、マンモグラフィの検診率が2%強であったことから、まずは検診率をあげるよりも前に、乳がんそのものを知ってもらい自分の問題として捉えていただくことからはじめる必要があると考えました。「私たちは、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えます。」これが、10時間会議で決まったビジョンです。(05年度の検診率は17.6%となりました。当時とは検診方法や対象年齢も変わりましたので単純に比較はできませんが)
「より広く伝えるため」に考えたのが「街」と「人」をコンセプトにしたピンクリボンフェスティバルです。当時はオープンしたての六本木ヒルズ・丸ビルが女性の注目の的でした。こういった華やかな街からピンクリボンのメッセージを伝えてはどうだろう。ピンクリボンを「女性の幸せを守るキャンペーン」として、ポジティブなイメージにすることが大切と考えました。そこで、森ビルや丸ビルに支援を呼びかけました。さらに公的なイメージを作るためにも、日本対がん協会や自治体などで運営委員会を構成しました。

③ですが、2003年は苦しみの年でした。「癌」には負のイメージが強く、ピンクリボンフェスティバルへの協賛は企業イメージを下げると、日系企業にはなかなか理解をいただけず、孤軍奮闘しました。現在のように過去の展開写真を見せることもできませんでしたから、イメージがわかないということもあったかと思います。ですが、ライトアップ、街のデコレーション、ウオークなどのイベント開催、多数のサイトとの連携など華やかな展開によって、注目を集めました。この成功のおかげで、ピンクリボンのイメージは大きく変貌を遂げました。
現在では多種多様な企業・団体あわせると100を超える企業・団体がこのプロジェクトに関与するまでになりました。ピンクリボン商品も多数登場していますが、こういった商品に光を当てることで、かかわる企業にとってもプラスになるように、Win-Winの関係を心がけています。

④地方からも大きな動きがありました。ピンクリボンフェスティバルは、東京・神戸・仙台で展開していますが、例えば仙台は自治体が中心となり、さまざまな団体に入っていただき委員会を作って運営しています。時には意識の高い一個人が地元で活動を立ち上げた例もあり、その活動内容は様々です。山形では医師が中心に活動しています。

⑤ご縁を大事にここまで来ることができました。今、新たに、検診率に注目し、「乳がん検診推進企業ネットワーク」を15社で立ち上げました。国が「5年以内に検診率を50%に引き上げる」という目標を設定しましたが、企業も社内の検診率を向上させることで貢献したいと。15社の中には、すでに企業内での検診率が100%に近いところもあり、そういった成功例をもとに理想的なアクションプランを提案しました。各社にあったプランを選択し、実施していく予定です。

⑥明るく華やかな啓発活動を心がけて展開してきました。明るいイメージが、ここまでピンクリボンの認知度を高めてきたという利点もある一方、患者さんを思うと、明るいだけでは語れない話がたくさんあります。明るく広めていくフェスティバルとしての面と、深く理解していただくためのシンポジウムや勉強会などの面とを使い分けていきたいと考えています。

⑦医師の言葉には重みがあります。乳癌など予防医学の面では、現場の医師が一番の広告塔ではないでしょうか。早期癌と進行癌とでは、かかる医療費も異なります。是非一人ひとりに高い意識をもって、身近なところから啓発活動をはじめていただきたいと思います。



【事務局1年生から見たピンクリボンフェスティバル】

講師 鈴村 綾子氏 (朝日新聞社)

入社2年目で、今年の5月からピンクリボン事務局に配属になりました。ピンクリボン活動には、患者会などの草の根活動から、企業が大規模に行なっているものまで大小さまざまな活動があります。朝日新聞社が主催しているピンクリボンフェスティバルは、その中の1つです。フェスティバルは意外と手作りなので膨大な仕事量ではありますが、活動の幅や運営方法などが魅力的です。例えば、フェスティバルのポスターで電車をピンクに染める車両ジャックは、東京都にピンクリボンデザイン大賞というコンクールのポスター最優秀作品のデザインを提供する代わりに、無料で行なうことができます。東京都もデザイン代が不必要で、かつ乳がん検診率の上昇をみこめるので、Win-Winの関係だといえます。

最初は違和感のあった、「病気に対するキャンペーンを明るく華やかに行う」ピンクリボンフェスティバルですが、一般の方に乳がんのことを知ってもらうためには効果的な方法だと今は考えています。これからも「素人」の観点を忘れずに、中西さんとバランスのとれた運営を頑張っていきたいと思います。

ピンクリボンを広めるためのアイディア(テーブル毎 ブレインストーミング)

①活動と時期
小児親子教室・婦人科・他に成人式や学校の授業など。
より幼少からの教育が必要。医学生による小学生-高校生への性教育で取り入れる、PTAにも理解をもらう。

②病院にて
白衣にピンクリボンをつける。病院関係者自身も検診を受ける。身近な医師が適正年齢の患者には他科でも検診を促す。クリニックレベルで啓発パンフレットなどを置く(大病院に検診が殺到するのを避け、クリニックレベルで受けてもらうことも大事)。

③年間を通じて
イベントだけで終わらないように、年間を通したリマインドが必要。Webのバナーでキャンペーンをリマインドする、相談窓口・イベントの感想ページにつながるようにする。各自治体に通年で努力してもらう。下着や生理用品など、女性が立ち寄る売り場に通年でパンフレットを置いてもらう。

④アピール
女性医師・検査技師を前面に出して検診を呼びかける。女性は女性に診てほしい。
24時間やマラソン大会など。

⑤その他
次は新幹線・飛行機ジャック?
マンモバスをローカルレベルで増やす
検診でおまけがつく(献血のように。そこまでやる必要があるのかという意見もあるが)
検診の有無で保険に差をつける
お金と時間を節約できればより検診率はあがる。他の検診や献血などとセットにできれば。


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