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通称名を使用して登記、その後

2014-12-04 13:19:28 | 実務の現場

お疲れ様です、森本です。

1年ほど前に、「元日本人」だった方を代表取締役とする株式会社設立の登記をしたのですが、

そのことをふと思い出したので、書いてみようと思います。

その「元日本人」の方は、帰化をして、アメリカ国籍を取得されたのですが、日本で会社を作ることにしたのです。

ご存知の方も多いと思うのですが、日本人の方が帰化して外国籍を取得したら、もう国籍的には「日本人ではない」ので、

外国人の扱いになります。

印鑑証明書や住民票にも、

「森本綾乃」

ではなく

「AYANO MORIMOTO/MORIMOTO AYANO」(或いは「アヤノ・モリモト」とカタカナで)

と記載されますが、

「通称名」として漢字(おそらく帰化前に使用していた文字)の名前「森本綾乃」が記載されたりしています。

そして、司法書士の方ならご存知だと思うのですが、この「通称名」を使用して、登記することも可能です。

それで、今回の元日本人の方も、帰化前の漢字を使用した「通称名」(登記太郎(仮名))を使用して、代表取締役として登記をしたんですね。

ここまでは、全然問題なく、登記もすんなり完了したわけなのですが・・・

会社設立の登記が完了して、1か月ほど経過したある日、代表取締役の氏名の登記をカタカナにしたい、というお問い合わせを受けたのです。

どういうことかと言うと、会社設立登記後、銀行口座を開設しようとしたら、どこの銀行からも断られたそうなのです。

銀行は、どうして口座を開けないのか理由を教えてくれません。

ですが、ある日、この元日本人の方のお友達で、ある銀行に勤めている方がいらっしゃって、こっそり教えてくれた理由が、

会社の登記に代表取締役として使用している名前が、漢字だから、だそうなのです。

印鑑証明書や住民票に記載されている名前、「TOKI TARO」をカタカナに引き直したものだったらOKなのだそうです。

とは言っても、この方は、外国人が保有する「在留カード」にも、漢字の氏名を記載しているし、印鑑証明書や住民票にも「通称名」として漢字の名前がちゃんと記載されています。

だからこそ、会社の登記も何の問題もなく完了したんですものね。

つまり、「通称名」での登記がいけないのかもしれません。

それで、法務局に相談したところ、代表取締役の氏名を「登記太郎」から「トウキ・タロウ」とカタカナに引き直すには、やはり更生登記(登録免許税2万円)しか方法はないとのことでした。

そりゃあ、「変更」(登録免許税1万円)ではないですよね・・・変更していないんだし。

法務局の方も、銀行口座が開設できないと聞いて、驚いていました。

「それで・・・『更生を証する書面』には、何て書けば良いのでしょうか?」

と聞いたら、

「あぁ、なくていいですよ」

と法務局の方。

「なくてもいいんですか??」

「錯誤があったわけでもないし、書きようもないですから、委任状に更生前と更生後の氏名を書いて下さったら、いいです」

という訳で、「更生/錯誤を証する書面」のない更生登記を申請して、代表取締役の氏名をカタカナに引き直させて頂きました。

なんだか納得いかない・・・ような腑に落ちないような件でした。

(ブログには書けるな・・・と思いましたが。(笑) しかし、今まで書いていなかったし。)

ちなみに、氏名をカタカナに引き直した後の謄本を持って行ったら(勿論、更生の旨入っている)、銀行口座は開設できたそうです。

と言うことで、皆様も「元日本人」の方の会社設立登記はお気を付け下さい~というお話でした。

ではでは、あと2日頑張りましょうね~。

 

 

 

 


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