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"I Am Malala"より。(誕生日が変わる瞬間)

2014-12-03 11:38:04 | 実務の現場

先日投稿した一般社団法人の設立登記は、無事完了しました~。

良かった、良かった♪

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さてさて、以前にもどこかで書いたかもしれませんが、この仕事をしていると、たまーに、外国人の方で、出生証明書と卒業証明書の生年月日が違ったり、パスポートの生年月日が違ったり、

と言うことを見かけたことがあります。

こういう時、例えば、ああ、この国では、役所がしっかりしていないのかな、とか、

田舎の方になると、出生の届出がおろそかになるのかな、とか

はたまた、そもそも「日付」が我々と違って、そんなに大事なことでは文化なのかもしれないな、などと勝手に想像しておりました。

息子が生まれたのは、何年何月何日、とかより、

「お前が生まれたのは、10年ぶりの大雪が降って、村の電気が全部止まった日じゃった・・・・」(日本昔話風に。)

みたいな感じで、日付より出来事で覚えるのかな、などと。

しかし、と言うか、やっぱり、と言うか、最近読んでいる本に、その謎(?)が少し解明されたようなことが書いてありましたので、ご紹介します。

その本は、皆さんもよくご存じの、先日ノーベル平和賞を受賞した、パキスタンの少女、マララちゃんの自伝、

今流行り(?)の"I Am Malala"(邦題『わたしはマララ』)です。

たまたま本屋でペーパーブックを見かけたので(日本語訳より安い)、購入してみました。

そこに、マララちゃんのおじいさんの話が出てくるのですが、マララちゃんたちパシュトゥーン人の男性は、従兄弟同士のライバル意識がすごく強いそうです。

マララちゃんのおじいさんも、自分の年上の従兄のことを、大変ライバル視していて、ある日、その従兄が教職の仕事を得ます。

ところが、その仕事を得たとき、その従兄は、マララちゃんのおじいさんより10歳も若く年齢を申告したそうなのです。

そこで、怒ったマララちゃんのおじいさんは、州の教育省のMinister のところへ出かけて行きます。(以下引用)

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Our peopole don't know their exact dates of birth-my mother, for example, does not know when she was born. We tend to remember years by events, like an earthquake.

But my grandfather knew that his cousin was actually much older than him. He was so angry that he made the daylong bus journey to Mingora to see the Swat minister of education.

"Sahib", he told him, "I have a cousin who is ten years older than me and you have certified him ten years younger"

So the minister said, "OK, Maulana, what shall I write down for you? Would you like to have been born in the year of the earthquake of Quetta?"

My grandfather agreed, so his new date of birth became 1935, making him much younger than his cousin. 

(拙訳と言うか意訳:

私たちは、はっきりとは自分たちの誕生日を知りません。例えば、私の母は、自分がいつ生まれたのか知りません。私たちは、年月を地震などの出来事で覚えることが多いのです(森本:ほら、やっぱり!)

でも、祖父は、彼の従兄が、自分よりずっと年上だということを知っていました。腹を立てた彼は、バスで丸一日かけて、ミンゴラまで出かけて行き、スワート州の教育大臣(minister of education)に会いに行きました。

”大臣"、 祖父は訴えました。"私には、私より10歳も年上の従兄がおりますが、大臣は彼に、10歳も若い証明書をお出しになったのですよ!"

すると大臣は、「分かった、マウラーナ、それでは、私は、君には何と書いたら良いかな? クエッタの大地震の年に生まれたということで良いかな?"

祖父は同意して、それで彼の新しい誕生日は1935年になり、従兄より10歳若いことになりました。)

(註:"Sahib"は「大臣」という意味ではありません。)

*****************

・・・って、そういうことかいっ!!!(驚)

そんなことで、誕生日変えられるわけ??(笑)

と電車の中で読みながら、心の中で大声で突っ込んでしまいました。

なるほどね~、Ministerが誕生日変えていい、って言うんだもんねー(笑)

そりゃあ生年月日がズレるわけだわ・・・

(そもそも、従兄さんがまず若く申告できることもスゴイ。)

と妙に事情が一部飲み込めた森本でした。

**************

本当に国や民族によって、文化や習慣っていろいろですよね。

本当の誕生日より、「あいつより俺の方が年下(或いは年上)だ」という事実の方が大切な文化/価値観もあるわけです。

渉外司法書士なら、今後もいろいろんな人と仕事をする上で多様な価値観に対応できる人間にならなければなーなどと思ったりしました。

 

***

・・・などとキレイにまとめてみましたが、上記の訳は、森本のざっくりとした意訳ですので、出版されている日本語訳と比べて、「森本さんの訳間違ってる」などとツッコミしないで下さいネ!

ではでは今日もお読み頂いて、ありがとうございました~。

 

 

 

 


秘密証書遺言の相続登記

2014-11-18 13:59:25 | 実務の現場

お疲れ様です、森本です。

ふと気づくと11月も半分以上経過・・・・

1年前の自分と今の自分を比べてみると、全く成長どころか変化もなかったような気がする(年はもちろん取りましたが)・・・・

森本は普段、自分の長所も短所もあまり気にせず、というか自分の特徴をあまり意識せずぼんやりと生きているものですから、

今年はこれをしよう!とか、〇年以内に〇〇になる!というような目標を決めたことが、子供のころからほとんどありません。

しかし、最近になって、自分の中で、

「これ、一生このままだったら嫌だな・・・」

ということが、2つ思いつきました。

なので、近年中には(still ambiguous goal....)克服できたらいいな、と思っています(それが何かは、内緒。)

 さてさて、今日は、渉外ではないのですが、先日、開業以来初めて、 「秘密証書遺言」で相続登記の申請をしました。

 秘密証書遺言!って、試験では勉強したけど、見るのも聞くのも触るのも初めて。

初めて見たときは、んんん~??? 手書きじゃない!

そして公証人の判が押してあるのに、裁判所で検認してある! ・・・いや、落ち着け。(笑)

落ち着いて調べてみると、(と言うか遠い記憶を手繰り寄せてみると)

 (秘密証書遺言)

 民法第970条 第1項 秘密証書遺言によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

 1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれを封印すること。

3. 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述うすること。

4. 公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

第2項 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

となっており、上記すべての要件を、今回の秘密証書遺言は満たしていたわけです。

その内容を秘密にしておきたいときに使われる、などと説明されたりしておりますが、自筆証書遺言でも、封をすれば秘密にできるわけだし、

つまりは内容を公証人にも、立ち会う証人にも知られたくないってことですかね。

 なので、当然、公証人も、この内容は分からないわけです。

で、今回のケースの秘密証書遺言は、手書きではなく、ワープロ打ち(いまどきこんな言葉使わないと思うのですが・・・なんて言うんですか、PC打ち?)だったわけですが、

上記第1項第1号にあるとおり、署名さえ自筆であれば、構わないわけです。

そして、ご署名の横には、きちんと押印もされていました。

よく読むと、自筆証書遺言で求められる「日付」さえ要求されていませんね。 公証人が提出した日付を記載すればいいわけです。

 ちなみに、今回のケースでは、秘密証書遺言の中身に、日付も記載されていました。

そして、民法第971条には、「方式に欠ける秘密証書遺言の効力」として、

 「秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第968条(拙註:自筆証書遺言)に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。」 とあり、

遺言をできる限り有効にしようとする立法趣旨が伺われます。

作成時、公証人が絡んでいますが、秘密証書遺言は、相続開始後、検認を受けなければいけません(民法第1004条第1項)

 あくまで検認は、公正証書遺言以外は、しなくていはいけないんですね(民法第1004条第2項)

森本の手元に、今回の秘密証書遺言が来たときには、既に検認は済んでおりました。

ひとしきり調べてみて、 「なるほどなー・・・(人生日々勉強だわ~の略。)」

 と思ったりしました。

 ところで、今回は、登記を申請する法務局の管轄が2つあったのですが、 最初に提出した法務局さんから、申請後電話がかかってきて、

 「あのさー、この遺言書なに? なんか封筒がついていて(970条1項2号により、入っていた封書もとっても大事)、はんこがあって・・・・しかもワープロっていうの?だし・・・」

と言われてしまいました。

「あ、それ、秘密証書遺言なんです」

 「それは、書いてあるから分かるけどさー」(そうでした。公証役場でつけて下さっているタイトルが「秘密証書遺言」でした。)

 やっぱり、法務局でも、秘密証書遺言なんてめったにないんだなぁ、と思いました。

「自筆でなくてもいいって根拠は?」 と聞かれたので、

 「970条に、自筆で、とは書いてないんですよー」

 と答えたら、 「え?それだけ?」

 と言われたので、

え、え~?ほかに何て答えれば???

「まあ、こっちでも調べてみるわ」

とおっしゃっていたのですが、

その日の夕方には登記が完了したので、

調べたらすぐ分かったんだろうなー、良かった、良かった、と思いました。

ちなみに、次の法務局さんでは、そんな電話もかかってこず、

すんなりと登記が完了しました。

***********************

ここで、森本は思ったのですが、お客様に「秘密証書遺言」をお勧めするときって、どういう場合なんだろう、ということです。

お客様に遺言の作成のご相談をされたら、

一般的に、一番お勧めするのは、公正証書遺言だと思います。

そこを敢えて「秘密証書遺言」にする、ということは、

お客様が自分でもよく調べて来られて「秘密証書遺言にしたい。」と言って来るか、

又は、例えばお客様が、「私、証人の人に、中身を知られたくないんです」とおっしゃって、

「おぉ、奥さん、それでは、『秘密証書遺言』が良いですよ」と、お勧めする、っていう経緯なんでしょうか。

自筆証書遺言を作成して、弁護士さんとかに保管してもらう、というのでも秘密が保てるような気もしますが、保管料の問題とか、色々あったのでしょうか。

とにかく、将来、万が一、お客様が

「私、証人の人に中身を知られたくないんです」

と言われたら、

秘密証書遺言をお勧めしてみよう、と思った森本でした。

今日も読んで下さって、ありがとうございました。

皆さん、良い1日をお過ごし下さい~。


パキスタン相続-①

2013-06-18 10:47:39 | 実務の現場

お疲れ様です、森本です

さてさて、ブログにアップしなきゃ、アップしなきゃ~と思いつつ、気力と体力がなく、なかなか書けなかったパキスタン人を被相続人とする相続登記について、書きたいと思います

今回のケースは、パキスタン人が土地と建物を日本に残して、日本で死亡したケースです。

日本人の配偶者と未成年の息子が遺されました。

まず、準拠法を決定しなければならないのですが、

パキスタンの法律、というと、まず思い浮かぶのが、シャリーア(Shari'a)です。

シャリーアというのは、イスラム教における宗教に基づく法体系です。

内容的には、宗教に基づく法律だけでなく、民法や刑法、訴訟、行政、国際法までも規定されている経典のようなものです。

よく、イスラム教では、利子を取っちゃいけない、とか耳にしますよね?

これもシャリーアによって規定されているものです。

パキスタンは、人口の97%がイスラム教徒ですので、イスラム教徒にはイスラム法を適用する、とこれまたシャリーアによって規定されているものですから、

今回の被相続人がイスラム教徒であったため、イスラムの相続法を調べなきゃー、ということになるわけでした。

ところで、日本でイスラムの相続法を調べるのに、最初は文献が少ないので苦労しました。

と言うのも、シャリーアって、成文法ではないんです。

日本の民法みたいに、第1条から始まる条文立ての法律をイメージではありません。

ですから、おのずとそれを解説したものを集めることになるのですが・・・管轄法務局では条文を持って来い、と頑強に主張されてすごく困ったことがありました。

成文法ではないことを説明すると、「成文法ではないという証拠を持って来い」なんて言われてね。。。。(学者さんも失笑。法務省の方も失笑していらっしゃいましたけど。)

まず最初に当たったのが、日本加除出版の『現代ムスリム家族法』(柳橋博之編)。

この本の第6章に、「相続法の概要」が述べられています。

編者の柳橋先生のご執筆です。

しかしながら、これがちょっと難しい・・・イスラム教の用語なんかが当たり前に分っている方でないと、いきなりこれを読んでも分らないかも。

実際、森本は、穴の空くほど(?)読み返しましたが、分ったような気にはなるのですが、釈然としません。

もっと詳しいのはないのかな~、と英文で検索して、ものすごく良い本を発見しました!

それが、以前にも紹介しましたが、Hamid Khan著、Oxford University Pressの"The Islamic Law of Inheritance"です。

これを読んで、初めて、あー、柳橋先生が説明していたのは、このことだったんだー、とすっきり理解できました。

お勧めです

どれくらいお勧めかというと、今回のケースは、結局現地(パキスタン)の弁護士の先生にもご協力頂いたのですが、

その先生もこの本を薦めていらっしゃったので~。

ちなみに森本はAmazonで買いました。

と言うことで、次回に続きますね~


海外在住でも、日本人じゃなくても。(国際相続)

2013-06-13 12:51:42 | 実務の現場

お疲れ様です、森本です

時々、お問い合わせがあるのですけど、

相続が発生して、相続人の中に海外に在住していたり、外国籍を取得したりしていると、

「海外に住んでいるから、日本の不動産を相続することはできない」

「日本国籍ではないから、相続できない」

などと日本の専門家(弁護士さん、税理士さんなど)に言われたが、本当にそうなのか?

というご質問を、昨日もアメリカから頂きました。

勿論、うそです。

本当に、プロでそんなことを言う人がいらっしゃるのか?

と、以前は思ったものですが、これだけ多いと、いらっしゃるんでしょうねえ・・・

前にもどこかで書いたと思いますが、

海外在住でも、日本国籍でなくても、相続人の資格があるのなら、相続できます!

相続できない、と言われて、そうなのかー、と思って遺産分割協議書にサインしないで下さいね

勿論、分割内容(自分が相続しないこと)に納得してサインするのなら別ですが・・・

今回のお問い合わせは、もうサインしちゃったとのことで、争い必至。

そうなると森本の手には負えないので、国際相続に強い弁護士の先生をご紹介しました。

何か変だな、と思ったら、お気軽に当事務所にお問い合わせ下さい~


Translation of Family Register (戸籍の翻訳)

2013-05-27 11:57:25 | 実務の現場

気が付けば、このブログを始めて、5月15日で5年が経っておりました

いつも読んで下さっている皆様、ありがとうございます

さてさて、こんな仕事をしていると、戸籍を英訳する、っていうことも時々あるのですが、

現在の戸籍(平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改正後)って、昔に比べるとシンプルで、ちょっと味気ない(?)ですよね。

明快で読みやすいけど、改正前の方が、いついつ婚姻した、誰が養子に入った、養子縁組解消したなどごちゃごちゃ書いてあって、なんとなくドラマが見えて、森本は好きだったのですが、

翻訳にあたっては、改正後の方がずっと楽!

改正前のものは、長々記載されていると、ミスもしやすそうなので、1日に何通も訳さなければならないのは、飽きてしまうし、疲れます(あまり生産的な仕事をしている感じがしない・・・

今のところ、戸主制度のものの戸籍を訳すことになった経験はないのですが、

そうならないよう願います・・・

(戸主制度時代の戸籍は、読むのはとても面白いんだけどなぁ~

ではでは皆さん、良い1週間をお過ごし下さい~。