アルケミスト
インタビュー抜粋
――週の約半分はフリーライブを行われていますが、なぜこんなにたくさん行おうと?
井尻●CDを作って、それを持って街に出ても、誰も手にとってくれないわけですよ。だから、聴いてもらうためには、「ライブをやるしかない」と。それも、ライブハウスのような限定された空間じゃなくて、外で不特定多数の人に聴いてもらいたいと思ったんです。特にショッピングモールや駅は、普段ライブハウスやレコードショップに行かない人がたくさん通り過ぎていく場所ですよね。そういう場所で、いろんな人に聴いてもらうほうがいいなぁと思って、やり始めたんです。
――ライブで行われている「即興のコーナー(客席から歌詞に入れる3つのお題を出してもらい、即興で作詞作曲し、演奏・歌うコーナー)」では、突拍子もない言葉も出てくると思うんですが、どうやって曲を作っているんですか?
こんや●言葉は、何言われても大丈夫ですよ。ただ、イメージを限定されちゃうようなことを言われると…例えば≪誕生日・プレゼント・彼女≫とか。あんまり広がんないなぁ(笑)って思って、どうしようか悩みますね。やっぱり裏をかいていって、すごいじゃん! て思われたいじゃないですか。だから、プレッシャーはありますね。
――即興で演奏することの醍醐味や、発見はありますか?
井尻●即興で創った歌を、そのあと整えて1曲にして発表することもあるんですよ。家でピアノに向かって書いているときとは違って、思いもしなかったような曲ができることもありますからね。初めに出した音が、自分が出そうと思ってた音じゃないこともあったりして、そこから曲を成立させていくことが、その都度、自分にとっての試験みたいな感じですね。
感想
今回は、大好きなアルケミストのインタビュー!アーティストの魅力をたくさん知っているだけに、話の構成や言葉の選びに悩みました。言葉尻一つ取っても「これで本当に読者に伝わるのかな?」と自問自答の繰り返し。この文章で初めてアルケミストの存在を知る人がいるかもしれないと思うと、文字の一つひとつに重みを感じました。それからは、書店で雑誌を見つけるとページを作る側の視点でも読みつつ、編集者に敬意を払って文章にじっくり目を通すようになりました。