皇居前に聳えるオペラの殿堂日生劇場開場50周年記念公演の「フィデリオ」である。この劇場が、1963年にベルリン・ドイツオペラの引っ越し公演で杮落しを行ったのは有名な話であるが、50年を祝ってその時の演目の一つが日本人の手だけで上演された。この日は並河寿美(レオノーレ)、今尾滋(フルレスタン)、須藤慎吾(ドン・ピツァロ)、三宅理恵(マルツェリーネ)、斉木健詞(ロッコ)、升島唯博(ヤッキーノ)、大沼徹(ドン・フェルナンド)それにC.ヴィレッジシンガースの合唱。。音楽的には誠に立派な演奏であったが、三浦安浩の演出が毎度のことだが余計な象表的説明が満載で、私にはその「遊び」が大層煩わしく思われた。まあ予測されたことではあったが、堂々とストレートにドラマに対峙してくれていたら、さぞかし骨太のベートーベンの音楽が生きたであろうと残念であった。また衣装のちぐはぐさも興を削いだ。ジング・シュピールを日本人だけで演るというのも大変なことで、自然な流れを欠いた部分もあったのだが、皆良く歌い演じていた。飯守泰次郎率いる新日本フィルの音楽は、薄手のオケのために重量感には欠けたが重心の低いもので、大変にデッドな音響を持つ日生のピットであるが故の潤いの無さはあったものの、真にベートーベンらしく聴きごたえのあるものだった。
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