このオケの華、フルート首席の竹山愛をソリストに据えた演奏会。指揮は常任指揮者の高関健。最初のバルトークの舞踏組曲は、6曲から成る20分弱のマジャール色豊かな佳作で、高関は毎度のことながら的確な指示を細かく出しながら見事に捌いて楷書的な快演だった。続いて期待の竹山が登場してモーツアルトのフルート協奏曲第1番ト長調。薄い水色の何とも涼しげなドレスを纏った竹山の登場で舞台は途端に華やかになったが、演奏の方はどちらかと言うと控えめで、ギャラントな味わいには乏しい着実な表現で、拍子抜けしてしまったというのが正直な感想だ。オケにおける日頃のバランスが抜けきらないのかなとも思わせたが、もちろんその範囲では、的確なテクニックに裏付けられた流麗な申し分ない音楽であったことは確かだ。一方ここで注目に値したのは高関の伴奏の方で、協奏曲の中でもとりわけ充実した作曲家の筆致を感じさせる立体的な音楽を引き出したのは見事だった。トリはブラームスの交響曲第3番へ長調作品90。こちらもきちっとした構成を全面に押し出した楷書的で丁寧な演奏だったが、絶好調のこのコンビだけに唯それだけでは終わらなかった。とりわけ二楽章の木管群のアンサンブル、それにホルンが加わるくだりの見事さなどそう滅多に聞ける演奏ではなかったし、三楽章のホルンソロも見事の一語に尽きた。そして終楽章では弦楽器の冴え冴えした音に心がときめいた。クライマックスに上り詰めるに従ってオケは益々一体となって白熱し、そして安らぎの中に静かに全曲を閉じた。
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