おだやかな日々

野郎2人(夫と息子)との生活・映画・演劇・本のことなどつらつらと。ジェンダーも少し。タイトルは私の憧れ。

個性を尊重するとは~犯罪者になってしまった彼女~

2005-11-03 18:50:46 | ニュース
高1女子毒殺未遂 母の飲み物に混入 体調崩していく姿、撮影 (産経新聞) - goo ニュース
 頭の良い、科学の大好きな少女。化学の得意な、薬品に詳しい。化学部ではきっと部員も彼女に一目置いていただろうし、顧問の先生も彼女の将来をきっと楽しみにしていただろう。
 薬局の人も、"この頃の高校生"という固定観念からはずれている、またただいまの"理科離れ"といわれてる中で”なんと感心な少女だろう"と思い、規則からはずれた大甘な事をしてしまったのだろう。
 すべては彼女の個性。”みんなちがってみんないい”"オンリーワンな"彼女の個性。
 でも、こんな所に行き着いてしまった。
 冷徹な観察眼は、科学者には不可欠なものだ。動物実験など大学の研究室では日常茶飯事で行われている。
 でも、今やれば、人間に対してやれば、それは犯罪。

 個性を尊重しましょう、といわれる。好きなことに熱中できることはいいこと、といわれる。
 でも、もちろんそこには一定のラインがあって、やっていいことと悪いことがある。
 かつては、そんなこと自然に伝えることが出来たし、わかるのは当たり前としていた。
 彼女は、イギリスのシリアルキラーに傾倒していたことを隠すこともなかったし、薬物に対する知識に危うさを感じる教師もきっといたはずだ。
 でも”個性を尊重しよう”とする中では、どう彼女にアプローチしたらよいかわからない。
 お兄さんの苦悩は想像するにあまりある。きっとつらかったろうな。
 両親に言ったって信用してくれるはずない、本人に忠告して、じゃあそれからどうする?病院に伝えた勇気は本当にすごいものだったと思う。

 個性を発揮するにも、好きなものに熱中するにも、
 じゃあ、正常と異常の境界、偉業と犯罪の境界。どう伝える?危うさを感じたらどう軌道修正する?

 むずかしい。ほんとうにむずかしい。