紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

細かすぎて伝わらない名場面【シャーマンキング編】[第三廻]

2011-07-24 03:05:32 | 細かすぎる名場面
前回からの続き


ドウモ、コンバンワ。カドゥ デス。
細かすぎて伝わらない名場面・シャーマンキング編の第三廻です。

今回は葉のシャーマンファイト棄権から、第一トーナメント終了までが
収録範囲となります。
ちょうど物語展開がブレてフラフラし始めた時期になります。
でも、こういう時期の方が細かすぎるネタは多く拾えたりして。
では、どうぞ


  やったらやり返される



葉がシャーマンファイトを棄権したことにより、物語展開は大きく迷走を始めます。
舞台はシャーマンファイトのリングの上ではなく、公式試合の外でシャーマン同士が殺し合う
血で血を洗う展開へと迷い込んでいくのです。



ハオ一味のビッグガイ・ビルらが、シャーマンファイトを敗退し故郷へ帰ろうとするチーム・ICEMENを
襲撃したことにより、復讐の連鎖は始まります。
ICEMENを救うためにホロホロがビッグガイ・ビル,ブロッケンと交戦。
ホロホロは辛くも二人に勝利しますが、勝利後、傷ついたICEMENを運ぼうとしたところを
回復したビルに襲われそうになります。それを助けたのがリゼルグです。
リゼルグは新たに手に入れた持ち霊・ゼルエルを使ってビルを瀕死の重傷まで追い込みます。

しかし、その夜、葉たちと一緒にいたリゼルグはハオ一味による報復を受けるのでした。



同じ頃、チョコラブも復讐者による襲撃を受けます。
チョコラブへの復讐者は、3年前のクリスマス、当時ニューヨークのギャングであったチョコラブに
両親を殺された少年・ルドセブと、その妹・セイラームでした。



また、後日アイアンメイデンも復讐者による襲撃を受けます。
復讐者は、メイデンが第一トーナメントで死刑に処したアナテル・ポッキの弟、アナホル・ポッキです。

誰かを傷つけたら、誰かが仕返しに来る。
きりがないこの状況に対し、葉はため息まじりにつぶやきます。

「やったらやり返される」


ジャンプのバトル漫画なんかでは、敵に主人公側の仲間がやられて
「よくもー!」という展開はよくある展開です。
でも、敵側が主人公側と同じ様に「よくもー!」となることはあまりありません。
葉が言うように、「きりがない」からです。
ところが、【シャーマンキング】ではこういうことが起こってしまいます。
結果、展開がグダグダになってしまいますが、そうなったとしても武井先生は
こういう展開を描きたかったんだと思います。(少なくとも連載当時は)

主人公側の復讐戦は美化されるのに、敵側の復讐戦はキナ臭くなるため描かれないという
ジャンプバトル漫画に対するアンチテーゼっぽい意味もあるのかもしれません。


  チョコラブの仲間の名前・・・



チョコラブの仲間の名前は全部風邪薬から取っていると思われます。

ルル ・・・ そのまま。風邪薬「ルル」から。
ベン ・・・ 「ベンザ」から
イヴ ・・・ 「エスタックイブ」から
リン ・・・ うーん、「バファリン」かな?

チョコラブも「チョコラBB」から取ってるのかと。
でも、なぜ風邪薬?
もしかして、チョコラブが後に「風」の戦士になるから?
もしそうだとしたら、ダジャレキャラのチョコラブにぴったりのネーミングですな!


  うそかーい!

アンナから葉の過去を聞き、どうして今まで話してくれなかったんだろうと考え込むまん太。
アンナは真剣な顔でまん太に告げます。

「それはあんたがマタムネの転生した姿 つまり、『まん太ムネ』だからよ」

ええーっ!?



「うそよ」

うそかーい!
でも、アンナはそのあと、ふと思って

「そう…名前もどこか似てる。葉が初めてあんたに出会った時あんたを友達と言ったのは
 少しだけマタムネの事思い出しちゃったからかも知れないわね」

とつぶやきます。
案外、武井先生は「まん太がマタムネの生まれ変わり」という設定を冗談でなく思いついたのかも
しれませんね。でも、アンナが言うようにマタムネが消えたのは5年前だからそのときには既に
まん太は生まれてるわけだから成立しないと気づいてボツにした、と。
この「うそよ」のくだりは、そのボツネタのなごり・・・?
って、深読みしすぎですね、さすがに。


  ミッキー、あんた本当になんなの・・・



チョコラブへの復讐心に駆られるルドセブとセイラーム。
その二人の復讐心に応えるように暴走するゴーレムを止めるため、
重傷を負った麻倉幹久は持ち霊にゴーレム停止のすべを託し、葉とアンナのもとへ送ります。
ところが、



アンナさん、それを完全に無視。
それどころか、「壊すのもったいないからいただく」発言です。たくましい・・・。



結局、幹久が送ったゴーレム停止のすべは一切使用することなく、
葉やアンナや仲間たちだけの力で、ゴーレムを味方に引き入れることができましたとさ。
そして、役立たずミッキーは重傷のまま野ざらしで放置されるのでした。


  数少ないオパチョの戦闘シーン



ハオが唯一心を許せる仲間・オパチョの数少ない戦闘シーンです。
かわいいけど、なんかみょうに怖い!!


  言わされてる感バリバリ。葉の「未練がある」発言



死亡した蓮をアイアンメイデンに復活させてもらうため、シャーマンファイト棄権という
メイデンが出した条件を飲んだ葉でしたが、唐突に「シャーマンファイトにまだ未練がある」発言をします。
ここまで読んできた読者としては違和感を覚えずにはいられない発言です。

そもそも葉は「のんびりと生きていたい」という目標を持つ、やる気のない主人公でした。
蓮を復活させるためにシャーマンファイトを棄権しろという条件を出された際も、
ほとんど悩むことなく「友達の命には代えられない」と結論を出す清々しさも持っていました。
回想「恐山ル・ヴォワール」では、アンナとの絆は描かれましたが、シャーマンキングへの
こだわりについてはほとんど描かれていません。
また加えて、この「未練がある」発言の前に、ハオから「シャーマンファイトへ復帰しろ」という
脅迫を受けており、それが言わされてる感に拍車をかけています。

武井先生的に「主人公が大会辞める」という展開を当時は本気で考えていたようで、
「大会とかくだらねー」とか「主人公が大会を外からぶっつぶして終わる展開も面白そう」とか
いわゆる王道ジャンプ展開への反骨精神が露骨にあらわれていたようです。
が、そういう展開は一般読者にはどれだけ時間をかけて説明しても
多分共感は得られないだろうということで、結局、主人公大会へ復帰という「最悪の展開」(武井先生・談)
になってしまったということです。

そういった背景もあり、ものすごく「言わされてる感」が透けて見える葉の発言でした。



ちなみに、メイデンに棄権を撤回しに行く際の説得もかなり強引で、
「つべこべ言ってもムダだから、力ずくで納得してもらう」という、超理論で押し通しました。
こういう無茶苦茶さも葉の魅力なんですけどね。


  阿弥陀丸「なにこの展開・・・」

力ずくでシャーマンファイトの復帰を認めてもらうことにした葉は、
X-LAWSのマルコと戦うことになります。
ところが、この戦闘へ乱入者が!



ハオ一味の「ラキスト・ラッソ」です。
なんとラキストは元・X-LAWSであり、マルコの因縁の相手でもあったのです。
物語は葉のシャーマンファイトの復帰を賭けた戦いから一気に逸れ、
マルコとラキストの過去話、因縁の対決へとシフトチェンジしていきます。



葉と阿弥陀丸 ポカーン・・・



阿弥陀丸「もはや完全に話があさっての方向をむいてござるな」

これ多分、武井先生とこの話を読んでた全読者の心の声なんだろうな・・・


  マルコ、「葉と出会って半年」発言

せっかくなのでマルコネタで続けます。



「彼に初めて出会ってから約半年―」

とかマルコが言ってますが、葉とマルコが初めて出会ったのはアメリカでの
シャーマンファイト本戦のときなので、2カ月前のはずです。半年は言い過ぎ!
「コミックスの重版のとき直しますか?」と聞かれた武井先生は、
「マルコの中では半年って事でいいんじゃない?」と答え、セリフ修正なしで片付けられてしまいました。
おかげで、マルコが歪んだ時空に生きるヘンなキャラに!!


  マルコ、元社長だった

マルコネタ、続きます。



マルコはスーパーカー専門のディーラー「有限会社スーパーマルコ」の元社長です。
殺安!!!


  マルコ、ただのロリコンだった

マルコネタ、フィニッシュです。



メイデン様の衣装を着たいというたまおを見るマルコの眼・・・。
メガネに隠れて見えないが、ありゃロリコンの眼だ・・・間違いねぇ・・・。



ちなみに、衣装を入れ替えたメイデン様とたまおは完全版22巻のキャラ紹介で見ることができます。


  第三勢力「ガンダーラ」の正体



ハオ一味、X-LAWSに匹敵する勢力とされる「ガンダーラ」は、シャーマンファイト本戦では
あまり目立った活躍をしません。
彼らはあくまでも「中庸」という立場をとり、シャーマンキングを目指しているわけでもなさそうです。
一体、彼らの正体は・・・?



ガンダーラのリーダーは「サティ・サイガン」という三十代の女性。
生と死を自在に操る神クラスのシャーマンで、死亡した竜やチョコラブを蘇生させたりと、
作中、シャーマンファイト外のところでちょいちょい登場しては葉たちを助けます。



その正体は、武井先生の前作【仏ゾーン】のヒロイン「西岸サチ」が悟りを開いた姿でした!
主人公である千手観音菩薩の「センジュ」も、如来となり「ダイニチ」と名を変えて
サティの持ち霊として登場します。
言ってみれば、ゲストキャラクター的ポジションなわけです。
【仏ゾーン】が打ち切りで早期終了してしまったばかりに、この【シャーマンキング】での登場は
ファンとしては嬉しい限り!
あれこれ語りたいですが、ガンダーラについてがっつり語ると、それだけで一つのコーナーとして
成立しそうなほどの文量になりそうなので自重します。


  大事なことなので三回言いました。「修験の極み」の謎演出

葉の先祖・麻倉葉賢の持ち霊「大天狗」は「修験の極み」という強力な攻撃を繰り出します。

「喰らうが良い・・・」


「修験の極みを」


「修験の極みを」


「修験の極みを」

ここまで連続したコマです。
演出意図はよくわかりませんが、なんとなくエコーしてるようで迫力がありますね。
でも、ネタっぽいのは何故だろう・・・


  くたばれシャーマンファイト

ハオ一味のペヨーテの裏切りにより、オパチョとラキストを除いたハオ一味は
ほぼ全滅することになります。



小山田カンパニーの社員・田村崎がM134バルカンで大暴れ!



あの強かったハオ一味のシャーマンたちが近代兵器の前になすすべもなくやられていきます。
普通、ジャンプのバトル漫画では近代兵器よりもキャラクターたちの技の方が圧倒的に強力な
はずなのですが、そこは武井先生の反骨精神の(ry



最終的に暴走したペヨーテが仲間もろとも心中。
その際、つぶやいた言葉が「くたばれ、シャーマンファイト」。
武井先生の心の叫びに聞こえますねぇ


  絶対に勝てないハオを倒す秘策



ハオの巫力値は125万。これはシャーマンファイト参加者のなかで圧倒的な数値です。
この時点の葉たちの巫力は数万くらいだと思われるので、ぜんぜんハオの足元にも及ばない感じです。
が、葉には秘策がありました。
それは、

ファイトに優勝したシャーマンはグレートスピリッツと一体化するため、洗礼の儀式を受け
一時的に死の眠りにつく ・・・そこを叩く

という一見、卑怯っぽい作戦でした!
ですが、シャーマンキングの儀式の間には、第二トーナメント進出者しか行くことはできず、
しかもその道中には10のプラントがあり、10人のパッチ族が守護しているということで
簡単には実現できない作戦ではありました。



しかしガンダーラの協力もあり、葉・蓮・ホロホロ・チョコラブ・リゼルグの五人は
五大戦士として、決戦の地を踏むことになったのでした!
第一トーナメントでは、ガンダーラ勢は一斉に棄権し、葉たち五大戦士が不戦勝で
第二トーナメント進出となります。


  ミッキー大人気ねぇ・・・



なお、第一トーナメントを工作的に棄権したのはガンダーラだけではなく、
幹久、ルドセブ、セイラームのチーム「カバラーズ」もそうでした。
幹久は二人に説明も一切なく、勝手にカバラーズを棄権させており、
そのことについてルドセブに激しく抗議されますが・・・



ここは大人の貫禄でだまらせる!!
汚ねぇ! 汚ねぇよミッキー!!


  大人になったリゼルグ



リゼルグにとって両親の仇であるハオは憎むべき存在です。
しかし、「やったらやり返される」騒動で何かしらを悟ったのか、いつの間にか
ハオへの極端な憎しみななりを潜めていました。

第二トーナメント開始前夜、葉たちは宿敵・ハオとの入浴を楽しみます。
翌日には、生死を賭けた争いをするはずなのにこの緩さ・・・
武井先生の作品のこういうところ、すごく好きだな~


と、ここまで。
次回はいよいよハオとの最終決戦の細かいネタを拾います。
というわけで、次回へ続きます

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-08-03 12:23:08
三回繰り返すのはページ数ミスでできたって言ってた気がする

まあそれ以降三回繰り返すネタをウルティモとかでもやるけど
返信する
Unknown ()
2011-08-08 20:08:33
>三回繰り返すのはページ数ミス

マジっすか!
道理でなんか違和感あったわけだ。
でもミスすらネタにしてるわけだ。
三回繰り返すとなんか妙に味が出るし。

ウルティモも完結したら集めてみようかな。
あの作品、ジャンプSQで読んでるとストーリーが
わからなくなるから。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-10-04 09:05:09
さっさと止めをさせばよかったのにと思えるほどのぐだぐだぶりだ。20巻以上もやっておいていきなりシャーマンキングの打ち切りは紙の資源の無駄使いぶりが酷かったな。くたばれシャーマンファイトw
返信する
Unknown (Unknown)
2019-02-20 11:45:07
ミスだったのか
知らなかった
繰り返すの好きだけど!
返信する

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