紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

細かすぎて伝わらない名場面【るろうに剣心編】[第三幕]

2011-02-18 02:11:26 | 細かすぎる名場面
前回からの続き


晩上好(ワンシャンハオ)、呉 黒星(ウー ヘイシン)アルヨ。

細かすぎて伝わらない名場面【るろうに剣心編】第三幕です。
少年漫画の王道をひた走った熱い京都編の次は、暗く重いダウナーなシリーズとなりました「人誅編」。
第三幕はこの人誅編の細かすぎるネタを取り上げ、るろうに剣心編を締めたいと思います。

では、そろそろ人誅の時間だ・・・


  人間暗器・乙和瓢湖の残りの暗器を妄想する



人誅編のメインの敵となる「六人の同志」のひとり、乙和瓢湖は暗器の使い手でした。
本人は十三の暗器を全身に隠し持っていると言っていましたが、実際に作中で使用された
暗器はわずかでした。
まずは、作中に出てきた暗器を見てみましょう。


「梅花袖箭」
腕輪型の六連装の小型弓矢といったところでしょうか。
左手の梵字と奇声で虚をつくり、その隙に死角側の右手で操作して鉄矢を撃ち出す
非常に凝った武器でした。


「過水毒煙」
角砂糖のような形状の毒薬。水に触れると毒の煙を発生させます。
直接の殺傷力はなく、4~5分ほど手足をしびれさせる程度のものでした。


「六道蠱」
乙和の派手な六本の襟飾りが、実は可動する刃というもの。
本来は目立たないように仕込むべき暗器を、逆に目立つように相手にみせることで
その存在を偽装していました。



「毘沙門剣」「毘沙門粉」
二つ一組の暗器。毘沙門粉の正体は砂鉄で、鞘により磁力を帯びた毘沙門剣の太刀筋を変化させ、
高速自動追尾することができるというもの。
素人の剣法でも、魔剣のような太刀筋を作り出せるイカした新暗器でした。

※毘沙門剣・毘沙門粉は、乙和が「十三の暗器を持っている」と発言したあとに入手した暗器のため、
 十三の暗器には入らないですが、面倒くさいので含めて考えることにします。

さて、以上が実際に作中で披露された暗器です。
5つしか披露されていないので、残り8つどんな暗器が乙和に似合うか考えてみます。

完全版17巻の剣心再筆に描かれている乙和に、面白い新暗器がいくつか設定されているので、
そのあたりをベースに考えていきましょう。

「左目に発光装置」
 髪で隠れている乙和の左目。実は発光装置が仕込まれていて目くらましとして使用できる!
「刀に毒が塗ってある」
 これみよがしに腰にさしてる刀に実は毒が塗ってあるというもの。
「髪の毛の一部が斬鋼線」
 外印が使用した斬鋼線が、実は髪の毛に仕込まれている。自分の髪を触るときは注意ね。
「着物の下に薄刃乃太刀」
 刀狩の張と同じ。胴にペラペラの刀を巻いて、武器にも防具にもなる。
「仕込み分銅」
 赤松有人と同じ。両手に鎖分銅を仕込んでいる。
「鉤爪」
 般若と同じ。両手から鉤爪がシャキン!と出てくる。
「小型炸裂弾」
 左之助が月岡津南からもらった炸裂弾のように、小型だが強力な炸裂弾を持ち歩いてる。
「火を吐く」
 ひょっとこと同じ。実は油袋を胃に仕込んでて炎を吐ける。

あー、途中から苦しくなってきましたね、考えるの。
ほとんど今までの敵キャラの武器の焼き直し状態。
つくづく、いろんなアイディアを考える漫画家さんってすごい。


  読者からボロクソ言われてた薫



あらたなる戦いの予感に、不安を抱きながらも元気にふるまう薫です。
京都編の冒頭とは大違いですね。
剣心が京都へ旅立った直後の薫のヘタレっぷりはすさまじく、やっぱり読者からもボロクソ言われたみたいです。


問題の場面。
たしかに情けなかったね・・・。
京都での出来事が薫を強くしました。


  幕末の頃、剣心が比古と暮らしてた場所って・・・



時は幕末。師匠の比古と喧嘩別れした剣心は、長州の土地で奇兵隊に入隊します。

んー、幕末の頃、剣心が比古と修行してた場所ってどこだったんでしょうね。
このときは長州の山の中で比古と暮らしてて、山を降りて奇兵隊に志願したのか、
それとも、明治十一年と同じく京都の山で暮らしてて、山を降りた剣心は奇兵隊結成の噂話でも聴いて
長州の土地に向かったのか・・・。


でも、京都編で比古の居場所を翁に探してもらってましたよね。
それって、すくなくとも、かつて剣心が比古と暮らしてた場所を引き払って
比古が引っ越したってことですよね。



でも、幕末の頃の回想シーンで出てきた滝壺と同じ滝壺が明治十一年の比古の庵にもあったり、
剣心が子供の頃、比古が調合した薬が現存していたりと、幕末の頃比古と剣心が暮らしてた場所と
明治十一年の比古の庵が同一の場所であるような描写もあります。

じゃあ、何故剣心は京都で比古の捜索を翁に頼んだのか?

一番矛盾しない答えは多分、剣心が十五年前比古と過ごした庵の場所をド忘れしちゃったってことでしょうかね。
で、仕方なく翁に比古を捜索してもらって場所を突きとめてもらうしかなくなってしまった、と。
こういうことでいいっすか?


  池田屋事件にニアミスしてた剣心



幕末の頃、剣心は桂小五郎から池田屋での長州藩の会合に参加しないか、と誘われていました。
剣心は断りましたが、実はこの池田屋での会合の日、新撰組が池田屋を急襲することになりました。

もし、剣心がこの誘いを受けて池田屋にいたら、池田屋事件のときどうなっていたんでしょうね。
さすがの飛天御剣流でも、新撰組の有名どころに勢ぞろいされたら勝てないか・・・。


  雪代縁のアジトに謎の瓦版

密偵となった張が忍び込んだ雪代縁のアジトに、なぞの人物が紹介された瓦版を確認。



この「いとうみきお」という人物は、和月先生のアシスタントを経てジャンプ漫画家デビューを果たした
漫画家「いとうみきお」その人です。
代表作【ノルマンディーひみつ倶楽部】。面白い作品を描くんですけど、ことごとく打ち切りにあっている
悲運な漫画家さんです・・・。
ちなみに、【ワンピース】の尾田先生や【シャーマンキング】の武井先生も、いとう先生と同時期に
和月先生のアシスタントをしていました。


  漫画ならではの演出!縁の漢字エフェクト




大陸帰りの雪代縁は、破顔(ニイィ)や、嘲笑笑(フフフ)など、漢字による演出が目立ちました。
「大陸帰り」というキャラ特性を強調した漢字による演出だと思いますが、こういうのって漫画ならではですね。
映像と音声じゃ、このニュアンスは伝わらないでしょう。


他にも、「浮和ッ・・・斗」「由羅・・・」や、「罵ッ罵ッ!」「呑!!」など、効果音も漢字で強調されてます。




「哈亜亜!!」
「覇亜亜ッ!!」
「怒阿阿阿ッ!!!」


そしてシャウトも漢字! なんか凄さだけはひしひしと伝わってきますね。


  またまた登場、素顔でガッカリキャラ



「六人の同志」のなかで外印は結構人気があったらしいのですが、
素顔をさらしたらただのジジイで、大ブーイングを食らったのだそうです。

和月先生は、「自分としては狡猾な奴と認識していたのである程度年季の入った老人で当然」と
思っていたようですが、読者はそうは思わなかったようです。
和月先生は続けて、
「般若の時もそうでしたが、どうも覆面キャラの素顔は美形という甘い幻想を持つ読者が多い様です。
 美形ならわざわざ顔隠す必要ねーだろコンチクショー!と和月は思ってしまうのですが、
 じゃあシワシワの老人にして読者のどの層が喜ぶんだと、今は改めて思い、ちょっと読みが甘かった
 と反省しています」

とコメントしていました。

「次はシャアみたいなカッコイイ覆面キャラに挑戦してみたいと思います」と意気込む和月先生。
覆面キャラかどうかは微妙ですが、【武装錬金】の「キャプテン・ブラボー」は良かったですよ!

ちなみに、完全版17巻の「剣心再筆」に美形になった外印が描かれていますが、
僕はじいさんの外印の方が好きです。


  「生き地獄」という発想



復讐に燃える雪代縁は、剣心を「生き地獄」に突き落とすことが究極の復讐と考え、
剣心の大切な人である薫に狙いをつけます。



実は、この「生き地獄」という発想、剣心もちょっと前にやってるんですよね。
雷十太との戦いのとき、由太郎に深い傷を負わせた雷十太に向かって
「生き地獄を味わわせてやる」宣言をする剣心です。
剣心的生き地獄とは、雷十太の剣客としてのプライドをズタズタにして
二度と剣客として復活できないようにする、というものでした。

義理の兄弟だけあって、発想が似てるのかも。


  蒼紫が唯一笑った場面



冷徹なイメージのある蒼紫が全編中、唯一笑った場面があります。
縁との戦いも終わり、京都へ帰ろうとする蒼紫と操。
武田観柳との戦いで命を落とした御庭番衆の仲間たちを故郷に葬ってやりたい蒼紫の思いを汲んで、
操が「みんなと一緒に帰る」という表現をしたことが、蒼紫を微笑ませることになりました。

蒼紫への愛情は操の一方通行にみえますが、ちゃんと疎通してる感のある一場面ですね。


  巻町操、21歳です☆ オイオイ!



明治十六年、21歳になった操は 蝶・相変わらずでした。
大人の落ち着きがみじんも感じられない・・・。



恵なんて22歳のとき、こんなに落ち着いてるのにね。
左之助も「さすがは22歳・・・」とつぶやくほどですよ。

操もあと1年でこれほどの落ち着きを得られますかな?
無理でしょうな。
でも、それが操のイイトコロ。


  神谷活心流の新門下生



明治十五年にもなると、弥彦一人だった神谷活心流にずいぶん門下生が増えています。


まずは、弥彦と同じく師範代の塚山由太郎です。
雷十太によって腕に深い傷を負い、ドイツで治療を行っていた由太郎ですが、
明治十五年には東京に帰ってきていて神谷活心流の師範代となっていました。
作中に明治十五年の姿は現れませんが、薫や燕の発言からプレイボーイであることがわかります。
また、和月先生の構想では「ドイツからフェンシングを身につけて帰国する」というのがあったようです。


次に新市小三郎。
鯨波兵庫が町中で暴走した場所に出くわした新米警察官でした。
鯨波に勇敢に立ち向かう弥彦に感動して入門したものと思われます。


そして、東谷央太。
左之助の弟です。お姉ちゃんに付きっきりの頼りない坊やでしたが、左之助に感化されて
勇敢さを発揮しました。
左之助の言葉通り、神谷道場の門をたたいたようですね。
あの丸ほっぺが入門してどう変わったのか見てみたいなー


と、ここまで。
これにて細かすぎて伝わらない【るろうに剣心】は終幕したいと思います。
本当は、ここで「弥彦、成長の軌跡」という特集もやろうと思っていたのですが、
語ることが多くなりそうなので、「弥彦の物語を追う」的な記事をいずれ別に興そうと思います。


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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-02-19 21:19:23
覆面の反省は毒島でしょう
返信する
Unknown (にゃんこ)
2011-02-20 10:10:44
最近るろ剣に再燃している者です。このタイミングでおもしろい記事に出会えてうれしい限りです。るろ剣実写化の噂がありますが、実写化された場合は記事お願いします
返信する
Unknown ()
2011-02-20 23:22:12
>毒島

あー、毒島!
アフターでまさかの素顔をさらしましたよね。
一コマだけでしたが、あれは読者には好評だったでしょうね。
武装錬金のライナーノートみてみたら、
以前学んだ経験則から仮面の下は美少女と決めていたとありました。

>実写映画るろ剣

だんだんホントかどうか怪しくなってきましたね。
続報を待ちましょう
返信する
Unknown (Unknown)
2011-10-16 18:40:36
細かいところといえば
自分が気になったのは
齊藤が剣心に刀をおられてそれでも剣心に向かっていきベルトの金具で剣心を攻撃しますが
この直後ベルトは斉藤の腰に戻っているんですよね
高速で元に戻したとか
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