【シャーマンキング】ハオの物語を追う[心に鬼が宿った日]

ハオは【シャーマンキング】に登場するシャーマンである。





作中最強のシャーマンであり、ラスボス的存在。
五大精霊のひとつ、「スピリット・オブ・ファイア」を持ち霊として操る。
その強さは圧倒的であり、物語の最後まで誰にも敗れることはなかった。
本作品の主人公である葉（よう）ですら、最終的にハオには遠く及ばなかった。
相対的な強さでみれば、少年漫画史上最強のラスボスといっていいかもしれない。

今回は、そんな「ハオ」の物語を追ってみることにする。


　 「シャーマンファイト」とは

ハオの物語について焦点を当てる前に、「シャーマンファイト」について触れておく。

「シャーマンファイト」とは、500年に一度行われる、星の王を決めるための
シャーマン同士の戦いである。



シャーマンファイトの優勝者は「シャーマンキング」と呼ばれる全知全能の王となり
以後、次のシャーマンファイトが行われるまでの500年間、王の力を得るとともに
星の統治者として君臨することとなる。

シャーマンファイトの歴史は古く、今から一万年と二千年前、現在では
幻の大陸と呼ばれる「ムー大陸」において、人類最初のシャーマンキングが誕生した。
以後、500年ごとにシャーマンキングを決める戦いは開催されるようになる。
誰が、何のために、シャーマンファイトを始めたのかは不明である。

シャーマンファイトは、「パッチ族」と呼ばれる民族が代々取り仕切っている。



彼らは「グレート・スピリッツ」の意志によりシャーマンファイトを運営し、
誕生するシャーマンキングを見届ける。
誕生した王がどれほどの悪人であったとしても、パッチは王を止めることはしない。



シャーマンキングとなった者が、どのような世界を作るのか・・・
それは、グレート・スピリッツにしかわからない・・・。


では、以下よりハオの物語を追ってみる。


　 麻葉童子

10世紀末の日本。
ハオは母と二人、貧しいながらも平穏に暮らしていた。



この頃のハオの名は、「麻葉童子（あさはどうじ）」といった。



母もハオも「鬼」が視えるという力を持っていた。
そのような力を持っていたがために、母とハオは周囲の人間から疎まれ、
母は化け狐、ハオは狐の子と呼ばれ、迫害される日々が続いた。



母と二人苦痛に耐え忍ぶ毎日を送っていたある日、悲劇は訪れた。
化け物退治と称して訪れた者たちに、母は家ごと焼き払われたのである。
ハオは最愛の母を失い、孤児となった。




平安京の門外に佇み、通り過ぎる百鬼夜行たちを見送る日々を送るハオに
話かけてきた小鬼がいた。



小鬼の名は「乙破千代（おはちよ）」。
過去に悪行を重ねて死罪となった罪人の霊である。
乙破千代は絶望していたハオに、「ダチになろう」と誘う。

乙破千代はハオのことを、「麻葉童子（マッパどうじ）」と呼んだ。



乙破千代と過ごすうち、ハオにはすこしずつ笑顔が戻ってきていた。
母が生きていたときも、ハオには友達と呼べる者はいなかったので、
乙破千代がハオにできた初めての友達だったのだ。



ある日、ハオは乙破千代に「お前のように鬼になれたら良いのに」と漏らす。
そんなハオに、乙破千代は鬼の力を分け与えることにした。



鬼の力により、人の思考が読めるようになったハオは、母の死の真相を知る。

すべては、田浅（でんせん）法師の処世から始まっていた。
田浅は、鬼と通じる者を片っ端から闇に葬り、鬼が出たという話を消してゆくことで
鬼を滅するという、インチキ祈祷で世を渡っていた。
母は、その一環で田浅によって殺されたのだった。



これ以上、鬼の力を使うと能力が抜けなくなる、心が鬼に支配されてしまう、
という乙破千代の忠告を無視して、ハオは田浅を殺した。



結局、乙破千代は復讐心に蝕まれたハオの心を救うことはできなかった。
そればかりか、ハオに忌まわしき力を与えてしまったのだった。

乙破千代はハオのもとを去る。
ハオは初めてできた友達を失った。



やがて心ある師に拾われたハオは、その師のもとで陰陽術を学び、
京の大陰陽師として頭角を現すことになる。

ハオは麻倉葉王（あさくらはお）と名乗り、麻倉家を興した。
ハオが「シャーマンファイト」「シャーマンキング」の存在に気付くのは
この頃である。


　次回へつづく


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