「トンマッコルへようこそ」 (2005年・韓国)
暑さしのぎに借りたDVD「THEM」がどうにも論評しようのない作品だったので(!)、少し前にCATVでも再視聴した本作のレビューに変更。2005年に韓国で公開され、観客動員数800万人(全国民の6人に1人)という記録的なヒット作となった戦争ファンタジー。舞台は朝鮮戦争が激化する1950年代。人里離れた山奥の桃源郷へたどり着いた韓国軍、人民軍、不時着した連合軍(米軍)の兵士6人が、純朴な村人との触れ合いを通して心を解きほぐされ、国籍や政治を超えて友情をはぐくむ物語。今なお続く朝鮮半島の現実を織り込みながら、一義的正義の愚かしさを笑いとばし、大らかな心の交歓を謳い上げる理想郷の寓話、といえるだろうか。とはいっても、隠れ里での彼らの幸せは長くは続かず、終盤で兵士たちは村の野良着を軍服に着替えて、再び武器を手にすることになる・・・・・・。
対立する兵士たちの緊張感が、牧歌的な村の日常によって薄められ、無毒化されていく過程がユーモラスで快い。村人の最大の敵であるイノシシ退治を通して南北兵士が胸襟を開きあい、やがては連合軍の攻撃から村を守るために手に手を取って立ち上がるという展開は、今日的な反米感情と民族統一への悲願の投影だろうか。繰り返される飛翔と降下を暗示する映像――空中に飛散するポップコーン、舞い飛ぶ無数の蝶、降下する落下傘、あるいは投下される爆弾――は、天上の理想(統一)と地上の現実(分断)のはざまを行き交う、韓国民の思いの象徴なのかもしれない。国境を越えた兵士たちの心の交歓を描いている点では、「JSA」にも通じる反戦のメッセージが浮かび上がる。幻想的な映像は、久石譲の音楽と相まって桃源郷のファンタジーを堪能させてくれるが、ラストは相変わらずほろ苦い。
満足度:★★★★★★★☆☆☆
<作品情報>
監督・共同脚本:パク・クァン・ヒョン
製作・脚本・原案:チャン・ジン
音楽:久石譲
出演:シン・ハギュン/チョン・ジェヨン/カン・ヘジョン
イム・ハリョン/ソ・ジェギョン/リュ・ドックハン
<参考URL>
■Yahoo!映画 「トンマッコルへようこそ」特集
■DVD情報 amazon.co.jp 「トンマッコルへようこそ」
お読みいただきありがとうございました。
クリックしていただけるとうれしいです。
にほんブログ村へ
すごく惹かれました。観て3日は「南北連合軍」
のみんなのコトが頭から離れず・・・。
受験生なのにも関わらず、ボー・・・ッッとしました。
個人的には♪リュ・ドックァン♪がすごぉーく好きです!!!!!
「トンマッコル・・・」は心に沁みる映画でしたね。
南北の兵士たちが立場を超えて気持ちを一つにしたのは
素朴な村の生活に大切な何かを見出したからでしょうね。
韓国の映画にはいつも心を揺さぶる熱いものを感じます。
国がちがっても感じるものはきっと一緒なのでしょう。
リュ・ドックァンはいちばん若い兵士役の人でしたね?
これからもたくさんの作品で活躍する姿が見られそうです。
映画で息抜きをしながら、受験のほうも頑張ってくださいね